大手銀行より金利が高めの「ネット銀行」ですが、実はATM出金手数料もかなりお得なのをご存じでしょうか? そこで今回は、ATM出金手数料の無料回数が多いネット銀行を紹介します。なかには優遇プログラムなしでも無制限利用できるところもありますので、現金派の人はぜひチェックしてみてください。
なぜネット銀行はATM出金手数料が安いの?
基本的に店舗やATMを持っていないネット銀行は、現金の入出金に提携している銀行ATMやコンビニATM、ゆうちょ銀行ATMなどを利用することになります。
いくらネット銀行の金利が高いといっても、ATMで現金を出金するたびに数百円の手数料を取られてしまうと、利息があっという間に消し飛んでしまうので、ここが意外と重要なポイントになるんですね。
もちろん、ネット銀行では月に数回はATMが無料で利用できますし、優待プログラムでランクやステージが上がると無料回数が増えるようになっています。
なかには、ATM出金手数料の無料回数が無制限になる場合もあるので、うまく使えばムダに入出金ATM手数料を取られずに済むでしょう。
なお、今回紹介する銀行には実店舗や自社ATMを持っており、“純粋なネット銀行”とは言えないものも含まれています。

条件あり・なしでATM出金手数料の無料回数を比較してみよう!
そもそも、大手銀行は自前のATMを持っていますので、平日の日中であればATMで現金を出金(引き出し)しても手数料はかかりません。
しかし、夜間や早朝はATM出金手数料が110円かかりますし、提携先のコンビニATMでは220円~330円ほどかかります。これはネット銀行も同じですが、優待プログラムやランク制度で無料になる回数は大きく変化します。
そこで、最初にネット銀行の優待プログラムの「最低ランク」あるいは「条件なし」で、ATM出金手数料が何回無料になるのか確認してみましょう。

次に、優待プログラムやランク制度で「最上位クラス」になった場合も含めて、ATMの出金手数料が何回無料になるのかを確認してみます。
ランクが上がる条件はネット銀行ごとで大きく異なりますが、その多くは資産金額や給与・年金受取口座指定、投資信託や外貨預金、住宅ローンの有・無などとなっています。

というわけで、総合1位になったのは自社ATMが条件なしで無制限利用できる「イオン銀行」でした。しかも、イオン銀行は他行の提携ATMでも「Myステージ」が最上位の「プラチナ」なら月5回も無料になるのです。
それに続くのは、ゆうちょ銀行ATMが無条件で無制限利用できる「あおぞら銀行BANK支店」です。また、PayPay銀行は月1回だけ無料ですが、2回目以降は1回3万円以上なら無制限でATMが利用できるようになっています。
少し意外だったのはネット銀行の老舗「楽天銀行」で、ハッピープログラムの最低ランク「ベーシック」では1回も無料になりませんし、最上位の「スーパーVIP」でも月7回までしか無料になりません。
楽天経済圏にオールインしている人も、ネット銀行サービスはちょっと見直したほうがいいかもしれませんね。
このあとは、個別にネット銀行について解説していきますので、自分のライフスタイルに合うネット銀行を利用してみてください。もちろん、ネット銀行ならスマホから簡単に口座を開設することができます。
【目次】
1.イオン銀行
2.あおぞら銀行 BANK支店
3.住信SBIネット銀行
4.PayPay銀行
5.SBJ銀行
6.SBI新生銀行
7.ソニー銀行
8.UI銀行
9.auじぶん銀行
10.東京スター銀行
11.楽天銀行
12.まとめ
【1】イオン銀行
「イオン銀行」は、言うまでもなく日本全国に展開する大手スーパー「イオン」が2007年10月に開業した銀行です。
全国のイオンに銀行窓口を持ち、自社の「イオン銀行ATM」はイオンやミニストップ、まいばすけっとなどを中心に6,000台以上を設置しています。
もちろん、イオン銀行ATMはランク制度に関係なく、誰でも24時間365日手数料無料で利用できます。これは凄いですね!
●イオン銀行「イオン銀行ATMなら、手数料は365日24時間無料!」は→こちら

もちろん、イオン銀行では全国5万5,000台の他行提携ATMも利用可能となっています。平日の日中なら、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、ゆうちょ銀行なども無料で利用できます。
また、イオン銀行では「Myステージ」というランク制度が導入されており、最上位の「プラチナ」なら他行ATM出金手数料や他行宛振込手数料も月5回まで無料になります。
普通預金金利もブロンズで0.20%、シルバーで0.21%、ゴールドで0.22%、プラチナでは0.25%までアップされますので、もし、近所のイオンをよく利用しているなら、口座の開設を検討してみましょう。
●イオン銀行「イオン銀行Myステージ」は→こちら

【2】あおぞら銀行 BANK支店
実店舗もある「あおぞら銀行」にはネット専用の「BANK支店」があります。
普通預金の金利は面倒な条件や設定はなく、ただ口座を開設してお金を預けるだけで0.35%。また、現在は1年定期の金利が0.65%となっています。
そのようなあおぞら銀行BANK支店では、ゆうちょ銀行、セブン銀行、都市銀行、信託銀行、イーネット、ローソン銀行などのATMが利用可能です。
あおぞら銀行BANK支店にランク制度はありませんが、ゆうちょ銀行ATMなら誰でもATM出金手数料が何度でも無料になるんですね。これはお得です。
なお、他行宛振込手数料も給与振込、残高500万円以上、NISA口座保有といった5つの条件をすべてクリアすると、最大で月9回まで無料になります。
●あおぞら銀行「BANK口座のおトクな優遇特典」は→こちら

【3】住信SBIネット銀行
「住信SBIネット銀行(NEO BANK)」は三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同で設立したネット銀行。普通預金金利は0.20%で定期預金は1年もので0.275%です。
住信SBIネット銀行で利用できるATMはイオン銀行、セブン銀行、ゆうちょ銀行、イーネット、ローソン銀行、ビューアルッテとなっており、「スマートプログラム」という優待制度のスマプロランクによって、ATM入出金手数料や他行宛振込手数料の無料回数が変化するシステム。
たとえば、スマホアプリでログインしてスマート認証NEOを利用すれば「ランク2」にアップされ、これだけでキャッシュカードによるATM入出金手数料は月5回まで無料になります。
しかし、2024年12月からはスマートプログラム対象支店を利用する個人の場合(提携NEOBANKを除く)は、「アプリでATM」を利用することでセブン銀行とローソン銀行のATMなら入出金手数料が何度でも無料となりました。
ちなみに、アプリでATMはキャッシュカードを使わずに、ATMで表示されたQRコードをスマホで読み込むシステム。利用には「スマート認証NEO」の登録が必要になります。
●住信SBIネット銀行「スマプロランクについて」は→こちら
●住信SBIネット銀行「ATMご利用手数料」は→こちら


【4】PayPay銀行
ジャパンネット銀行をルーツに持つ「PayPay銀行」は、スマホ決済アプリ「PayPay」への残高チャージも無料でできるのが便利です。
普通預金金利は0.20%ですが、定期預金のは1年もので0.275%となっています。
また、提携ATMはセブン銀行、イオン銀行、ローソン銀行、ゆうちょ銀行、イーネット、三井住友銀行など、全国9万5,000台が利用可能で、ATM入出金手数料は毎月1回まで無料になります。
2回目以降は165円(ゆうちょ銀行は330円)の手数料がかかりますが、1回3万円以上であれば何回でも無料になるんですね。
さらに、他行宛振込手数料は給与受取口座指定にするだけで月3回まで無料になります。
●PayPay銀行「提携ATM入出金手数料」は→こちら

【5】SBJ銀行
「SBJ銀行」は韓国系の金融機関。もちろん、日本の預金保険制度の対象なので、万一のことがあっても日本円の預金1,000万円までとその金利は保護されます。
普通預金金利は0.20%で、100万円が上限の定期預金「ミリオくん」の1年もの金利は0.60%となっています。
そのようなSBJ銀行はATM出金手数料もお得。優待プログラムのランクに関係なく、セブン銀行、イオン銀行、イーネットATMが月10回まで、ゆうちょ銀行とみずほ銀行は月3回まで無料になります。ただし、無料回数は入出金の合算になりますのでご注意を。
●SBJ銀行「手数料一覧」は→こちら

また、SBJ銀行には優待プログラム「SBJプレミアムクラブ」が設けられています。
普通預金や定期預金などでポイントを獲得すると330ポイント以上で「ブロンズ」となり、セブン銀行、イオン銀行、イーネットATMの無料回数は月15回まで、ゆうちょ銀行・みずほ銀行は月5回まで増えます。
さらに、500ポイント以上獲得して「シルバー」になると、ATM出金手数料の無料回数は無制限になります。
●SBJ銀行「SBJプレミアクラブ」は→こちら

【6】SBI新生銀行
実店舗もある「SBI新生銀行」は、1998年に経営破綻した日本長期信用銀行が前身。2000年には新生銀行に名称変更し、ネットサービスが充実した銀行の草分け的な存在となりました。
また、2021年12月からはSBIホールディングスの子会社「SBI新生銀行」になったことで、以前より積極的に高い金利の定期預金を提供しています。
SBI新生銀行で注目したいのがステップアッププログラム。最上位の「ダイヤモンド」になると、通常0.21%の普通預金金利が0.40%にアップします。
ダイヤモンドステージになる条件は、本来「指定投資商品2,000万円以上」となっていますが、今ならSBI証券の口座と連携する「SBI新生コネクト」を設定するだけでOK。誰でもいきなりダイヤモンドになれるんです。

そのようなSBI新生銀行では、ステップアッププログラムのランクによってATM出金手数料の無料回数も変化します。
シルバーステージ以上でATM出金手数料が何回でも0円。他行宛振込手数料はダイヤモンド、プラチナステージなら月10回、ゴールドでも月5回まで無料になります。
なお、利用可能なATMはセブン銀行、イーネット、ローソン銀行、イオン銀行、ビューアルッテ、PatSatとなっています。
●SBI新生銀行「ステップアッププログラム」は→こちら

【7】ソニー銀行
「ソニー銀行」はソニーグループが手掛けるネット銀行で、格付けは大手銀行とさほど変わらないレベル。普通預金の金利は0.20%、1年もの定期が0.80%となかなか高めです。
ソニー銀行には「優遇プログラム Club S」というステージ制度があり、Sony Bank WALLETのキャッシュバック率が最大で4倍(2.0%)になったり、ATM出金手数料の無料回数が月4回~無制限、他行宛振込手数料も月2回~11回まで無料になります(Sony Bank WALLETありの場合)。
また、利用可能なATMはセブン銀行、イオン銀行、イーネット、ローソン銀行、ゆうちょ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行となっています。
ステージ判定は、たとえば月末の総残高合計が300万円以上か外貨預金の積立購入などが3万円以上あれば「シルバー」となり、ATM出金手数料は月7回まで無料になります。
●ソニー銀行「優待プログラム Club S」は→こちら

【8】UI銀行
「UI銀行」は東京きらぼしフィナンシャルグループの子会社で、2022年1月17日に開業したネット銀行。
普通預金は金利0.20%。定期預金は6カ月で0.70%、1年では1.00%という高めの金利に設定されているのが特徴です。
UI銀行では「UIプラス」というステージ制度が設けられており、UI銀行きらぼし銀行口座番号を登録済みの場合は、口座開設時or総預金額の1カ月平均残高が10万円未満で「ステージ2」に。これで、ATM出金手数料が月3回まで無料、他行宛振込手数料も月5回まで無料になります。
さらに、最上位の「ステージ5」になるとATM出金手数料と他行宛振込手数料が、どちらも月20回まで無料になります。
なお、利用可能なATMはセブン銀行、ローソン銀行、イーネット、ゆうちょ銀行、きらぼし銀行ですが、きらぼし銀行ATMはステージ制による優待が適用されないのでご注意ください。
●UI銀行「UIプラス(優遇サービス)」は→こちら

【9】auじぶん銀行
「auじぶん銀行」は、KDDIと三菱UFJ銀行が共同出資して設立したネット銀行です。
auじぶん銀行では「auまとめて金利優遇」によって、普通預金金利が+0.20%されて最大0.41%になるほか、auのスマホ料金プラン「auマネ活プラン+」加入者は、さらに金利が0.10%加算されて、最大0.51%までアップできるんですね。
●auじぶん銀行「auマネ活プラン+金利優遇」は→こちら

そのようなauじぶん銀行で利用可能なATMは三菱UFJ銀行、セブン銀行、ローソン銀行、イーネット、ゆうちょ銀行となっています。
また、auじぶん銀行には「じぶんプラス」というランク制度があり、最低ランクのレギュラーでも月2回までATM出金手数料が無料。
最高ランクの「プレミアム」になるとATM出金手数料と他行宛振込手数料が最大15回まで無料になるほか、Pontaポイント倍率も15倍になります。
ちなみに、じぶんプラスのランクはスタンプの数で決まりますが、給与・年金受取、au PAY残高チャージ、円定期1円以上、総資産50万円以上等でそれぞれスタンプ1個が付与され、スタンプ5個以上あれば「プレミアム」クラスになれます。
なお、他行宛振込手数料もじぶんプラスで最大15回まで無料になりますが、三菱UFJ銀行宛はランクに関係なく何回でも無料です。
●auじぶん銀行「じぶんプラス」は→こちら

【10】東京スター銀行
「東京スター銀行」は、1999年に経営破綻した第二地方銀行「東京相和銀行」の営業を譲り受けるために2001年に誕生した銀行。現在は台湾の中国信託商業銀行傘下にあります。
普通預金の金利は給与や年金受取口座指定だけで0.60%にアップしますし、スターワン円定期預金プラスのインターネット限定なら1年ものの金利が0.80%と高めに設定されています。

そのような東京スター銀行に優待プログラムはなく、誰でもATM出金手数料が月8回まで実質無料になります(キャッシュバック)。
また、スターワン口座取引明細書の郵送設定を「郵送しない」にすれば、月5回までネットでの他行宛振込手数料が実質無料になります(キャッシュバック)。
利用可能ATMはセブン銀行ATM、ゆうちょ銀行ATM、ファミリーマート、ローソンなどのMICS提携ATM、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合となっていますが、入金はセブン銀行ATMとゆうちょ銀行ATMのみ対応となっている点にご注意ください。
なお、東京スター銀行内にあるセブン銀行ATMであれば、平日8時45分~18時、土曜9時~14時は何度でも出金手数料が0円で利用可能となっています。
●東京スター銀行「ATM利用手数料が月8回まで実質無料」は→こちら

【11】楽天銀行
「楽天銀行」は言うまでもなく楽天グループのネット銀行です。普通預金金利は0.20%ですが、楽天証券との口座連携サービス「マネーブリッジ」を設定することで300万円までは0.28%(300万円超は0.22%)が適用されます。
そのような楽天銀行では優遇プログラム「ハッピープログラム」があり、残高300万円以上でなれる「スーパーVIP」ならATM手数料が月7回(入出金の合計)、他行宛振込手数料が月3回まで無料になるほか、楽天ポイント倍率が最大3倍になります。
ただし、最低ランク「ベーシック」の場合はATM手数料無料回数は0回なのでご注意ください。
なお、利用可能なATMはみずほ銀行、セブン銀行、イオン銀行、ローソン銀行、イーネット、PatSat、三菱UFJ銀行、ゆうちょ銀行、ビューアルッテとなっています。
●楽天銀行「手数料一覧:ATM手数料(個人口座)」は→こちら


まとめ
いかがでしょうか? 今回はATM出金手数料に焦点を当ててネット銀行を比較してみました。
いくら金利が高くても、現金をATMで出金するたびに手数料を取られてしまうのでは意味がありませんよね。
今でも現金をよく使う人がネット銀行を選ぶときは、金利の高さだけでなくお得な優待プログラム制度もチェックしてみてください。
※本文の内容は25年3月11日時点のものです。今後変更される可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
監修日:2025年3月12日