警察をかたる電話がかかってきたりして、現金をだまし取られる特殊詐欺被害が急増している。
トビラシステムズによると、警察署の代表番号を偽装して電話をかけるなりすましの手口、スプーフィング（発信者番号偽装）が多発しているという。巧妙化する特殊詐欺に対してどのような対策をすればよいのだろうか。「特殊詐欺・フィッシング詐欺に関するレポート」を見ていこう。
実際の警察署の代表番号へのなりすましが多発
オレオレ詐欺など、これまでの特殊詐欺は高齢者をターゲットにするものが多かったが、警視庁の発表によると、2024年の被害総額は371億円と増加しており、とくに30代から50代の比較的若い世代の被害が増加しているという。トビラシステムズの調査によると、2025年3月中旬に警視庁新宿警察署の代表電話番号と同じ番号からの着信が急増し、多い日で1日あたり約200件の着信が確認された。実在する警察署からの着信となると、警察からの正式な連絡だと思い込んでしまうのも仕方がないのかもしれない。
また末尾が0110の国際電話番号を使った特殊詐欺も増加している。トビラシステムズの調査では、同様の着信件数が、2024年6月から12月の半年で200倍超に増加したことが分かった。国際電話は「＋」などからはじまる番号だが、先頭の国番号以外は実在する警察署と同じ番号の場合もあり、見分けるのが難しい。また最近では、国番号が表示されないケースも多発しており表示画面だけでは見抜くのは困難だという。
携帯電話に対する架電の割合が3割増加
警察庁の発表によるとオレオレ詐欺における携帯電話に対する架電の割合は、2023年では4.0%だったのに対し、2024年は33.6%と約30ポイントの増加。また、電話でのやり取りの中でビデオ通話に移る手口が発生しているという。その中で、スーツを着た偽の警察官が姿を現し、偽の警察手帳や逮捕状を見せてくるケースもある。
このように詐欺の手口は巧妙化しているが、どのように対策したらよいのだろうか。トビラシステムズによると、電話で「お金」や「キャッシュカード」に関する話が出たら、詐欺を疑って電話を切ること、警察官がメッセージアプリやSNSで連絡をしたり、警察手帳や逮捕状の画像を送ったりすることはないため、このような連絡があった場合は対応しないこと、不審に思ったらすぐに電話を切り、家族や信頼できる人、最寄りの警察署、警察相談専用電話（♯9110）などに相談することが大切だという。
また、警視庁によると、国際電話の着信拒否サービスを利用するのも有効だとしている。多発する警察をかたる不審な電話に誤って出ないようにするためにも利用するのもよい方法かもしれない。
詐欺の被害に遭わないためには、警察署の代表番号から着信の場合は相手の名前や所属を聞いた後にいったん電話を切り、冷静に対処することが大切だ。
出典:【トビラシステムズ株式会社】
