通常、定期券といえば乗車区間が限定されたものをイメージするでしょうが、東京メトロには乗車区間を指定せず、全9路線すべてが乗り放題になる「全線定期券」も用意されています。価格は1カ月で1万7,670円もしますが、これっていったいどんな人がお得に利用できるのでしょうか……?

「東京メトロ全線定期券」ってどんなもの?
首都圏に住んでいる人にはおなじみの東京メトロ。現在は銀座線、日比谷線、東西線など全9路線が運行されています。
通常の「通勤・通学定期券」は乗車区間が限定されていますし、観光客向けの「乗り放題券」は24時間などの短時間に限定されていることでお得に利用できます。
ところが、東京メトロでは、1カ月~6カ月の長期間で全9路線をどこでも自由に乗り放題となる「東京メトロ全線定期券」も用意されています。
●【公式】東京メトロ「全線定期券」は→こちら

この東京メトロ全線定期券は、通常の通勤・通学定期券と違って駅や経路を特定せず、東京メトロならどこでも乗り降り自由。価格は1カ月1万7,670円、3カ月5万360円、6カ月9万5,420円となっています。
ちなみに、東京メトロ最長区間(西船橋-和光市間)の通常定期は1カ月9,690円。全線定期はその2倍近くの価格になります。
特定の路線しか乗らない人であればかなり割高になりますが、いったいどのような人が東京メトロ全線定期券を利用するとお得になるのでしょうか?

東京メトロ全線定期券は営業職の強い味方!?
先ほど紹介したように、東京メトロ全線定期券を通勤・通学だけで使うにはかなり割高になります。
東京メトロでは24時間乗り放題になる「24時間券」も販売されていますが、価格は大人で700円。ということは、東京メトロ全線定期券は1カ月に25日以上、1日700円以上利用しないとお得にはならないという計算になります。
●【公式】東京メトロ「各種一日乗車券」は→こちら

つまり、東京メトロ全線定期券は平日・休日問わず通勤定期券以外の路線によく乗る人であれば、元が取れる可能性があります。
たとえば、都内を1日に何カ所も地下鉄で移動する営業職や自営業の人であれば、比較的容易に元が取れる可能性があります。もちろん、東京メトロ全線定期券は通勤定期としても使えます。
あるいは、会社を退職した人、平日も含め趣味で都内を東京メトロでいろいろ散策したいという人なら元が取れるかもしれませんね。
意外な落とし穴! いつの間にか他社路線に乗っていた!?
都内を何カ所も移動する営業職には強い味方になりそうな東京メトロ全線定期券ですが、意外な落とし穴もあります。それが、他社との相互直通運転。
東京メトロは利便性を高めるため、多くの路線で他社と相互直通運転を行っています。たとえば、千代田線は代々木上原から小田急線に、半蔵門線は押上から東武鉄道、渋谷から東急電鉄へ。東西線は中野からJR東日本、有楽町線・副都心線は小竹向原から西武鉄道に乗り入れています。
このため、気づかないうちに他社路線に入ってしまうこともあるんですね。その場合は、東京メトロ全線定期券では下車できず精算が必要になります。
東京メトロをよく利用している人でも、普段使わない路線のことは意外と分かっていないので、実際に利用するときは「どこから先が他社路線か」を事前に把握しておく必要があるでしょう。

まとめ
いかがでしょうか? 今回は東京メトロの全線定期券を紹介しました。これは経路を指定せず、東京メトロの全9路線を自由に乗り降りできるユニークな定期券。
都内を東京メトロで広範囲に移動する営業職や、都内を散策するのが趣味といった人なら元が取れる可能性があります。
ただ、東京メトロは他社路線への相互直通運転を行っていることが多いため、気づかないうちに他社路線に乗り入れてしまうと追加料金が発生しますので注意してください。
なお、全線定期券を販売しているのは全国的にも珍しく、東京メトロのほかは、仙台市交通局、福岡市交通局などごく一部です。
※サムネイル画像は(Image:「東京メトロ」公式サイトより引用)