iPhone 17シリーズが「物理SIMカード」を排し、「eSIM」のみに対応したことが話題になりました。そもそも、eSIMはスマホ本体に内蔵されたチップで契約情報のデータを書き換えられるので、キャリアの乗り換えも簡単にできるのが特徴です。でも実は、物理SIMカードなのに“eSIM”の機能を持つ「eSIMカード」なるものが存在するのをご存じでしょうか?

そもそも「eSIM」って何? 何が便利なの?
スマホを利用するときは「SIMカード」が必要になります。SIMカードのICチップには契約情報などが書き込まれており、スマホに挿し込んで設定することで、電話やネットに接続できるようになるんですね。
このSIMカードは、新規でスマホを契約したりMNPでキャリアを乗り換えたり、スマホを機種変更したときに必要になるので、格安SIMユーザーの方なら一度は目にしたことがあるでしょう。

このSIMカードには「物理SIMカード」のほかに「eSIM」もあります。eSIMは「Embedded-SIM(埋め込み)」の略なので、スマホ本体に内蔵されたチップ(SIM)のことを指します。もちろん、交換できないので、契約情報を書き換える機能があることが大前提となっているのです。

eSIMならMNPで乗り換えたときに物理SIMカードが届くのを待つ必要はなく、その場で即時乗り換えができますし、ほかにもひとつのスマホで2つの回線(ドコモ+auなど)を運用できる「デュアルSIM」も可能になります。
デュアルSIMならどちらかの回線がトラブルによってつながらないときでも、もう片方の回線で電話やネットに接続できるので、万一のときでも安心ですね。

物理SIMカードなのに「eSIM」のように運用できる「eSIMカード」って何?
何となく物理SIMカードとeSIMの違いは分かっていただけたと思いますが、世の中には物理SIMカードなのにeSIMのようにデータの書き換えが可能な“eSIMカード”なるものも存在します。これはいったい何なのでしょうか?
先ほど、物理SIMカードとeSIMの違いを分かりやすく説明するために「eSIM=スマホ本体に内蔵され、リモートで契約情報を書き換え可能なSIMチップ」と説明しました。
そもそも、eSIMの“e”とは「Embedded(埋め込み)」という意味ですが、その一方で“書き換え可能(リモートSIMプロビジョニング・RSP)”であることが必須です。
したがって、埋め込み式でなくても、RSPに対応し書き換え可能な物理SIMカード「eSIMカード」も、広義ではeSIMに分類されているというわけです。ややこしいですね。

実際、2022年3月からソフトバンクとワイモバイルからeSIMカードが提供されていますし、Appleから提供されているiPad用の「Apple SIM」もeSIMカードと言えるものです。
それでは、どうしてeSIMカードが存在するのでしょうか? それは、eSIM非対応のスマホやタブレットでもeSIMのように運用できるようにするためです。
ただし、利用できるのはごく一部のスマホやタブレットだけですので、“eSIMにも物理SIMカードがある”ということだけ覚えておけば十分でしょう。
●ソフトバンク「eSIMカードについて教えてください。」→こちら

まとめ
いかがでしょうか? 今回はあまり聞きなれない「eSIMカード」について紹介しました。本来、eSIMは「埋め込み式のSIM(Embedded-SIM)」という意味ですが、書き換え可能である「RSP」機能があるのが前提になります。
そのため、埋め込み式ではない書き換え可能な物理SIMカード「eSIMカード」も、「eSIM」に分類されるんですね。
とはいえ、最近のスマホはeSIMに対応しているものがほとんどですので、eSIMカードは過渡期的な存在です。おそらく、今後は徐々に姿を消していくことになるでしょう。