年収103万円が課税最低限だった所得税が、160万円に引き上げられます。引き上げに特に影響を及ぼすと考えられるのが、仕事と家庭の両立を希望する主婦(主夫)層です。そこで今回は、主婦・主夫層を対象にした「所得税160万円への引き上げ」をテーマとした調査をご紹介します。

所得税の課税最低限の引き上げで仕事の希望条件・年収の壁への影響はある?

株式会社ビースタイル ホールディングスが運営する調査機関「しゅふJOB総研」では、ビースタイル スマートキャリア登録者/求人サイト「しゅふJOB」登録者745人を対象に「所得税160万円への引き上げ」をテーマとした調査を実施。
まずはじめに「所得税の課税最低限が103万円から160万円に引き上げられたことを知っていますか?」とたずねると、約8割(77.4%)が「知っている」と回答。多くの人が課税最低限の引き上げを認知していることがわかりました。

次に、「160万円への引き上げで仕事の希望条件に影響はありますか?」とたずねたところ、「希望条件に影響はない」が44.0%でもっとも多い回答となりました。一方、「今より給与を高くしたい」が34.1%、「今より労働時間を増やしたい」が24.0%で、合わせて6割近く(58.1%)が希望条件の変更を望んでいることが判明しています。

所得税の課税最低限の引き上げによって、「年収の壁」に影響があるか否かは、多くの主婦・主夫層が気になるポイントでしょう。
そこで、「160万円への引き上げで“年収の壁”問題は解決すると思うか」をたずねると、半数近く(49.0%)が「思わない」と回答。労働条件や環境、家庭の状況を踏まえて、「年収の壁」の解決には至らないと感じる人が多いようです。
引き上げについてどう思うのか…? 主婦・主夫層のリアルな声
主婦・主夫層に所得税の課税最低限の引き上げに関してどう思うかたずねると、以下のような回答が得られました。
「社会保険関係の壁も上げてくれないとあまり変わらないと思う」(40代:今は働いていない)
「私の周りの人たちは、所得税を気にする人よりも、扶養内で働きたいという考えの人が多いので、160万円に引き上げられた事は、誰も喜んでいません」(50代:パート/アルバイト)
「年収の壁の問題が解決するとは思えないし、年齢の壁という問題もあるので、雇用が増えなければ少なくとも自分にとっては意味がない」(50代:フリー/自営業)
「所得税より週20時間以上で社保加入が短期間パートでも義務な方が問題」(50代:フリー/自営業)
「この制度で働く人が増えるのは良いと思うが根本的な問題はそこではないと思う」(50代:フリー/自営業)
「働き方に選択の幅ができ、いい事だと思う」(50代:派遣社員)
働き方の選択肢が増えることや、影響はあまりないことなど、ポジティブな意見が見られた一方、「扶養内で働きたい」「社会保険関係の壁も解決してほしい」「根本的な課題解決にはならない」といったネガティブな意見も多く見られました。
160万円への引き上げは多くの人の手取りを増やす効果があるものの、“年収の壁”が解決されない点なども挙げられるため、さまざまな視点で今回の政策について考えた方が良さそうです。
出典:【しゅふJOB総研】
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