各キャリアの「3G回線」サービスはすでに終了または終了が決定しています。auは2022年3月31日、ソフトバンクは2024年4月15日(石川県のみ2024年7月31日)にサービスを終了。そしてドコモも2026年3月31日にサービス終了予定です。
それに伴い、3G回線で通信を行っていた「ガラケー」は端末が手元にあっても実質的に利用できない状態となりました。一方、そのユニークなデザインや当時の技術への郷愁から、コレクションアイテムとしての価値が見直されています。特に2020年代に入ってからのレトロガジェットブームも相まって、一部の機種では発売当時を上回る価格で取引されるケースも見られます。
一方、中古市場ではいまだにガラケー端末が取引されることも。今回は3G回線が終わったいまでもネットで取引されている、ガラケーの人気機種をご紹介します。

フォンブレイバー 815T PB(ソフトバンク・東芝)
ソフトバンクの「フォンブレイバー 815T PB」は、一見すると普通のガラケーですが実はトランスフォーマーのように変形する遊び心溢れる一台。

この機種は、2008年に放送されたドラマ「ケータイ捜査官7」(テレビ東京系)に登場したキャラクター「フォンブレイバー」をモチーフにした端末。ちなみに同作は俳優・窪田正孝さんが主演。「隠れ名作」として知られるドラマです。
「フォンブレイバー 815T PB」はロボットパーツをつけることで端末がトランスフォームして、手足をつけることができます。

なお、番組に連動したゲームアプリも搭載された端末でした。
いまもコレクターズアイテムとして「ケータイ捜査官7」のファンや、そのギミックから「トランスフォーマー」好きの方にも人気。Yahoo!オークションの落札相場は、筆者が調べた限りでは30,000円ほど。中古ガラケーの中では、もっとも高価な一台と見られます。
N705i / amadanaケータイ(ドコモ・NEC)
ドコモとNECが手がけた「N705i」(2008年発売)は、デザイン家電ブランドのamadanaとコラボレーションして開発されたガラケーです。通称「amadanaケータイ」とも呼ばれます。

この機種は、洗練されたデザインと高級感が特徴。たとえば外装やボタンキー、iモードの画面まで色味を抑えたデザインが採用されており、当時のガラケーはデコラティブなデザインのものが多かったのに対して「大人が落ち着いて持つことができる、美しいケータイ」という印象が強い一台でした。
ちなみに着信音は音楽家のTOWA TEI / テイ・トウワさんが手がけています。中古市場でも、その美しいデザインや細部へのこだわりからいまでも取引があります。
Yahoo!オークションの落札相場は1,000円ほど。ほかのガラケー端末とまとめ売りされていることもあります。
talby(au・三洋マルチメディア鳥取)

auの「talby」はau design projectの第3弾の端末(※ちなみに第一弾は「INFOBAR」でした)で、ミニマムで美しいデザインが特徴のガラケーです。世界的に有名なプロダクトデザイナーであるマーク・ニューソン氏がデザインを手がけ、ニューヨーク近代美術館の永久収蔵品にも選定されています。
2017年に行われた「auおもいでケータイグランプリ」では、第6位に入賞するなど、いまも人気の高さがうかがえます。
Yahoo!オークションの落札相場は3,700円ほど。ジャンク品に近い状態のものでも取引が成立する人気機種であり、状態が良い端末では8,000円~9,000円といった相場での取引も見受けられます。
MEDIA SKIN(au・京セラ)

auの「MEDIA SKIN」(2007年発売)は、INFOBARやtalbyを生み出した「au design project」の第6弾機種。
京セラが手がけた一台で、その最大の特徴は四角い見た目と独特の触り心地。デザインは吉岡徳仁氏が担当しており、その感触は「液体から引き上げてそのままコーティングしたような」独特の質感をイメージしたデザインだと言われています。
2007年にはグッドデザイン賞を受賞しており、talbyなどと並んでこちらもニューヨーク近代美術館の永久収蔵品に選定されています。
Yahoo!オークションの落札相場は平均して4,600円ほど。希少性が高いカラーでは2万円以上での落札も確認でき、発売から18年経った現在も、インテリアや工芸品として人気を集めています。
Walkman® Phone, Xmini(au・ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ)
auの「Walkman Phone, Xmini」(2008年発売)は、その名の通り「Walkmanケータイ」と呼ぶべき一台。音楽機能に強みをもつガラケーであり、画面をスライド可能。閉じた状態は音楽プレイヤー、スライドした状態ではケータイとして利用できます。

Walkman Phone, Xminiは当時「着うたフルプラス」に対応していたことも大きな特長。着うたフルプラスでは320kbpsの高ビットレートの高音質での配信に対応しており、この高ビットレートは2024年現在でも音質として決して見劣りしないレベルのものです。
Yahoo!オークションの落札相場は、4,000円ほど。ちなみに「Walkmanケータイ」には「Walkman Phone, Xmini」以外のモデルもありますが、その他のモデルも中古でいまだに取引が行われており、根強いファンがいるシリーズだと言えます。
INFOBAR(au・シャープ)

INFOBARはauの名作携帯電話。初代が発売されたのは2003年で、その後もコンセプトモデルがいくつも発売され、スマートフォン版も販売されました。
中でも人気が高いのが、初代の「ニシキゴイ」と呼ばれている赤と白が特徴のデザイン。このモデルはいまだにカプセルトイになるほど人気があるため、価格も高額です。Yahoo!オークションの落札相場は1万3,000円ほどとなっています。
中古ガラケーを購入する際の注意点
これらのガラケーを中古で購入する際に注意すべき点をご紹介します。
通信機能について
3G回線終了により、通話・メール・インターネット機能は利用できません。Wi-Fi機能がある機種でも、現在のサービスには対応していません。
3G終了後のガラケー市場について
3G回線終了により、これらの機種は通信端末としては使用できませんが、4G対応のガラケー(ガラホ)は2025年現在も各キャリアで販売されています。ドコモの「DIGNO ケータイ」、auの「GRATINA」などが代表例で、当面は継続利用可能です。
つまり今回紹介した機種は、主にコレクション用途やデザインプロダクトとしての価値で取引されていると言えます。
購入目的の明確化
2025年8月現在、唯一3G回線を使えるドコモも2026年3月をもって3G回線を終了します。さらにすでに新規契約も終了しているため、いまガラケーを購入しても先述した通り、通信の用途で利用することはできません。
そのため、コレクションアイテム、インテリア、レトロガジェットといった目的で購入するという意識をもつことをおすすめします。
ガラケーは「携帯電話」ということもあり、鞄やポケットに乱雑に突っ込み、なおかつ毎日長時間利用する端末でもありました。たとえばINFOBARのようにデザイン性が高く、コレクション性が高い端末でも「良い状態で長期保存されているもの」は年々減ってきています。もしもあなたがレトロガジェットのコレクションに関心があれば、3G時代のガラケーは「今でなければ集められないもの」になっていくかもしれませんね。



