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SHM-CDは本当に高音質? SHM-CDはなぜ見かける機会が減ったのか

音楽ファンの間で一時注目を集めた「SHM-CD(Super High Material CD)」。従来のCDとは異なる素材を使って高音質となったと謳ったCDの規格で、クリアな音を実現するとして話題になりました。

一方、CD自体の出荷数も減っており、購入する機会も少なくなってきた今、「SHM-CD」を知らない人も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、SHM-CDの基本的な特徴から、現在の状況と今後の展望までを詳しく解説します。

SHM-CDとは何か?その特徴

SHM-CDとは何か?その特徴1
(画像はスマホライフPLUS編集部で作成)
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SHM-CD(Super High Material CD)は、ユニバーサルミュージックと日本ビクターが共同開発した高音質をうたう音楽CDの一種です。通常のCDとは異なり、液晶パネル用に開発された高透明性ポリカーボネート樹脂を使用して製造されています。この特殊な素材により、ディスク表面に刻まれるピット(データのくぼみ)の形成がより正確になり、レーザーによるデータ読み取り精度が向上するとされています。

SHM-CDは本当に高音質?

SHM-CDは端的に言えば「素材の改良を通じてデータ読み取り精度を高め、理論上はより正確な音の再生を目指すCD」です。規格そのものとしてはコンパクトディスク・デジタルオーディオ規格に準拠しており、通常のCDと変わりません。

つまり「規格そのものとしてCDよりも高音質」とは言えず、「良い素材のCD」であるとは言えます。では「良い素材のCDは通常のCDより高音質」なのでしょうか?

SHM-CDは本当に高音質?1
(画像は「photoAC」より)

たとえばSHM-CDが良い素材のCDならば「読み取り時のエラー率の低さ」が期待され、結果として音の再現性が向上する可能性があります。しかし、この点においては良くも悪くもSHM-CDが「普通のCDと規格は同じ」である点は無視できません。普通のCDにもエラー訂正機能が備わっており、ほとんどの読み取りエラーは補正されます。

そのため、SHM-CDの素材による違いが音質に与える影響はごくわずかであり、ほとんどのリスナーにとって聞き分けられるほどの差はないと言えるのではないでしょうか。

またSHM-CDのリリースでは音源のリマスタリングが行われることが多く、このリマスタリングの品質向上によって音が良く感じられる場合があります。つまり、音質の違いを感じるとすれば、それはディスク素材そのものではなく、マスタリングの違いに起因する可能性も高いです。

そのため、SHM-CDという製品の位置づけは「若干良い素材のCD」の域を出ず、それが市場でのニーズ減少の一因とも考えられます。

SHM-CDを見かける機会が減った理由とは?

SHM-CDが市場で見かける機会が減った理由としては、まずは音楽市場全体のデジタル配信への移行が加速したことが挙げられます。ストリーミングサービスやYouTubeなどの無料音楽視聴の普及により、CDの売上は世界的に減少傾向にあり、SHM-CDも例外ではありません。

そのうえで「他の高音質フォーマットとの競合」が、SHM-CDの存在感を弱くする最大の要因だと言えるでしょう。音楽を日常的に楽しむ手段としてストリーミングが台頭した中で、高音質というニッチな需要をハイレゾなどのフォーマットと奪い合ってしまっているのが現状です。

他の高音質フォーマットとの競合

アナログレコードの復興やハイレゾ音源、FLAC形式の音源など、他の高音質フォーマットとの競合も影響しています。

SHM-CDは前述の通り、高透明性素材を使い音質向上を謳ったCDですが、あくまでCD規格に準拠しており、CDを超えるサンプリングレートを扱うものであるとは言えません。価格も高く、一般消費者には魅力が薄い点も否めません。

他の高音質フォーマットとの競合1
(画像はスマホライフPLUS編集部で作成)

「より高音質」を求める方に、SHM-CDよりも魅力的なものとして映るのはハイレゾやFLACといった音源でしょう。ハイレゾやFLACはCDを超えるサンプリングレートとビット深度で明確な音質向上を実現し、デジタル配信やダウンロードで手軽に利用可能であるためです。

CDを超える高音質フォーマットをストリーミングで手軽に楽しめる状況下では、中途半端な媒体としてのSHM-CDのデメリットが浮き彫りになっていると言えるのではないでしょうか。

リマスタリングとの関係性

さらに、音源がリマスタリングされていない商品も存在するため、SHM-CDの音質向上の効果が一層限定的になることがあります。

そして音源そのものがリマスタリングされているならば、音質向上はSHM-CDの効果ではなく「リマスタリングの効果である」という見解も成り立つでしょう。一部の音楽ファンからは、SHM-CDが高音質だというのはプラシーボであるという批判的な声もあります。

SHM-CDの現状と今後の展望

SHM-CDは、特殊な高透明性ポリカーボネート素材を使用することでデータ読み取りの精度を高めた高音質音楽CDです。しかし、音楽市場のデジタル化や他の高音質フォーマットとの競合、製造コスト、販売戦略など、多くの要因が複合的に影響し、見かける機会が減少しています。

特にハイレゾ音源など、他の高音質フォーマットとの競争では相対的に「不利な立場」にあるのが現状と言えるのではないでしょうか。

SHM-CDの現状と今後の展望1
(画像は「photoAC」より)

もっとも音楽を「CDで楽しみたい」という層がまだ少なからず音楽市場に存在することも事実であり、そうした方にとってはSHM-CDはCD規格に完全に準拠したうえで楽しめる高音質媒体として貴重な存在です。

今後、SHM-CDが再び注目を集めるためには、新たな販売戦略、高音質を追求したリマスタリングなどが重要になるでしょう。音楽市場は今後もデジタル化が進むと予想されますが、高音質を求める一定の層には、SHM-CDのような高品質CDのニーズが残る可能性があります。

※サムネイル画像は(Image:​「Amazon」より引用)

スマホライフPLUS編集部

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