中古スマホの販売店などでしばしば目にする「赤ロム」という言葉。この「赤ロム」、実は2025年現在、原則販売禁止にする方向で総務省が動き出していますが、2025年時点では完全に禁止されていないのが現状です。

何故「赤ロム」を総務省は禁止する方向で議論を進めているのでしょうか。また赤ロムが一斉に禁止になった場合、一般消費者にとってデメリットはないのでしょうか?
今回は赤ロムの危険性と、意外な「赤ロムを買うメリット」をご紹介します。
中古スマホを買う際の「赤ロム」とは?(総務省の定義)
総務省が定義している「赤ロム」は、携帯キャリアによってネットワーク利用制限がかけられた端末のこと。具体的には、端末代金が未払いのスマホなどが対象です。
この制限がかけられたSIMカードの未挿入端末は、SIMカードを挿入しても通話やデータ通信ができません。

ちなみにSIMカード未挿入の「ネットワーク利用制限がかけられていない」端末は、通常通り利用可能。こうした端末は「白ロム」です。なお、端末が赤ロムかどうかは、端末の製造番号から調べることが可能です。
総務省は「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整中
なお総務省は2024年4月、「競争ルールの検証に関するワーキンググループ」において「ネットワーク利用制限」を原則廃止する方向性を明らかにしました。つまり、将来的にネットワーク利用制限が禁止された場合、「中古で買ったスマホが赤ロムだった」というリスクがなくなります。
「赤ロム」には不正防止の役割がある反面で、中古スマホを買った当人に非がないにもかかわらず「買ったスマホがいきなり使えなくなる」という不利益を被るリスクがあることが問題視されています。こうした点を総務省も問題視し、ワーキンググループで議論が進んでいると思われます。
そもそも「赤ロム」はなぜ危険なの?
端末に対するネットワーク利用制限は端末の不正契約や不正取得、代金未払いなどの不正行為に対するキャリア側の対策の一環として行われます。
そうして生じる「赤ロム」が危険視される理由は、ロックされた端末が中古市場に出回った場合、前の持ち主と関係ない第三者が通信キャリアのネットワークに接続できなくなるリスクがあるという点です。
もっとも近年は赤ロム対策として、中古スマホの販売店では端末に△マークを付けるなどして「その端末が赤ロムである可能性」を明示。その上で、赤ロム保証を提供するケースが増えています。
こうした保証が充実する以前は、赤ロムは見た目では判別が難しいことから、購入後に初めて問題に気づくユーザーも少なからずいました。
中古スマホに「赤ロム永久保証」を付ける中古販売店は多い
前述の通り、赤ロムのリスクを軽減するために、多くの中古スマホ販売店が「赤ロム永久保証」を提供しています。以下の表は、赤ロム永久保証を提供している中古スマホ販売店の保証の内訳の例です。

なお、有償保証に入らなくとも、赤ロム保証は通常保証の範囲内で永久的に提供されることが多いです。たとえば、ゲオの場合は購入後30日以内に赤ロムが発覚した場合、「赤ロム永久保証」に入っていなくても同等品と交換もしくは返金が可能です。
つまり、総務省のワーキンググループで赤ロム規制が話し合われている現状ではありますが、そもそも従来と比較し、民間レベルでの赤ロム対策は非常に充実しているのもまた事実です。
販売店側での保証があまり充実していなかった時代と比較すれば、赤ロムの危険性はだいぶ薄れていると言っても過言ではないかもしれません。
赤ロムを避けるためには?
赤ロムを避けるための方法のひとつが、製造番号(IMEI)を確認すること。
iPhoneの場合、設定アプリ→「一般」→「情報」から、Androidスマホの場合は、設定アプリ→「デバイス情報」から確認できます。

確認したIMEIは各キャリアの照会ページで「ネットワーク利用制限」が掛かっていないかどうか、つまり赤ロムかどうか確認することができます。
なお、中古販売店ではこの方法で赤ロムかどうかを確認している場合が多いですが、個人間取引の場合は自分で聞くことをおすすめします。もし把握できない場合や誤魔化された場合は取引を見送ることも検討しましょう。
「赤ロム」は決して悪いことばかりではない!
「赤ロム」の禁止が議論されている昨今ではありますが、赤ロムは必ずしも「悪いことばかり」のものでもありません。危険性の陰に隠れがちな、赤ロムのメリットも2点ほど最後にご紹介します。
そもそも「代金を払わない人」への対策として有効
そもそも赤ロムは分割払いや割賦払いで料金を支払わない人への対策という一面があります。キャリアにとっては未払いのリスクを軽減し、不正利用を防止することが可能な方法の1つです。
そのため赤ロムがなくなることにより、割賦支払いを途中でやめて端末を中古販売店に売り払って放棄する人が出てくる可能性が高まるかもしれません。
するとキャリアにとっては店頭での端末販売時に、その購入者は本当に信頼できる人物なのかチェックを強めざるを得ないでしょう。赤ロム規制は新規のスマホ購入のハードルが大きく上がってしまうリスクを孕んでいます。
「赤ロム保証」を使った中古スマホの購入テクニック
より身近なトピックとしては、中古スマホ販売店で「あえて赤ロム端末を買う」という購入テクニックが使えなくなってしまうのも寂しいところ。
先述した通り、中古販売店では赤ロムの危険性がある端末は「△」(※残価があり、将来的に端末が赤ロムになる可能性がある)と明記されたうえで販売されていることが多いです。

そうした「赤ロム」をあえて購入し、なおかつ赤ロム保証に入っておけば、万が一本当に赤ロムだった場合も返金もしくは同等品に代えてもらうことが可能。赤ロムでなかった場合はそのまま使い続けることができます。
たとえば、中古販売店「イオシス」の場合、「△」で売られている端末が本当に赤ロムになってしまう可能性は0.15%とのこと。つまり、端末が赤ロムになる可能性は非常に低く、万が一があっても保証があるため、安心です。
赤ロムの端末は、ネットワーク利用制限がかかっていない端末より非常に安価に売られているケースが多いです。そのため「中古かつ赤ロムの端末を買う」のはお得にスマホを入手する一つの手段でもあります。
そうした購入テクニックが、今後は使えなくなってしまう可能性があるのはスマホ好きとしてはちょっと寂しい点でもあります。今後の総務省のワーキンググループによる議論の進捗から、目が離せないですね。
※サムネイル画像(Image:Lokyo Multimedia JP / Shutterstock.com)