今回は「AirPods Pro 3」進化のポイントを紹介します。なんと3年間もアップデートがなかったことを考えると、それだけ前機種のAirPods Pro 2のデキが良かったとも言えますが、結論から言えばもう音質が大幅に向上しています。もちろん、それだけではないので具体的にどこが進化したのかをじっくり検証しましょう。

【1】デザインの変更点と進化した本体
AirPods Pro 3(以下Pro 3)は2025年9月19日に発売されましたが、前機種AirPods Pro 2(以下Pro 2)が2022年9月23日発売なので、約3年間もアップデートされなかったんですね。
まず、Pro 3のデザインなんですが、ケースの見た目はほとんど変わりません。ただ、Pro 2よりは少しだけ大きくなっています。

ケースは約7g軽量化されていますが、本体は0.2gほど重くなっています。まあ、両手で持ってみるとPro 2のほうがやや重く感じますが、ほとんど分からないレベルですね。

ケースを正面から見てハッキリ分かるのは、Pro 2には小さな点があるのに対し、Pro 3は隠されていること。実際に光ると分かるようになっています。

裏側にも違いがあります。Pro 2のケースには物理的なペアリングモード用ボタンがありますが、Pro 3にはありません。じゃあ、ペアリングはどうするのかというと、Pro 3のケース前面を2回タップするとペアリングモードに入ります。

次にイヤホン本体ですね。Pro 2とPro 3はケースを開けたときに見える形はほとんど同じに見えると思いますが、Pro 3のほうは本体がやや斜めに向いています。
実際にイヤホン本体を出してみると、Pro 2を使っている人なら触った瞬間にすぐに違いが分かるでしょう。
具体的には、Pro 2は頭の部分がイヤーチップまでまっすぐなんですが、 Pro 3はイヤーチップが耳に向かって斜めに傾く形状になっています。
これが意外と進化のポイントで、耳に装着したときの着け心地が大きく変わります。Pro 2ではまっすぐにイヤホン本体を耳にグッと入れる感じでしたが、Pro 3ではイヤーチップ部分だけを耳に入れる感じになります。
実はこれが意外に着け心地がよくて、着けた瞬間に「あっ、変わった!」と実感できるはずです。

【2】バッテリーについては大きな変更
Pro 3のバッテリーはイヤホン単体で8時間、ケース込みで24時間となりました。Pro 2はイヤホン単体で6時間なので2時間伸びていますが、ケース込みは30時間なので、トータル時間は下がっています。

これはおそらく、充電を繰り返して長く聴けるよりも、イヤホン単体の時間を伸ばしたほうが実際の利便性が高いという判断だと思います。
確かにトータル30時間は魅力的ですが、そこまで外で使うことはめったにないですし、やはり1回の充電で長く使える方が便利ですよね。
Pro 3は、ケースに搭載されているバッテリー容量が減っていると思いますが、これ以上ケースを大きくしたくなかったのでしょう。
もちろん、実際使ってみた感じではバッテリーの持ちはさほど問題ないですね。やはり、多くの皆さん1日1回は充電しているでしょうし、24時間使えれば本当に十分です。
【3】心拍数測定が可能に!バッテリーはどうなる?!
Pro 3の新機能としては「心拍数の計測」への対応があります。Apple製イヤホンでは初めてですね。今まではApple Watchなどがないと心拍計測はできなかったんですが、今後はPro 3とiPhoneだけでOKです。

もちろん、ワークアウトの履歴も取れるので、健康管理に便利ですよ。実際に装着して心拍数を測ってみますが、動作自体はワークアウトしているときしか計測しないので、通常時のバッテリー消費は気にする必要はありません。
たとえば、「ウォーキング」を始めてみると、今の私の心拍数がiPhoneに表示されました。これまではApple Watchで測っていましたが、Pro 3とiPhoneだけで計測できます。

ただし、この機能を使用しているとイヤホンのバッテリー時間が6.5時間に減りますので注意してください。まあ、Apple Watchを持っている人は、Pro 3で測らなくてもいいでしょうが、Pro 3でもできるようになったのは嬉しいことです。
【4】防塵性能・耐汗耐水機能も進化!
防塵・耐汗・耐水機能も進化しました。Pro 3では「IP57規格」になっていて防水ではありませんが、一時的に水中に沈めた場合でも影響を受けない程度の強さになっています。
前機種Pro 2ではLightning版が「IPX4」、USB-C版が「IP54」規格でしたので、水の飛沫がかかるくらいなら大丈夫というレベルであり、水没はNGでした。
でも、Pro 3ならちょっと水に沈めてしまってもある程度は耐えられますので、スポーツで使っても汗に強いですし、ジョギング中に大雨に遭ったりうっかり水中に落としてしまったときでも安心です。

【5】ノイズキャンセルの実感は…?!
AirPodsといえばやはりノイズキャンセル(以下ノイキャン)機能ですよね。Appleの説明ではノイズ除去性能はPro 2の約2倍、Pro 1の約4倍に強化されています。

しかし、実際に使ってみるとそこまでの差は感じません。そもそも、Pro 2でもかなり優秀だったのでまったく困っていませんでした。
とはいえ、Pro 3のノイキャンを実感できるタイミングも確かにあって、かなり雑音が激しい東京駅で電車から降りたときにノイキャンをオンにしたら、本当に素敵な音楽空間になりました。
とくに低音の除去は強くなった印象を受けましたので、やはり、ノイキャンはPro 2より確実に優秀になっていると思います。
【6】音質の進化点を解説!全部たのしめるオススメ曲も!
そして、いちばん気になるのが音質です。これは本当に、人によって感じ方は違うので何とも難しいところ。
Appleの説明では「新しいマルチポートの音響アーキテクチャで、低音は一層深く、サウンドステージはますます広く、一つひとつの音が耳に届き、驚くほどあざやかに聞こえます」となっています。

これをザックリ説明すると、イヤホンのなかに空気を通す小さな通路をたくさん用意して、音の圧などをうまく逃すことで低音がこもらず自然に響くようになったということ。その結果、低音はより深くボーカルや楽器の位置もハッキリと感じられるんですね。
じゃあ、「実際使ってみてどうだったのか?」ですが。これは本当にAppleの説明どおりでした。とくにボーカルの聞こえやすさと音の広がりは顕著。低音の厚みも今までより感じます。普段よく聞いている曲で聴き比べると、その違いをハッキリ感じられると思います。
もちろん、曲によってはそこまで感じないかもしれませんが、私のオススメは空間オーディオにも対応しているYOASOBIの「アイドル」。

これは本当にPro 3で聴くと感動するレベルです。有名な曲なので皆さん知っていると思いますが、Bメロで「誰かを好きになること♪」という部分で、オタクコールが「オイッオイッ!」と入るところの広がり感はマジで凄いです。
本当にもう観客が横に並ん「オイッオイッ!」と叫んでいるような臨場感と、それと別に音楽が鳴って、さらに幾田りらさんが居るんじゃないかっていうぐらい、本当にいいです。
さらに、この曲ではいわば“裏パート”のような部分に入るところあります。「はいはいあの子は特別です♪」のところ。あそこでは2小節ごとにドーンという低音が鳴りますが、ここもボーカルから離れて鳴っており、余韻が残るんですよね。音が混ざらず分離が明確です。
この低音感と低音の残っていく感じはPro 2にはなかった部分です。もちろん、Pro 2でも音は聴こえるんですが、Pro 3ではきちんと分かれて聴こえるので、凄く気持ちがいいということですね。
【7】音質を視覚化してみよう!結果はなんと…!
最後に、音質を視覚化して確認してみます。計測には「オーディオアナライザー」というアプリを使いました。
これで、iPhoneのマイクのところにイヤホンを当てて、低音から高音まで音を出し、どこまで音が出ているかを検証してみます。
もちろん、このテストはあくまでも目安で、この環境のみでの結果、検証になります。ほかの環境では比較できません。
それから、AirPodsは耳に装着した状態で周波数を調整する「アダプティブイコライゼーション」が搭載されているので、実際に耳で聴こえる音とは異なることもご了承ください。

それでは、最初に20Hz~20kHzまでの音を流していきます。これでどのくらいの音域の広さが出ているのかを確かめていきましょう。
まずはPro 2から計測しますが、利用する音源は株式会社マイクロトソリューションさんのYouTubeにあるもの。これで20Hz~20KHzまで周波数を徐々に上げて音を出していきます。
というわけで、左から右に行くにつれて高音になりますが、最初の3つは環境音を拾っていますが、4つ目の50Hzくらいからキレイに音が出ていることが分かりますね。やはりPro 2はかなり優秀です。

次に、Pro 3でテストしてみましょう。こちらは2つ目の31.5Hzくらいから低音をキレイに拾っていますね。Pro 2では4番目からですので、やはりPro 2より低音が出ていることが証明されたようです。 それ以外は、Pro 3とPro 2はほぼ同じような形でバランスよく低音から高音まで出ていますね。

もちろん、これはあくまでも簡易的なテストです。それでも、同じようにフラットな状態で出したときに低音が拾えているということは体感した結果と同じなので、これはある程度信用していいかなと思います。

【おまけ】まさに夢の機能「ライブ翻訳」が凄い!
ここまでの説明でAirPods Pro 3の良さが伝わったとは思いますが、もうひとつ注目したいのが「ライブ翻訳」です。
この機能はPro 3だけではなくPro 2でもアップデートすれば利用可能ですが、これがあると言語の壁を超えそうなので、どういう感じで使えるのか実際に使ってみましょう。
ただし、これは「iOS 26.1」から使える予定なので、今回使用するのはβ版です。もちろん、β版を動画にすることはAppleに確認済みです。
そもそも、このライブ翻訳機能は、AirPodsを着けている状態であれば、外国語で話しかけられてもAirPodsからは日本語で聞こえるというもの。
AirPodsを装着した状態で「Hello!」と言われたら日本語で「こんにちは」と翻訳されて聞こえてくるということですね。

Pro 3でライブ翻訳モードにするには、AirPods本体の下の足のところを装着した状態でグッと2つ押し込みます。これでライブ翻訳が始まりました。
今回はAppleイベントの動画を流してみましょう。するとiPhoneの画面にどんどん英語が日本語に翻訳されていくのが分かると思いますが、AirPodsを通して私には日本語の音声が聞こえてきています。これは凄いですよね。

もちろん、私が喋っている日本語もすべて英語に翻訳されています。この画面を見せれば相手も私の話を理解してくれますが、お互いにAirPodsをつけている状態なら、そのまま会話することも可能となるのです。もし、外国人と話す機会があったら、今後はこの機能で普通に会話ができますね。

まとめ
いかがでしょうか? 今回の説明でAirPods Pro 3がPro 2よりかなり進化していることがお分かりいただけたと思います。
さすがに、急いでPro 2から乗り換えてとは言いませんが、音楽好きな人でより良い体験をしたい人には「Pro 3」は本当にオススメです。
こちらのチャンネルでも解説しています。
※サムネイル画像は(Image:筆者YouTubeチャンネルより)






