全国的に最低賃金が1,000円を超え、所得税の課税開始額が160万円に引き上げられるなど、労働環境は目まぐるしく変化している状況だ。扶養枠内で働く人や収入に上限のある人にとっては、最低賃金の上昇を手放しで喜べないケースもあるが、実際はどのように受け止めているのだろうか。また、最低賃金がどの程度まで上がれば、扶養の範囲を超えて働こうと考えるのか。今回は、最低賃金と扶養枠に関する調査結果を紹介する。

最低賃金の上昇に伴い、約半数が「勤務時間を減らす」ことを選択

ビースタイル ホールディングズは、2025年9月18日から30日、ビースタイル スマートキャリア登録者および求人サイト『しゅふJOB』登録者713人を対象に、「最低賃金と扶養枠」に関するインターネット調査を実施した。
収入上限がある人を対象に「最低賃金が上昇することの影響」について尋ねると、「扶養枠など収入上限までに抑えるため、勤務時間を減らす(49.2%)」が最も多い回答となった。「中途半端に上限を超えて働くと手取りが減るため時間を制限しなければならないのは非常に不毛でもどかしい」「主人の会社の扶養範囲内も上げるべきだと思います。でないと時給上がると時間を削るしかない」など声が寄せられた。続いて、「時給単価が上がり年収が増える(42.7%)」、「人件費が上がるため、失業したり仕事が見つかりづらくなる(14.8%)」という回答が続いた。なかには、約1割が「扶養枠などの収入上限を外して働きやすくなる(11.1%)」と回答しており、扶養を外すことを検討している人も一定数見られた。
時給1,500円以上で収入上限を外す人が多数

最低賃金が上昇することで、「収入上限のために勤務時間を減らさざるを得ない」と感じている人が多いという結果となったが、では実際、どの程度の時給であれば扶養を外して働こうと考えるのだろうか。
「あなたは時給換算でいくら位の仕事であれば、扶養枠などの収入上限を外して働くことを選びますか。判断基準として近いものをお教えください」と尋ねたところ、最も多かった回答は「1,500円以上(21.3%)」。次いで「2,000円以上(11.1%)」、「1,300円以上(10.7%)」、「1,200円以上(10.4%)」だった。全体として、時給1,500円以上と回答した人は約6割となった。最低賃金が1,500円を超えれば、扶養枠を外して働く人が大幅に増えると予想される。
とはいえ、「制度の仕組みが分かりにくいため、もっと分かりやすくしてほしい」といった声も多く挙がっている。今後は、扶養枠や上限を引き上げるだけでなく、制度理解のハードルを下げ、誰もが最適な働き方を選べるようにすることが重要な課題と言えるだろう。
出典:【しゅふJOB総研】
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