日本で唯一の定期寝台特急「サンライズ出雲」は、東京-出雲市間で毎日運行されていますが、繁忙期になると毎年臨時便が運行されるのをご存じでしょうか? どうしても、GWやお盆、年末年始などでサンライズ出雲に乗ってみたければ、臨時便にも注目してみましょう。ただし、通常便と臨時便はけっこう違う部分もあるんですよ。
そもそも、サンライズ出雲ってどんな列車なの?
そもそも「サンライズ出雲」は、東京-出雲市間の1,000キロ弱を走る現在唯一の定期運行寝台特急です。客室は大きく分けて1人用のA寝台とB寝台があるほか、2人用のツイン、寝台券のいらない雑魚寝のノビノビ座席などがあります。
サンライズ出雲の列車内は一部2階建て構造になっており、シャワー室やラウンジなども備えた非常に珍しい車両です。ただし、食堂車や車内販売などはありません。



サンライズ出雲のチケットは、1カ月前の朝10時にJRの主要駅にあるみどりの窓口に並んで購入するのが一般的です。とくに繁忙期にはプラチナチケットになっていて、非常に取りにくくなっているので、確実に入手したい場合は、みどりの窓口で「10時打ち」を依頼したほうがいいでしょう。
料金は、一般的なB寝台のシングルの場合で1人7,700円。これに特急料金3,300円(繁忙期は200円~400円増)、東京-出雲間の片道運賃1万2,210円が追加され、合計2万3,210円ほどかかります。
なお、現在ではJR西日本ネット予約サービス「e5489」でも寝台の予約を1カ月前から行うことも可能となっていますので、繁忙期以外なら比較的取りやすいでしょう。
●JR西日本「e5489」は→こちら

サンライズ出雲の「臨時便」ってどんなもの?
そもそも、毎日定期運行しているサンライズ出雲の下りは「サンライズ瀬戸」と連結されています。途中、岡山駅でサンライズ瀬戸は切り離され、サンライズ出雲だけが伯備線経由で出雲大社で有名な島根県出雲市に向かうんですね。
2025年1月現在、東京→出雲市行(下り)は21時50分に東京駅を出発し、翌朝10時00分に終点の出雲市駅に到着します。
出雲市→東京行(上り)は18時57分に出雲市駅を出発、途中、岡山駅でサンライズ瀬戸と連結して、翌朝07時08分に東京駅に到着。いずれも約12時間の長旅となっています。


これに対し、臨時便は例年5月のGW、8月のお盆、12月~1月の年末年始に設定されています。2024年の場合、下り91号は22時21分東京駅発→13時40分出雲市駅着、上り92号は13時52分出雲市駅発→6時23分東京駅着となっていました。
具体的には、GWの下り91号は5月2日と6日の2本、上り92号が5月1日と5日の2本。お盆時期には下り91号が8月10日と17日の2本、上り92号が8月8日と16日の2本が予定されていましたが、8月10日は南海トラフ地震臨時情報で運休となっています。
また、年末年始は下り91号が2024年12月30日と、2025年1月4日の2本。上り92号は2024年12月29日と2025年1月3日に運行されました。
通常便と臨時便は何がどう違う?
それでは、サンライズ出雲の通常便と臨時便では、何がどのように違うのか具体的に見ていきましょう。
【1】臨時便にサンライズ瀬戸は連結されない
まず、臨時便はあくまでもサンライズ出雲だけが運行されており、サンライズ瀬戸は連結されていません。そのため全体で7両編成になっています。
東京発の通常便(下り)は1号車から7号車がサンライズ瀬戸で、サンライズ出雲が8号車から14号車になっていますが、臨時便では1号車から7号車になります。

【2】臨時便の下りは東京駅のホームが異なる
通常便の下りは、基本的に東京駅の東海道線の9番線ホームから発車しますが、臨時便は上野東京ラインの8番線ホームを利用します。
そのため、少し早めの21時30分頃に東京駅に着くと、8番線ホームから9番線に停車中の通常便を見ることができます。21時50分に通常便が発車すると、そのあと8番線に臨時便が入線してくるんですね。


【3】途中で乗車できる駅が異なる
通常便の下りは大阪駅を深夜に通過してしまうため、残念ながら乗車することはできません。しかし、臨時便(下り91号)なら翌日の06時04分に大阪駅に停車するため(06時06分発車)、大阪からでも乗車することが可能となっています。
ちなみに、通常便の上りなら大阪駅から乗車することができます。ただし、深夜0時33分発なのでチケットを購入するときは日付に注意してください。e5489で予約するときは、始発駅を基準とした日付を選択して23時台の時刻で検索します。

【4】乗車時間が15時間以上かかる
サンライズ出雲の通常便は約12時間かかりますが、22時21分に東京駅を出発する臨時便(下り91号)は、伯備線に入ると特急やくもなどに何度も抜かれるため、出雲市駅到着は13時40分になります。つまり、15時間以上もかかってしまうんですね。
臨時便(上り92号)の場合はさらに遅く、出雲市駅を13時52分に出発して、東京駅には翌朝の6時23分に到着しますので、なんと16時間以上! 飛行機でヨーロッパに行くよりも時間がかかります。
とはいえ、鉄道ファンは“通常便より長く乗っていられる”ということで、臨時便のほうが人気があるようですが、そうでない人はご注意ください。


臨時便に乗るときの注意点は?
過去に何度か臨時便(下り91号)に乗っている筆者ですが、実際に乗ってみていくつか注意したいことがあります。
まず、通常便は翌朝10時には出雲市駅に到着するので、当日の夜食と翌日の朝食(弁当とおにぎり・パン程度)を用意すればいいのですが、臨時便は13時40分着なので翌日の昼食まで用意する必要があります。
東京駅では夜でも駅弁が販売されていますし、8番線ホームにNewDaysもありますので、必ず乗車前に食料とドリンク(アルコール含む)を購入しておきましょう。


臨時便(下り91号)は途中で何度か停車しますが、唯一弁当が買えるのは岡山駅の1番線ホームにある売店だけ。ただし、8時48分に到着して8時51分には出発するので、ここの停車時間は3分しかありません。
どうしても弁当を買いたいときは、6号車のドアで待機してダッシュで購入するしかないでしょう。乗り遅れる可能性もあるので、あまりオススメしませんが……。

ちなみに、臨時便(下り91号)は、以前、備中高梁で14分ほど停車したので、その間を利用してホーム横でたばこを吸ったり、駅のスタバでコーヒーを買うこともできました。
ところが、最近の臨時便では1~2分ですぐに発車してしまったので、そのような時間はまったくありません。十分注意してください(臨時便上り92号は備中高梁で14分間停車します)
なお、出雲市駅到着まで30分ほどの場所にある松江駅ではムダに30分以上も停車します。この間、特急「スーパーおき」や特急「やくも」などが通過するのですが、鉄道ファンは元気に写真を撮りまくっていました。


まとめ
いかがでしょうか? 日本で唯一の定期運行寝台特急「サンライズ出雲」の人気は年々高まっていますが、通常便と臨時便ではかなり違う部分があることがお分かりいただけたでしょう。もし、臨時便を利用することがあれば、参考にしてください。
なお、今回の記事内容は2025年1月時点でのものです。2025年の臨時便では変更される部分もあるもしれませんので、その点はご了承ください。