DJ SHIN(@DJ_SHIN)さんがX(旧Twitter)に投稿した写真が、多くのユーザーの目を引いた。添えられた言葉は「どんな番組も一発で呼び出せるリモコン」。ハッシュタグは「#絶滅メディア博物館」だ。

画像に写るのは、縦長のボディにびっしりと並んだテレビチャンネルのロゴボタン。地上波からBS、CS、専門チャンネルまで、まるでテレビ番組表をそのまま物理化したかのような圧巻のデザインである。
リモコン全面がチャンネルボタン
写真を見ると、リモコンの上半分はすべてチャンネル専用ボタンで占められている。スポーツ、映画、アニメ、音楽、ニュース、趣味系…ジャンルを問わず多数のチャンネルがロゴ付きのボタンで表示され、押せば即座にその番組が視聴できる構造だ。現代の一般的なリモコンは数字ボタンや上下のチャンネル切り替えが基本だが、このモデルでは“探す”という行為を挟まず、目に入ったロゴを押すだけで目的の番組へ飛べる。
こうした仕様は特にスカパー!やケーブルテレビなどの多チャンネル放送環境で真価を発揮した。何百ものチャンネル番号を暗記する必要も、番組表をスクロールする必要もない。まさに「一発呼び出し」という表現がぴったりの、直感的な操作性だ。
実在した可能性は高い
このリモコンは見た目のインパクトから「ネタか?」と思う人もいるだろう。しかし実際、こうした全チャンネル専用ボタンを備えたリモコンは、過去に存在した可能性が高い。スカパー!やケーブルテレビの一部チューナーでは、リモコンのボタンに任意のチャンネルを割り当てる「短縮選局」機能があり、各チャンネルロゴを印刷またはシールで貼った専用リモコンも存在した。また、チャンネル数の多いサービスでは、選局を高速化するために物理ボタンを多く配置したリモコンが実際に使われていた記録もある。
特にデジタル放送普及初期、スカパー!プレミアムサービスなどでは200以上のチャンネルが存在していたため、番号入力よりもロゴボタン方式の方が圧倒的に便利だった。したがって、このリモコンは単なるジョークグッズではなく、当時の実用性に根ざしたデザインであった可能性が高い。
キャラクターと万能操作
チャンネルボタン群の下には、青い頭と黄色い体を持つスカパー!のキャラクターが描かれ、その下には「番組表」「色ボタン」「数字キー」などの操作部が配置されている。色ボタンは録画やジャンル選択などの機能に割り当てられ、数字キーを使えば専用ボタンにないチャンネルにもアクセス可能。音量調整や消音、選局などの基本操作も備えており、この一本で視聴から録画まで完結できたと考えられる。
「絶滅メディア」としての背景
全チャンネル専用ボタン型リモコンが姿を消した理由はいくつかある。まず、放送チャンネルや編成の変化が頻繁になり、印刷されたロゴや配置がすぐに陳腐化してしまう点。さらに、電子番組表(EPG)が普及し、画面上で番組を選ぶ操作が主流になったことで、物理ボタンの優位性が薄れた。また、テレビやチューナーの操作はスマホアプリや音声アシスタントでも可能になり、物理リモコンそのものの存在感が相対的に低下した。
物理操作の魅力
それでも、このリモコンには現代のデジタルUIでは味わえない魅力がある。ロゴを見て直感的に押す操作は、画面メニューを開いてスクロールするよりも圧倒的に速く、間違いも少ない。物理ボタンの押し心地、指先の感覚だけで操作できる安心感は、高齢者や機械が苦手な人にとって大きな利点だった。家庭ごとに「よく使うボタン」は自然と決まってきて、家族の好みや生活パターンまでこの一本に刻まれていたと言える。
まとめ
DJ SHIN(@DJ_SHIN)さんが紹介した「どんな番組も一発で呼び出せるリモコン」は、テレビ文化の一時代を象徴する存在だ。大量の専用ボタンという物理的アプローチは、今では電子番組表やスマホアプリに取って代わられたが、その即応性や触覚的な操作感は今も新鮮に映る。これは単なる懐古ではなく、便利さと直感性のバランスを考え直すヒントでもある。もしこうしたリモコンが現代版として復活すれば、シンプルで使いやすいテレビ操作の選択肢として再び支持を集めるかもしれない。
どんな番組も一発で呼び出せるリモコン #絶滅メディア博物館 pic.twitter.com/WMXeVGryBi
— DJ SHIN (@DJ_SHIN) August 8, 2025
※サムネイル画像(Image:「DJ SHIN(@DJ_SHIN)」さん提供)