近年、NISA制度の拡充や資産形成への関心の高まりを背景に、株式投資を始める人が増えているようだ。トレジャープロモートによる調査では、株式投資に取り組む人の割合や金融資産の保有状況に加え、投資に踏み出せない人々の意識も明らかになりました。今回はその実態と株式投資がどのように資産形成に影響しているのかについて見ていきます。

株式投資に取り組んでいる人は約3割

オンライン株式スクール「株の学校ドットコム」を運営するトレジャープロモートは、2025年7月26日~28日にかけて、全国の20代から70代の男女1万人を対象に「株式投資に関する意識調査」を実施した。その結果、株式投資に取り組む人の割合は28.0%と昨年より1.3%増加し、2年連続で上昇傾向にあります。NISA制度の浸透や資産形成への関心の高まりを背景に、投資を通じた資産運用が着実に広がっている実態が明らかになりました。

さらに調査では、金融資産の保有状況についても明確な違いが見られた。金融資産総額が「1億円以上」と回答した人の割合は、投資未経験者では2.5%にとどまったのに対し、株式投資を行っている人では8.5%と3倍以上に上った。また、「1,000万円以上」の資産を保有する人も、投資未経験者が17.3%であるのに対し、投資経験者では45.3%と約半数に達している。一方で、「500万円未満」と回答した人は、投資をしていない層では7割以上を占めたのに対し、投資経験者では4割を下回る結果となり、株式投資に取り組む人ほど資産形成が進んでいる傾向が顕著に表れていることが分かった。いわゆる「億り人」と呼ばれる人々が株式投資を活用していることからも、投資が資産形成に寄与している実態が裏付けられました。
取り組まない理由の1位は「資金不足」

一方で、株式投資を行っていない人々の意識を探ると、そのハードルの高さも明らかになりました。投資をしない理由として最も多かったのは「投資する資金がない(40.0%)」であり、続いて「知識がない(31.5%)」、「損をするのが怖い(21.3%)」が挙げられた。投資を始めるにはある程度まとまった資金が必要と考える人が多く、さらに情報不足や損をするリスクへの不安が心理的な障壁となっている様子がうかがえる。こうした状況から、投資初心者が少額から安心して始められる仕組みや、基礎知識を学べる場の提供が求められていると言えるでしょう。
今回の調査からは、株式投資を実践している人々の資産形成が着実に進んでいる一方で、依然として多くの人が「資金不足」や「知識不足」といった課題を抱えていることが浮き彫りとなった。資産運用への関心が高まるなかで、教育や制度の整備を通じて投資の裾野を広げていくことが、今後の金融リテラシー向上につながる鍵となるでしょう。
出典:【株の学校ドットコム】
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