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意外と知らない「クレカ決済NGの通販サイト」がどんどん増加している理由

近頃、各種通販やサブスクリプションの課金における「クレジットカード会社による規制」が強まっています。

意外と知らない「クレカ決済NGの通販サイト」がどんどん増加している理由
(Image:itsmegreat / Shutterstock.com)
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特に大きな話題になったのは、2024年11月に漫画サイト「マンガ図書館Z」が国際ブランドのクレジットカードの決済ができなくなったことを理由にサービスが停止したこと。その後、クラウドファンディングを経て2025年4月にサイトは復活しましたが、衝撃を受けた人も少なくなかったでしょう。

意外と知らない「クレカ決済NGの通販サイト」がどんどん増加している理由1
(画像は「マンガ図書館Z」公式サイトより引用)

さらに遡ると、たとえばDMM.comでは2022年にMastercardでの決済を停止済み。また2025年2月から徐々に緩和が始まりましたが、ニコニコ動画ではVisaでのクレジットカード決済ができなくなるなど、大手サイトでのクレジットカード決済の停止や対応変更が相次いでいる状況です。

Visaブランド、あるいはMastercardブランドのクレジットカードしか持っていない方にとっては、決済できるサービスがどんどん減少しているのが現状ではないでしょうか。

では「クレカ決済NGのサイト」が増えている理由には、何があるのでしょうか?

クレジットカード業界で強まる「表現規制」

クレジットカード業界で近年強化されているこの「表現規制」の問題。規制を主導しているのは、主に海外の大手クレジットカード会社。特に成人向けコンテンツを配信しているサイトでクレジットカードが使えなくなっているケースが目立ちます。

規制の対象となった通販サイトは多岐にわたります。たとえば以下の通り。
・マンガ図書館Z
・FANZA同人
・DMM
・とらのあな
・DLsite
・Fantia
・ニコニコ動画(2025年2月に再開)
・U-NEXT成人向け動画サービス(2024年11月に再開)

冒頭でも触れた「マンガ図書館Z」は、成人向けコンテンツもあるものの、サイト自体は「成人向けコンテンツ」に特化した動画サービスではありません。つまりクレジットカード会社が行う表現規制は「かなり苛烈なもの」であると言えるのではないでしょうか。

実際、ニコニコ動画はJCB以外のクレジットカードが使用できなかった2024年5月以降、有料会員100万人割れ、約2億円の売上減に繋がったと発表しています。

Steamではゲーム削除が問題に

PCゲーム配信サービス「Steam」では、2025年7月から成人向けコンテンツを含むゲームが複数削除され、ネット上で物議を醸していました。

この削除について、Steam側を運営するValveはGame*Sparkの取材に対し、「クレジット決済代行業者や銀行の要請によるもの」と説明したとも報じられています。

クレジットカード会社による規制の背景は?

こうした背景にあるのは、クレジットカード会社を対象とした海外での訴訟例であると見られます。

たとえば2022年には当時14歳の少女が性的動画を掲載されたことをめぐるアメリカの裁判で、その動画を配信していた運営会社とともに支払い手段を提供していたVISA社も訴訟されることに。結果「児童ポルノでの収益を支援する意図があった」という判決が下されました。

国会議員が米国Visa本社に直接交渉に乗り出す動きも

こうした規制を問題視し、国内の国会議員の間でも動きが見られます。たとえば自民党の山田太郎参議院議員は「マンガ図書館Z」と国際クレジットカードとの取引停止を受けて2024年8月にVisaの米国本社を訪問し、責任者と会談。山田議員はXでVisa側からは「合法であるコンテンツ等に対する価値判断は行っていない」という説明を受けたと明かしています。

つまりVisaは「アダルトコンテンツ配信会社に対する支払い」であっても、そのコンテンツが違法でない限りは支払い利用可否の判断はしていないとのこと。表現規制そのものは、あくまで現場判断であると見られます。

ここで問題となるのが、クレジットカードの表現規制を行っている主体は「厳密にはどの会社なのか」ということです。

「クレジットカード会社」と一口にまとめても、その決済の仕組みの裏にはクレジットカードブランドに加え、決済代行会社などさまざまな会社が絡んでいます。

国会議員が米国VISA本社に直接交渉に乗り出す動きも1
(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

表現規制を主導している「主体」はクレジットカードブランドなのか、その決済代行会社なのか。もしくはその両方なのか。また表現規制のOK・NGのセーフラインはどこなのか。たとえばやや性的な表現を含む「ASMR」はOKなのか、NGなのか。

こうした点が明確になるにはまだ時間がかかると見られ、特に消費者側にとっては規制を主導するクレジットカードブランドを使い続けるよりは「代替の決済手段やブランドを探す」ほうが手っ取り早いでしょう。

Mastercard社は規制関与を公式否定

一方で、Mastercard社は2025年8月1日に公式サイト上で「Clarifying recent headlines on gaming content」という声明を発表。その中で、「いかなるゲームも評価していませんし、ゲームクリエイターのサイトやプラットフォームでの活動を制限するよう求めてもいません」と否定しました。

Mastercard社は規制関与を公式否定1
(画像は「Mastercard」公式サイトより引用)

一方、先述してきた通り、通販サイトでの規制が続いているという経緯もあり、ネット上からは「責任の押し付け合い」「信用できない」という声も少なくありません。

VisaやMastercardの代替として注目される「JCB」

VISAやMastercardの代替として注目される「JCB」1
(画像は「JCB」公式サイトより引用)

このような状況下で、注目を集めているのは、日本発の国際ブランドJCBです。国際クレジットカードブランドから規制を受けたサイトでも、基本的にJCBは利用可能となっているケースが目立ちます。

そのため、VisaやMastercardの代替として改めて「クレジットカードブランド」として注目度が高まっています。

このほか、一部の成人向けコンテンツを扱うプラットフォームでは「外部の決済サービスにおいて、自社サービスの有料ポイントを購入してもらい、その有料ポイントでコンテンツやサービスを購入してもらう」という抜け穴を用いて、間接的にVisaやMastercardの決済を実現しているケースも見られます。

一方、VisaとMastercardというシェアが大きなクレジットカードブランド2社が過度な表現規制を続けた場合、こうした抜け穴があってもなお規制対象となるサイトやその分野のクリエイターやサービス事業者へのダメージは大きいでしょう。規制の線引きの明確化などが求められます。

※サムネイル画像(Image:itsmegreat / Shutterstock.com)

スマホライフPLUS編集部

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