時間が経ったり放置していると膨らんでしまい、発火や爆発の危険もあるモバイルバッテリーやスマホ。たとえば副業でごみ清掃員の仕事をしているお笑いコンビ・マシンガンズの滝沢秀一さんは2025年4月15日にXで、可燃ごみの中にモバイルバッテリーなどが紛れ込んでいることを告白し、話題に。
滝沢さんによると、自身の先輩芸人は不燃ごみを担当しており、清掃車が火災の被害に遭ったこともあったとのこと。モバイルバッテリーやスマホの中にあるリチウムイオン電池は適切な処理をしないと廃棄物施設も燃えることがあり、年間約100億円の損失だと言われていることも明かしました。
実際、環境省は全国の市町村に対して不要になったリチウムイオン電池を回収するよう求める新たな指針をまとめています。

とはいえ、実際にはリチウムイオン電池搭載機器の捨て方は自治体単位で異なっており、自分の自治体でモバイルバッテリーなどをどう捨てればいいのか把握しきれていない人もいるのではないでしょうか。
【早見表】リチウムイオン電池の処分方法の詳細
膨らんだバッテリーは危険なため、適切な方法で速やかに処分する必要がある一方、モバイルバッテリーを一般ごみとして捨てることは禁止されています。
以下はバッテリーの状態に応じた処分方法の早見表です。

リチウムイオン電池の処分は、状態によって対応が異なります。膨張や発熱、異臭がある場合は危険な状態のため、直ちに使用を中止し、専門業者に相談してください。
まだ使用可能な電池は、リユースやリサイクル、下取りサービスの利用がおすすめです。動作しない電池は、家電量販店や携帯ショップ、自治体の回収ボックスなどで処分できます。
以下で主なリチウムイオン電池の処分方法をご紹介しますが、そのバッテリーが「完全に膨張している」「異臭がする」など明らかに危険性がある場合、回収を受け付けてもらえない場合もある点にご注意ください。
家電量販店・携帯キャリア店舗の回収ボックス
ヤマダ電機やauショップなど家電量販店やキャリアショップの店頭には、リサイクルボックスが設置されており、スマホを回収してもらうことが可能な場合があります。もし近くの店舗にボックスが見当たらない場合は、店員に声をかけ、回収が可能か尋ねると良いでしょう。
自治体の指示に従う
多くの自治体では、リチウムイオン電池内蔵のモバイルバッテリーのリサイクルを行っています。ただし自治体によって、不燃ごみとしての回収、処分場への持ち込み、訪問回収などの回収のスキームが分かれており、回収方法がわかりづらいのが実情です。
スマホの物理破壊サービスを使う
スマホを物理的に破壊し、データを完全に消去してくれる業者を利用する方法もあります。こうした専門業者では、専用のシュレッダーでスマホ本体やバッテリーを粉砕し、データの復元を不可能にしたうえで安全に廃棄してくれます。膨張や破損したバッテリーも、専門の技術者が適切に取り外して処理するため、火災などのリスクも低減できます
「有害性ごみ」としてのリチウムイオン電池の扱いは地域差がまだ大きい

このようにリチウムイオン電池の処分方法にはすでにさまざまな種類が存在しますが、いずれにせよ「手軽さ」や「わかりづらさ」が否めない側面があります。
手元のスマートフォンやモバイルバッテリーのリチウムイオン電池が完全に膨らんでいる場合、その端末を「一刻も早く処分したい」反面で「処分の申し込みそのものに手間がかかるのは困る」という場合もあるでしょう。
たとえば家電量販店ないしは自治体の回収ボックスに端末を持ち込もうとしたところ、回収を断られてしまった場合徒労感が強くなります。
そこで各自治体で始まっているのが「有害性ごみ」としてのリチウムイオン電池の回収です。
たとえば神奈川県鎌倉市では、2025年4月1日からリチウムイオン電池などの小型充電式電池を「危険・有害ごみ」として月に1度クリーンステーションで収集するという取り組みを開始しています。
一方でリチウムイオン電池の回収に対する「自治体側の取り組みの姿勢」には、地域差がかなりあります。たとえば先に鎌倉市の事例について言及しましたが、同じ神奈川県内でも鎌倉市のように「有害性ごみとしての回収に着手している自治体」もあれば、リチウムイオン電池の回収については「メーカーに問い合わせ」としか言及していない自治体もあります。
リチウムイオン電池を正しい方法で処分せず、一般ごみとして出してしまう人は少なくないと見られ、各地で発火事故やごみ収集車の爆発事故などが続いています。こうした事故が1件でも減るように、足並みがそろうことが期待されます。誰にとっても「リチウムイオン電池の捨て方」がわかりやすくなることを期待したいですね。
※サムネイル画像は(Image:「photoAC」より)