新規参入や各社のデータ増量や値下げキャンペーンもあり、活性化している国内のMVNO市場。実際に回線契約数は増加しているのでしょうか。また、事業者シェアや個人・法人向けそれぞれの市場傾向についても気になるところです。そこで今回は、7月3日に公開された「国内MVNO市場調査」をご紹介します。

独自サービス型SIMの回線契約数は前年比4.1%増

ICT市場調査コンサルティングのMM総研では、「国内MVNO市場調査」を実施。
2025年3月末時点で、独自サービス型SIM(※MVNOがSIMカードを活用して独自の料金プランで提供する回線サービス)の回線契約数は1363.5 万回線で、前年同期に比べて4.1%増加しました。
IoT向け用途や対面販売を重視する個人向けが伸びたことにより、微増したと考えられます。
事業者シェア1位は「インターネットイニシアティブ(IIJ)」! 法人向けで伸長

事業者シェアを調査した結果、1位は「IIJmio」などを提供するインターネットイニシアティブ(IIJ)でした。ネットワークカメラ・GPS(全地球測位システム)デバイスなどIoT用の法人向けで回線数を伸長しています。
2位は「mineo」などを提供するオプテージ、3位は「OCNモバイルONE」などを提供するNTTドコモ、4位は「J:COM MOBILE」のJCOM、5位は「イオンモバイル」のイオンリテールとなっています。

独自サービス型SIMの回線契約数は携帯電話市場全体から見ると、6.0%と横ばいで推移していますが、カブ&ピース、メルカリ、「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、日本航空(JAL)など多様な企業が新規参入しており、独自サービス型SIM市場の活性化に寄与している状況です。
また、事業者シェア1位となったIIJが既存プランのデータ増量と値下げを実施し、オプテージ(mineo)も50GBプランの追加データ無制限プランの拡充、割引キャンペーンを展開するなど、サービスの競争力を強化している点も、独自サービス型SIM市場の成長を活性化させる理由の一つと言えそうです。
2028年3月末時点のIoT向け回線比率は65.9%の見込み

独自サービス型SIM市場予測を見てみると、2026年3月末時点の独自サービス型SIM市場は、1,530万回線になると予測されています。ネットワークカメラなどの法人向けIoT用途のSIMが主力に、2028年3月末時点のIoT向け回線比率は65.9%に達すると見込まれています。
MNOとの価格競争の影響を受け、特に個人向け市場で厳しい状況が続いているMVNO市場。「低価格」という魅力だけでなく、通信品質やサポート、端末ラインアップなどの付加価値の提供が、今後市場拡大のポイントとなるでしょう。
出典:【MM総研】
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