iPhone/Androidスマホやキャッシュレス決済、SNS、アプリに関する情報サイト スマホライフPLUS
スマホライフPLUS > パソコン・ITニュース > 解約を執拗に引き留めるサブスクのダークパターンに「クーリング・オフ」は使える?

解約を執拗に引き留めるサブスクのダークパターンに「クーリング・オフ」は使える?

動画配信サービスや音楽配信サービスなど、便利なサブスクは多数ですが困るのは「退会しづらいサービスが多すぎる」こと。

いざ解約しようとした時、退会ページがあまりにも長すぎたり「解約ボタンがどこにあるか分からない」「登録はウェブでできるのに解約は電話のみ」「別プランを提案される」など、解約を執拗に引き留めるダークパターンが国内では横行しています。

こうしたダークパターンは、たとえばアメリカでは2025年1月14日より米連邦取引委員会(FTC)によって禁止に。具体的には「click-to-cancel(クリックしてキャンセル)」が施行され、2025年1月に退任したバイデン元大統領の「置き土産」的な功績としても評価されています。

こうした規制は国内では不十分とされ、サブスクのダークパターンは良くも悪くも日常的なものとなっています。

ではダークパターンを突破して退会するにはどうしたらいいのでしょうか?どうしてもサブスク事業者と連絡が取れなかったり、退会方法が見つからない場合にはクーリング・オフは使えるのでしょうか?

「退会できない」サブスクや定期購入の例

「退会できない」サブスクや定期購入の例1
(画像は筆者作成)
この記事の画像(2枚)

まずサブスクの解約に関する典型的な悪例として、契約はWebでありながら「退会は電話のみ」というダークパターンがあります。筆者が把握している範囲では、一部のマッチングアプリやサプリメントのD2Cに、こういったダークパターンが導入されている場合があります。

国民生活センターが公開している消費者トラブル解説集によると、「いつでも解約できる定期購入」を謳ったダイエットサプリメントを購入した消費者が、解約のために販売業者に電話しようとしたところ、混み合っていて繋がらないというケースがあったそう。なお、国民生活センターは解約できる期間に連絡した証拠を残しつつ、その後も解約交渉を行うよう勧めています。

なお「退会は電話のみ」がダークパターンに該当する理由は、ユーザーが「もともとの設定に戻すこと」を妨げる意図があるためです。もともとの設定に戻すことを「妨害」するサービスの仕様やUIは「ダークパターン」の一種です。

同様に退会に「極めて時間がかかる」サブスクもダークパターンの一種です。たとえば筆者が過去に加入したスポーツ関連のサブスクでは退会までに、フォームへの記入やチャットボットとの質疑応答などを行い、合わせて30分以上の手間がかかりました。

ユーザーへの解約方法の明示は「努力義務」

アメリカではバイデン元大統領の置き土産として「click-to-cancel(クリックしてキャンセル)」が施行され、こうしたダークパターンは禁止されました。

一方で国内ではユーザーへの解約方法の明示は「努力義務」に留まっており、ダークパターンへの規制は不十分です。

ユーザーへの解約方法の明示は「努力義務」1
(画像は筆者作成)

実は現行の消費者契約法では解約に必要な情報提供は事業者の「努力義務」に過ぎません。違反しても罰則があるわけではないため、一部の事業者は解約手続きを意図的に複雑にしたり、解約ページへのアクセスを困難にしたりしています。

解約を執拗に引き留めるサブスクのダークパターンを突破して退会するには?

まずはサブスクのダークパターンを突破して退会するためには、まず契約時の情報を確認することが重要です。多くの場合、解約方法は契約時の利用規約やFAQに記載されています。それでも情報を見つけられない場合は、サービス提供元のカスタマーサポートに直接問い合わせることをおすすめします。サイト上に記載されている業者の住所に手紙で連絡してみるのもいいでしょう。

どうしても解約できない場合はクレジットカード会社に連絡して事情を話して引き落としをストップしてもらうか、消費生活センターに相談して間に入ってもらう手もあります。そしてこれらの手段を講じても退会が難しい場合「クーリング・オフ」を利用しましょう。

サブスクのダークパターンに「クーリング・オフ」は使える?

サブスクの退会が困難な場合、無条件で申し込みの撤回や契約解除が可能な「クーリング・オフ」制度を使うのも一案です。「申込書面又は契約書面を受け取った日から8日以内(マルチ商法は20日以内)」であれば、制度の利用が可能。つまりサブスクのダークパターンに「クーリング・オフ」は条件付きで使えます。

ただしサブスクのダークパターンに対して、クーリング・オフを適用する場合は2つの注意点があります。

まずはそのサブスクが「特定継続的役務提供」に該当するか否か、という点です。まず前提として、クーリング・オフできる主な取引は以下の通り。

・訪問販売
・電話勧誘販売
・特定継続的役務提供
・訪問購入
・連鎖販売取引
・業務提供誘引販売取引

このうちウェブで申し込みするケースが多いのは「特定継続的役務提供」です。エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスが該当します。これらに該当するサービスであればクーリング・オフできる可能性が高いです。

続いてクーリング・オフには「8日以内」と「連鎖販売取引(マルチ商法)は20日以内」という決まりがあります。そのためサブスク加入後はそのサービス品質を加入から8日以内にチェックし、退会方法も確認。ダークパターンが疑われる場合は通常の手段で退会するか、クーリング・オフを利用すると良いでしょう。

サブスクに加入する場合は「最終申し込み画面」を必ずチェック

なおクーリング・オフが利用できない場合にも、最終申し込み画面の表示内容次第では2023年6月に施行された「改正特定商取引法」が身を助けてくれる可能性があります。

同法でサブスクは申し込み時の最終確認画面で有料プランへの移行時期、価格、解約に関する事項の表示などが義務づけられました。そのため、23年6月移行に申し込んだサブスクサービス申し込み時に解約の記載がなかったと証明できる場合、契約を取り消すことが可能な場合があります。不安な場合は消費者ホットライン(188)へ問い合わせましょう。

※サムネイル画像は(Image:「photoAC」より引用)

スマホライフPLUS編集部

スマホライフPLUS編集部

iPhone/Androidスマホやキャッシュレス決済、SNS、アプリに関する情報サイト スマホ ライフPLUS

解約を執拗に引き留めるサブスクのダークパターンに「クーリング・オフ」は使える?のページです。スマホライフPLUSは、【パソコン・ITサブスククーリング・オフ】の最新ニュースをいち早くお届けします。