日常的に使用する家電製品の電源コードやプラグ。何気なく使っているそのアイテムが、命に関わる重大事故につながったケースが報告されている。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が実施した過去6年間に発生した「電源プラグ・コード・コンセント事故」の実態調査によれば、身近な機器に深刻な火災リスクが潜んでいることが明らかになった。今回はその実態と、重大事故を防ぐためのポイントを見ていこう。

事故の8割が火災に関連――原因は電源コードの劣化?

NITEが発表した調査によると、2019年から2024年の6年間に起きた家電製品の「プラグ・コード・コンセント」に関する事故は、少なくとも219件にのぼった。特に電源コードの本体側の根元からコンセントまでの区間において多くの事故が発生しており、その8割以上が火災事故という深刻な結果が出ている。毎年ほぼ一定数の事故が報告されていることからも、日常的に使用される電源コードに潜むリスクは決して一過性のものではないといえそうだ。

事故の中には、火災によって延焼被害が広がったケースや、人的な被害に至ったケースも含まれており、見過ごすことのできない事態となっている。とりわけ多かったのが屈曲による「半断線(内部の導線が一部切れた状態)」など、物理的なストレスによってコード内部に損傷が生じ、異常発熱を引き起こすケースが報告されている。見た目には異常がないように見えても、内部で進行する劣化や断線が重大なトラブルを招くおそれがあるのは非常に危険だ。
プラグ・コード・コンセントの事故を防ぐチェックポイントとは?

では、こうした事故を未然に防ぐには、どのような対策を講じればよいのだろうか。NITEは事故防止のために、誰でも今日から実践できる5つのチェックポイントを挙げている。1つ目は「電源プラグの破損・変形・変色の確認」、2つ目は「プラグにほこりが溜まっていないかの確認」、3つ目に「コードの破損・硬化・変色の確認」、4つ目は「コンセントの差込口に緩みがないかの確認」、そして5つ目が「接続機器の消費電力が許容量を超えていないかの確認」だ。これらはすべて、接触不良や内部断線、発熱、そして最悪の場合には出火につながる危険要因のようだ。特に電源タップや延長コードを日常的に使っている家庭や職場では、つい過信しがちだが、どれも小さな異常の見逃しが重大事故へとつながる可能性があるのだ。
誰もが日常的に使用している機器で起こっている火災や感電といった重大事故。対策として、まずは自宅やオフィスの電源コード・プラグ・コンセントに異常がないかを点検することから始めてみてはどうだろうか。
出典:【独立行政法人製品評価技術基盤機構 NITE(ナイト)】
※サムネイル画像(Image:「photoAC」より)