
新規発行がすでに終了している「紙の保険証」。そして発行済みの紙の保険証の最長の有効期限が2025年12月に迫っています。とくに健康保険組合など、一部の保険証には有効期限の記載がありませんが、その場合でも使用できるのは2025年12月1日までです。つまり、2025年12月2日以降は、全員が何らかの新しい仕組みに移行する必要があります。
とはいえ、手続きの簡略化やマイナンバーカードとの一体化といったメリットを踏まえると、基本的にはマイナ保険証への移行が推奨されると考えられます。

マイナンバーカードの普及率は2025年10月末時点で79.9%。8割の人が所有しているとはいえ、逆に言えば2割の人はいまだ所有していません。たとえば高齢や認知症の家族がいて、マイナンバーカードの発行手続きや管理そのものが難しい場合もあるでしょう。
では、2025年11月時点でマイナ保険証を持たず、紙の保険証を利用している方は、12月以降どのように保険診療を受ければよいのでしょうか。

結論から言うと、マイナンバーカードを持つ予定がない方や、カードを発行していてもマイナ保険証の利用登録を行わない方は、紙の保険証の代わりに「資格確認書」を使用することになります。
マイナ保険証未所有者が知るべき「資格確認書」

マイナンバーカードを持っていない、または利用登録をしていない方は、2025年12月2日以降も安心して保険診療を受けられるための代替手段として「資格確認書」が用意されています。
資格確認書は、マイナ保険証を持っていない方が、引き続き医療機関で自己負担割合(3割など)で保険診療を受けるための証明書です。現行の紙の健康保険証と同じような役割を果たします。マイナ保険証を所有していない方、または利用登録をしていない方には、保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村など)から申請の必要なく、自動的に、そして無償で交付されます。
ご自身で手続きをしなくても、2025年12月1日までに現在お持ちの保険証の有効期限が到来する前に、自宅に郵送されてくるはずです。
「資格確認書」が郵送で届かない、もしくは紛失した場合の対処法
資格確認書が届かない場合は、お住まいの市区町村窓口、または勤務先の健康保険に加入している場合は会社の担当部署、国民健康保険の場合は市区町村の保険医療係に連絡し、郵送状況を確認しましょう。
仮に「すでに郵送済みである」などの返答があった場合、届いた資格確認書を誤って破棄するなどして紛失した可能性があります。この場合、再交付申請を行いましょう。その際の窓口は同じく、お住まいの市区町村窓口、勤務先の健康保険の「資格確認書(再)」は会社の担当部署、国民健康保険の場合は市区町村の保険医療係です。
資格確認書には有効期限がある?
結論から言うと、有効期限があります。資格確認書は従来の健康保険証とは異なり、原則として有効期限が設定されます。有効期限は保険者によって異なりますが、「交付日から4年後の年末まで」など、一定期間が設けられるケースが多いです。
資格確認書もマイナ保険証も手元にない場合、どうしたらいい?
マイナ保険証を所持していない、かつ資格確認書を紛失した場合でも、保険資格が確認できれば、2026年3月までは3割負担で医療機関を受診できると厚生労働省が通知しています。
しかし、これはあくまで暫定的な措置になるため、早めに手続きを進めましょう。
マイナ保険証 or 資格確認書?比較と選択のポイント
「自動で送られてくる資格確認書で十分ではないか?」「資格確認書が手元にあるならばマイナ保険証を使う意味がない」と感じる方もいるでしょう。しかし、マイナ保険証と資格確認書には利便性やリスクにおいて大きな違いがあります。

紙の健康保険証が廃止された後も、マイナ保険証または資格確認書のいずれかがあれば、保険診療を受け続けることができます。
しかし、資格確認書には、高額療養費の自動適用など、マイナ保険証で受けられるメリットがありません。これまでマイナ保険証を利用していなかった方も、紙の保険証の有効期限切れをきっかけに、高額療養費の自動適用や医療情報の共有など、多くのメリットを持つマイナ保険証の利用登録を検討する価値があります。
ご自身の状況に合わせ、2025年12月に向けてスムーズな移行準備を進めてください。



