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ブルーレイではなく「DVD」でリリースされる映像作品が今も多いのはなぜ?

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(Image:Snap Spot / Shutterstock.com)
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2025年現在、映像作品の光ディスクとしては高画質なブルーレイ(Blu-ray Disc)が標準となり、4K Ultra HD Blu-rayといったさらなる高画質規格も登場しています。しかし、店頭やオンラインショップには多くの新作映画、アニメ、音楽ライブが、今なお「DVD」でも同時にリリースされています。

日本映像ソフト協会(JVA)のデータによると、2024年のビデオソフト市場において、売上「金額」では単価の高いブルーレイがDVDを大きく上回っています。しかし、販売「本数」に目を向けると、なんとDVDがブルーレイを上回るという逆転現象が起きています。

さらにセル(販売)市場以上にDVDの強さが際立つのが、レンタル市場です。日経の2024年の年間統計によると、レンタル店向けのビデオソフト売上高において、DVDビデオが全体の92.7%を占めているとのこと。

ブルーレイではなく「DVD」でリリースされる映像作品がいまも多いのは何故?1
(画像は「photoAC」より)

では、なぜ技術的には一世代前のフォーマットであるはずのDVDが、これほどまでに生き残り続けているのでしょうか?

今回はブルーレイではなく「DVD」が市場で今でも存在感を発揮し続けている要因を見ていきましょう。

ブルーレイではなく「DVD」の市場シェアが今でも大きい理由

DVDの市場シェアが今でも大きい理由はいろいろと挙げられます。詳しく見てみましょう。

再生環境の圧倒的な普及率

再生環境の圧倒的な普及率1
(Image:Shutterstock.com)

DVDが持つ最大の強みは「ほとんどの環境で再生できる」という圧倒的な互換性です。DVDプレーヤー/レコーダーは長年にわたり高い世帯普及率を維持してきました。そしてブルーレイレコーダーはDVDの再生が可能ですが、その逆はできません。

この「ほとんどの人が再生できる」という安心感は、作り手側にとっても重要でしょう。特に、全国の学校や図書館といった教育機関での利用、PCでの視聴を主とする層、あるいは新しい機器の導入に積極的でない高齢者層など、幅広い層に作品を届けたい場合、DVDは最も確実な媒体であり続けています。

ユーザーにも制作者にも優しい「価格」

ユーザーにも制作者にも優しい「価格」1
(画像は「デアゴスティーニ」公式サイトより引用)

DVDは「安価でお手軽な媒体」としても、ブルーレイとは異なる魅力を発揮し続けています。ディスクの製造コストがブルーレイよりも低く、ユーザー側にとっても一般的にDVDソフトはブルーレイに比べて安価です。
こうした「安価でお手頃」なDVDの代表例には、分冊版のDVDコレクションが挙げられるでしょう。

デアゴスティーニに代表されるパートワーク(分冊百科)で、往年の名作ドラマや映画がDVDコレクションとして展開されるのは所有欲やコンプリート欲という心理を突きながらも、一つひとつが安価で気軽に購入できる点で好例といえるでしょう。

画質へのこだわりの多様化

ブルーレイのフルHD画質(約207万画素)は、DVDの標準画質(SD画質、約35万画素)を圧倒しています。つまり、ブルーレイの画質はDVDと比べてはるかにきれいということです。

一方、すべてのユーザーが、すべてのコンテンツで最高の画質を求めているわけではありません。たとえば、1980年代や90年代に制作されたテレビドラマや、トークが中心のバラエティ番組、セミナー映像など、コンテンツの内容によってはSD画質で十分に楽しめるでしょう。

また、大画面ではなくあくまで小さなディスプレイで視聴する程度ならば、DVDとブルーレイの画質差は体感しにくい場合もあります。視聴スタイルの多様化が、結果として「DVDの画質で十分」と考える層を維持しているとも言えるでしょう。

コピーガードの違い

DVDとブルーレイは、いずれも映像や音声などのデジタルコンテンツを保存するための光ディスクですが、コピーガード(コピープロテクト)の仕組みや強度には大きな違いがあります。

DVDの代表的なコピーガードは「CSS(Content Scramble System)」。CSSは不正なコピーはできない構造になっていますが、比較的古い暗号化技術ということもあり、解除ツールやリッピングソフトが世界中で流通しています。

一方、ブルーレイは「AACS」や「BD+」「Cinavia」など、より強力で多層的なコピーガードを採用しており、現在でも解除やコピーが困難です。そのため、コピーガードの強さではブルーレイの方がはるかに優れています。

DVDとブルーレイの役割分担は、どのように進むのか?

DVDとブルーレイの役割分担は、どのように進むのか?1
(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

DVDが今なおリリースされ続けるのは、単に「古いメディア」として惰性で残っているからではなく、「圧倒的な普及率」「価格の優位性」「特定の需要への最適化」といった、極めて合理的で構造的な理由に基づいていることがわかります。

つまりDVDとブルーレイは、それを求めるユーザーの層が違うと言えます。今後、DVDはコレクションの「入門編」として、ブルーレイは「豪華版」として、それぞれの役割を担っていくでしょう。

・超高画質・高音質(プレミアム体験):4K Ultra HD ブルーレイ
・高画質・コレクション(ファン向け):ブルーレイ
・手軽さ・低価格・広い互換性(マス向け):DVD
・利便性・最新作の迅速な視聴(日常利用):動画配信サービス

私たちの映像視聴スタイルが多様化し、一つの正解がなくなる時代だからこそ、それぞれのメディアが独自の強みを発揮する余地が生まれます。その中でDVDは、最も広く、最も手軽に映像コンテンツを届けることができるユニバーサルなメディアとして、まだしばらくは私たちのそばにあり続けるに違いありません。

※サムネイル画像(Image:Snap Spot / Shutterstock.com)

スマホライフPLUS編集部

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