近年、固定電話を狙った特殊詐欺が急増しており、その多くが「+」で始まる国際電話番号を利用した手口で行われています。そもそも海外に知り合いがいない高齢者世帯で、国際電話が詐欺や迷惑勧誘の温床になりやすいという状況を受けて、NTT東日本・西日本は2025年6月から、固定電話の国際電話利用休止手続きの受付を強化。詐欺被害の抑止に取り組んでいます。
NTTが国際電話の利用休止申し込みの受付強化をするということは、固定電話に国際電話は「不要」なうえに使用し続けることは危険なのでしょうか? 具体的に見ていきましょう。

特殊詐欺のきっかけとしての「固定電話への着信」について

特殊詐欺の多くは、被害者の自宅固定電話への着信から始まります。特殊詐欺事件の9割以上が固定電話を通じて発生しているともいわれており、特に高齢者が多く契約している固定電話が狙われやすい傾向にあります。
その理由は固定電話の番号が電話帳や名簿業者を通じて広く流通していることや、高齢者世帯での利用が多いため。「アポ電」と呼ばれる事前確認の電話をかけ、応答の有無や対応を確認して、犯行に及ぶケースが大半です。
特殊詐欺対策としての「国際電話の着信拒否」の有効性

国際電話を受け付けない設定にすると、固定電話の着信履歴から「+」番号が一掃されるため、不審な着信に対して家族が受話器を取ってしまうリスクが根本的に減少します。国際電話を遮断すれば、被害のスタートラインに立たない状態を作り出すことができるでしょう。
犯人側のコスト構造を考えると、海外から複数回発信を続けてつながらない番号には価値がなく、迷惑電話が減る可能性が充分考えられます。
固定電話の「国際電話の利用休止」をNTTが申し込み受付強化
NTT東日本・西日本は、特殊詐欺対策の一環として「国際電話の利用休止」手続きの受付を強化しています。

「国際電話の利用休止」は電話もしくはウェブから申し込み可能で、申請を行うと、国際電話番号からの着信を無償で拒否することが可能です。
さらにこの取り組みは先述した通り2025年6月から強化。新規契約時にNTTから国際電話の利用意向が確認されるようになったほか、これまで手続きを行う際には「NTT東日本・西日本」と「国際電話不取扱受付センター」それぞれに申し込みをしなければならなかったものが、NTT側で一括して申し込みができるようになりました。
「国際電話の利用休止」以外の国際電話の着信拒否手段について
「国際電話の利用休止」以外にも、各スマホキャリアが迷惑電話の拒否サービスを提供しています。

たとえばドコモでは、「迷惑電話ストップサービス」を利用することで、国際電話の着信を拒否することが可能。さらにauは「迷惑メッセージ・電話ブロック」アプリ、ソフトバンクでは「ナンバーブロック」というサービスを提供しています。
スマホで国際電話を拒否したい場合はこうしたサービスの利用も考えてみましょう。
固定電話に国際電話は不要?
多くの家庭や高齢者世帯では、日常生活で海外との通話が必要ないケースがほとんどです。むしろ、国際電話を利用できる状態にしておくことで、詐欺や迷惑電話のリスクにさらされる可能性が高まります。特に「+」で始まる国際電話番号からの着信は詐欺の手口として悪用されやすく、警察や自治体も「海外との通話が不要な方は国際電話の利用休止を」と積極的に呼びかけています。国際電話の利用休止は無償で手続きでき、必要になった場合は再開も可能ですので、不要な方は積極的に利用休止を検討することが、安心・安全な固定電話利用につながります。
※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)※画像は一部編集部で加工しています