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中古販売店で「CCCD」を見つけた!買っても大丈夫?パソコンの取り込み時や再生時に壊れない?

先日、筆者はとある中古店で「コピーコントロールCD(CCCD)」を見つけました。CCCDとは00年代に流通したコピー防止技術を取り入れた音楽再生媒体の1つ。厳密には「CD」の規格とは異なる媒体です。

大塚愛さんやロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」といった国内の有名アーティストの作品から男性アイドル、洋楽では00年代にリバイバルヒットしたQueenのベストアルバムまで、CCCDでリリースされたシングルやアルバムは多数に及びます。

こうしたアーティストの作品を愛してやまない方は、いまでも当時リリースされたCCCDを手に取ってしまう機会があるかもしれません。厳密には「CD」とは言えない「コピーコントロールCD(CCCD)」。CCCDは買っても大丈夫なのでしょうか?

CCCDとは?CCCDで発売された有名な作品の例

(画像は「ビクターエンタテインメント」公式サイトより引用)
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前述の通り、CCCDは00年代に主に流通したコピー防止技術を取り入れた音楽再生媒体です。厳密には音楽用CDの規格とは異なる媒体であったため、CCCDの登場以前に発売されたCDの再生機器では「正常な再生が保証されない」ケースが多発しました。

CCCDでリリースされた代表的な作品としては、たとえば2004年の月9ドラマ「プライド(木村拓哉さん主演)」の主題歌が収録された、Queenの「クイーン・ジュエルズ」が挙げられます。このベストアルバムは累計170万枚という爆発的なヒットとなりました。

Queenの「クイーン・ジュエルズ」(画像は「Amazon」公式サイトより引用)

J-POPでは、まずBoAさんの「Every Heart -ミンナノキモチ-」が国内初のCCCDとして有名です。その他、たとえば大塚愛さんのヒット曲「さくらんぼ」のシングルがCCCDでリリースされたことで有名です。

またASIAN KUNG-FU GENERATIONのメジャーデビュー後初のシングル「未来の欠片」もCCCDでリリース。

(画像は「ASIAN KUNG-FU GENERATION」公式サイトより引用)

なおASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんは後年、自身のブログで「我々は当時、CCCDで『未来の破片』をリリースする際、本当に納得できないのなら自主レーベルを作って自分達でいちからやることだってできたんだ。でも、何年もかかってようやく辿り着いたメジャーとの契約を破棄する度胸はなかった。」と振り返っており、CCCDでのリリースに葛藤があったものと推察されます。

CCCDは「音楽用CDの規格に準拠していない」ため中古でも要注意

00年代に波紋を呼んだ「CCCD」ですが、2024年現在でも音楽CDを取り扱う中古店では「通常のCD」に混ざるようにして店頭に並んでいるケースがあります。CCCDを中古で購入してCDプレーヤーで再生したり、パソコンでリッピングすることに危険性はないのでしょうか。

結論から言えば、CCCDは「音楽用CDの規格に準拠していない」ため中古でも要注意です。

通常のCD規格であるCD-DAとは異なり、CCCDはエラーデータを意図的に含むことで、パソコンでのリッピングやコピーを防ぐ仕組みになっています。よって「CDの再生機器」では「CCCDの正常な再生」は保証していない場合が多く、故障を誘発するリスクがあります。

たとえば2002年にはカシオが自社のCD再生機でのCCCDの再生について「動作や品質の保証はしかねる」という警告を公式サイト上に掲載しています。なおこうした問題は2004年には衆議院の国会質問で取り上げられ、問題視されるほど大きな騒動となりました。

消費者契約法に基づく問題点

00年代当時、CCCDが再生できない場合や機器に故障が発生した場合でも、レコード会社や業者は返品や返金に応じない姿勢を見せていました。この点について、2004年には民主党の川内博史衆院議員(当時)が「消費者契約法上、問題があるのではないか」という内容の質問状を政府に提出しています。

消費者契約法では事業者側に故意や過失がある場合、消費者は損害賠償を請求できます(消費者契約法第8条)。CCCDが再生できなくとも返品や返金に応じないのは、消費者契約法に基づいて考えると「おかしい」という見方もできるでしょう。

つまり法的な観点でも問題点を抱えており、政界でも問題視された媒体であると言えます。たとえ中古であろうと、少なくとも通常のCD-DAよりCCCDを優先して購入する理由はないでしょう。

「くるり」の岸田繁さんはCCCDによる「CDコンポの故障」「音質劣化」を問題視

ミュージシャンの間では「音質の悪さ」や「CCCDの再生によるコンポの故障」を問題視する声もあります。

(画像:「岸田繁さん(@Kishida_Qrl)」Xの投稿画像から引用)

たとえばロックバンド・くるりの岸田繁さんは2016年6月にTwitter(現X)で、CCCDの音質の悪さをめぐってレコード会社と対立したことを告白。岸田さん自身もCCCDにより自宅コンポも故障したとも明かしているほか、一連の投稿の中で「結局出したらあかんモンを出したら負け。勝ち負けやないけど、本気で譲れへんもんを譲ったら負け。」とも述べています。

CCCDのセキュリティ上の問題

CCCDはセキュリティ上での重大な問題も抱えていました。2005年、ソニーBMG製のCCCDにマルウェアの類似する技術が仕込まれていたことが問題に。この問題は、セキュリティ企業F-Secureが指摘したもの。具体的には2005年3月からソニーBMGがCDに採用していたコピー防止技術が、マルウェアの一種であるrootkitに極めて近しい技術であるというものでした。

この問題はアメリカ全土で訴訟に発展しました。SONY BMGはマルウェア類似技術を採用したCDを2005年に1200万枚以上販売したと言われており、中古輸入盤の形でその一部が日本で流通しているおそれもあります。

CCCDでリリースされた作品は「再販」されているケースも多いので通常のCDで購入しよう

このように再生機器やパソコンのCDドライブが「CCCD」を想定して設計されておらず、CDコンポに故障リスクがあることや、法的な問題、セキュリティ面での問題などCCCDは多数の問題を抱えていました。

つまりCCCDは中古販売店でCDの棚に並んでいようと、規格上は正式な意味での「CD」とは言えないでしょう。つまり音楽CDをお求めの方には、中古CCCDの購入は必ずしもおすすめできません。

CCCDでリリースされた作品は後年CD-DAとしてもリリースされたものや、長い年月が経ったことでリマスタリングされたうえで再販されたケースもあります。たとえばロックバンド「L’Arc〜en〜Ciel」のアルバム「SMILE」は2004年に国内で、CCCDでリリースされました。しかし同作は米国でもリリースされ、米国盤はCCCDではなくCD-DA盤で販売されました。

また同作は2022年にリマスタリングされ、2024年現在はダウンロード配信などで楽しむことができます。このように「CD-DAとして再販されたものを探して購入する」か「同じ作品をダウンロード配信で楽しむ」ことを基本的にはおすすめします。

※サムネイル画像は(Image:​「ビクターエンタテインメント」公式サイトより引用)

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