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「翌朝。」のひと言で伝わる南極の過酷さ 沈まない太陽を撮ろうとした投稿が話題に

「ようし、せっかく南極大陸に来たんだから沈まない太陽のタイムラプスを撮るぞ!寝る前にGoProをセットして……と」

翌朝。

この投稿がX(旧Twitter)に流れてきた瞬間、多くの人が「すべてを理解して笑ってしまった」と感じたのではないか。

投稿主の騎空士鮫ミンよりも遠い場所(@usa_akasa)さんは、南極での白夜という貴重な自然現象を記録すべく、GoProをセットして寝床についた。その期待とワクワク感が、投稿の前半二行にしっかり込められている。誰もが「これはきっときれいなタイムラプス動画が撮れたのだろう」と続きを待った──その次の行までは。

「翌朝。」

「翌朝。」のひと言で伝わる南極の過酷さ 沈まない太陽を撮ろうとした投稿が話題にの画像1
(画像は「騎空士鮫ミンよりも遠い場所(@usa_akasa)」さん提供)
この記事の画像(2枚)

たった三文字のこの一言とともに添えられたのは、うっすらと霜が付着したGoProの写真である。まるで石器のようだ、というコメントも寄せられていた。その写真が雄弁に語っていたのは、「撮影に失敗した」ということだけでなく、機材が南極の厳しい寒さにまったく太刀打ちできなかった現実である。ちなみにその後GoProはしっかりと起動し、故障はしていなかったという。

過酷な環境下での撮影とGoProの限界

GoProシリーズは、アクションカメラとして高い評価を得ている製品だ。防水・防塵仕様であり、屋外での撮影や過酷な条件でも使用可能とされている。だが、寒冷地での長時間撮影にはいくつかの限界がある。

「翌朝。」のひと言で伝わる南極の過酷さ 沈まない太陽を撮ろうとした投稿が話題にの画像1
「GoPro」(Image:SiljeAO / Shutterstock.com)

たとえば、最新モデルのGoPro HERO12 Blackでも、動作温度の推奨範囲は-10℃から+35℃程度とされている。南極の夜間、体感温度はマイナス30℃以下にまで下がることがある。こうした極端な低温下では、内蔵バッテリーが急速に劣化・停止し、カメラそのものが起動不能になる。

さらに、結露や霜によってレンズが覆われてしまえば、仮に電源が入っていたとしても映像としては成立しない。騎空士鮫ミンよりも遠い場所(@usa_akasa)さんの投稿写真に写るGoProも、外装が冷気に晒され、すでに通常の機能を果たせる状態ではなかったと推測される。

GoProのようなアクションカメラは基本的に屋外利用を想定しているが、それは「人間が活動可能な環境」に限定されている。南極の極寒下は、人間どころか電子機器の想定性能をも超える過酷な環境だ。そのため、こうした環境での撮影には、もはや個人が持ち込める機材の枠を超えた「観測装備」に近い備えが必要になってくる。

対策はあったのか?寒冷地撮影の現実

このような環境で撮影を成功させるには、いくつかの準備が必要である。

・バッテリーを複数持ち歩き、身体に密着させて保温すること
・撮影機材をウィンドシールドや断熱素材で包むこと
・保温ケースやカイロを活用し、カメラ本体の過冷却を防ぐこと
・超低温対応の外部バッテリーシステムを使うこと

さらに、撮影時間を限定し、短時間で切り上げることも重要である。SNS投稿用のタイムラプス撮影であっても、自然条件に合わせた「見切り」や「割り切り」が求められる。南極では“粘った方が負ける”という極地ルールがあるほどだ。

また、失敗してもその体験をコンテンツとして昇華できる発信力が、SNS時代の個人発信者には求められているのかもしれない。騎空士鮫ミンよりも遠い場所(@usa_akasa)さんの投稿は、まさにその好例といえる。

SNSにおける「語らない投稿」の妙

リプライ欄の反応を含めてこの投稿の“行間の妙”に注目が集まっていた。実際、「翌朝。」というひとことと写真だけで状況が察せることや、あえて失敗を明言しない構成力に感嘆の声が見られた。何も説明していないからこそ、読む側が想像をふくらませる余白があり、共感が生まれる。これは現代のSNSにおいて、ひとつの「完成形」とも言える技術だ。

SNS上ではしばしば、長文で説明される“失敗談”が見られるが、本当に人の心を動かすのは「語りすぎない言葉」と「印象的な一枚」かもしれない。

沈まない太陽を撮ろうとして、機材が応えてくれなかった夜。

騎空士鮫ミンよりも遠い場所(@usa_akasa)さんの投稿は、スマホやアクションカメラに記録を委ねる時代において、「記録できなかったこと」すらも価値ある記憶に変わると教えてくれる。高性能な機材でさえ及ばなかった南極の自然。そしてその体験を、たった三行と一枚で描き切った投稿主のセンスは、多くの人の心に静かに、しかし確かに刺さっている。

機材が凍ったのか、撮影できなかったのか、そもそも起動すらしなかったのか──それすら明言されないまま、あの投稿はXのタイムラインにひっそりと現れた。

そして、多くを語らずにすべてを伝える「翌朝。」の一言は、私たちの記憶の中にしっかりと焼き付いた。

※サムネイル画像(Image:「騎空士鮫ミンよりも遠い場所(@usa_akasa)」さん提供)

スマホライフPLUS編集部

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