キャッシュレス決済が日常となったいま、スマホで支払いを済ませる場面はあまりにも自然な光景となっている。だがその一方で、ある“音”に強い違和感を覚えるユーザーの声がX(旧Twitter)で注目を集めた。
話題となったのは、陽介(@052ysk)さんの投稿である。
PayPay使うときに出る「ペイペイ♪」って音、俺が汗水流して必死で稼いだ金が出て行く時に出していい音じゃない。
悲鳴とかであるべき。

この率直な投稿には、多くの共感が寄せられた。「わかる」「まさにそれ」「あの音がムダ遣いをあざ笑ってくる感じがしてイヤだ」など、返信欄には“モヤモヤ”を共有する声が相次いだ。日常的にPayPayを利用している人の中には、決済音が鳴るたびに小さなストレスを感じていた人も少なくないようだ。
PayPayの「ペイペイ♪」という通知音は、ポップで親しみやすい印象を与えることを意図して作られたものだろう。実際に初めてキャッシュレス決済に触れた人々にとっては、「音が鳴るから安心」と好意的に受け止められることも多い。だが、陽介さんが指摘するように、お金が出ていく瞬間にあまりにも軽快な音が鳴ることに違和感を覚えるという心理は、ごく自然な反応である。
「音」がもたらす感情のギャップ

人は音によって感情を左右される。支払いという行為は、たとえ小額であっても自分の資源を手放す場面だ。そのときに流れる音が、明るく、無邪気で、軽やかであればあるほど、現実とのギャップが浮き彫りになる。
陽介さんが投稿で述べた「悲鳴とかであるべき」という言葉には、皮肉だけでなく、お金を使うことの“重さ”をもう一度きちんと意識したいという本音がにじむ。現金払いであれば、財布から紙幣を取り出すという行為に実感がともなう。だが、キャッシュレスではその感覚が希薄になる。その上で、軽快な音が“何もなかったようにお金が消えていく”ことを象徴するように響けば、虚しさを感じるのも当然である。
この音に対する違和感は、日々の積み重ねによってより大きくなる。特に、家計を管理している人や、支出に対して敏感な人にとっては、ほんの一音が“傷口に塩”となりかねない。実際に、「高額の買い物をしたときほどこの音がつらい」「PayPayの音で現実に引き戻される」といった声も散見される。
サービス体験はもっと柔軟であるべきだ
こうした反応は、「ペイペイ♪」という音が悪いというよりも、それを一律にすべてのユーザーに適用している設計に課題があるという話である。通知音を消したくても、現状ではアプリ側に明確なカスタマイズ機能が用意されていない。スマートフォン側で音を切るしか方法がないのが実情だ。
仮にこの音が選べるようになったらどうだろう。陽介さんのように「悲鳴」のような音が選べたら、あるいは「静かなバイブのみ」といった設定が可能になれば、ユーザーの満足度は飛躍的に上がるはずである。
実際、通知音が選べるキャッシュレスサービスはまだ少ないが、今後は「音のUX」も重要な差別化ポイントとなるだろう。人によって感じ方が異なるからこそ、自由度を持たせることが、より多くの利用者にとっての快適さにつながる。
陽介さんの投稿は、決してひとつの愚痴ではない。キャッシュレス社会の当たり前に埋もれかけていた違和感に光を当てた、率直で鋭い提案でもある。「お金を使うこと」と「音の演出」は、もっと対話されるべきなのだ。
スマートな時代にこそ、ユーザーの“心の声”にも耳を傾ける設計が求められている。
PayPay使うときに出る「ペイペイ♪」って音、俺が汗水流して必死で稼いだ金が出て行く時に出していい音じゃない。
— 陽介 (@052ysk) July 6, 2025
悲鳴とかであるべき。
※サムネイル画像は(Image:スマホライフPLUS編集部撮影)