Netflixをはじめとする動画配信サービスで、4K対応コンテンツが少しずつ増加傾向にあります。
一方、各配信サービスでは依然としてフルHD対応のラインナップの方が主流であり、特にスマホやタブレットのような小さな画面でコンテンツを視聴するならば1080pでもかなり高画質で見られるでしょう。
さらに、YouTubeも4K対応しているものの、実際にはスマホで撮影された動画などが多く「4K対応かつ面白いチャンネルや動画」は必ずしも多いわけではありません。
すると、『4Kテレビを所有していても実際に視聴するのはフルHD画質のコンテンツ』という現象が極めて起こりやすい状況にあると言えます。そのため、4K/8Kテレビを購入する意味は、あまりないのでは? という疑問をお持ちの方も多いでしょう。

今回は「4Kテレビは意味がないのか」を詳しく見ていきましょう。
結論から言えば「小さな画面での4K」にはあまり意味がなく、巨大なテレビで高い没入感を感じながら映像を視聴したいかが大きなポイントです。端的に言えば、いわゆる「お茶の間のテレビ」であればフルHDで十分でしょう。
【4Kテレビは意味がない?】解像度の違い
4Kテレビは、従来のフルHDテレビと比べて画面の解像度が4倍に高まっているため、理論上はより精細な映像を楽しむことができます。
たとえば大画面テレビで4Kコンテンツを視聴する場合、フルHDのテレビとは比べて非常に高画質な映像を見ることが期待できるでしょう。一方、「4Kテレビは意味がない」というケースも存在してしまいます。
画面サイズや視聴体験の違い
まず4Kに「意味がなく」、フルHDで十分かどうかは「視聴距離と画面サイズ」によって視聴者の感じ方が大きく変わります。
小さな画面サイズ(40インチ以下)では、通常の視聴距離(たとえば2.5メートル)でフルHDでも画素が目立たず、十分な画質が得られます。

一方、65インチ以上の大きなテレビでは、4Kの高い解像度が没入感を高め、視聴距離を遠くする必要なく詳細な画像を楽しめます。
ただし「65インチ以上の4K対応テレビ」だけが手元にあっても、コンテンツを高い没入感を伴って楽しむには不十分です。たとえばテレビ接続ケーブルも4K対応である必要が生じます。また当たり前のことではありますが、視聴するコンテンツそのものも4K対応である必要があります。
つまり4Kテレビは家電量販店などで見かける頻度に対して、「4Kを楽しめる条件が限定的」かつ「コンテンツも限定的」と言えるかもしれません。
コンテンツの可用性について
4Kコンテンツは増加傾向にありますが、利用可能な媒体には大きな差があります。

4Kコンテンツは、たとえばNetflix、Disney+、Amazon Prime Videoなどの動画ストリーミングサービスで増加傾向にあります。一方でそれらのストリーミングサービスに公開されている「全ての作品」が4K対応しているわけではなく、たとえば4Kコンテンツに対応していない廉価プランも存在します。
つまり、「地上波放送などに比べると、4K対応が相対的に進んではいる」とは言えないでしょう。
大きく4K対応が遅れているのは地上波放送です。たとえば2024年に日テレの野球中継で「4Kフォーカススロー」を導入した放送が行われたのが、4K技術を活かした貴重な事例として挙げられますが、良くも悪くも「野球中継での数少ない導入事例が目立つほど、4Kを活かした事例が少ない」とも言えます。
4K放送を楽しむためには、衛星放送(BS/CS)を利用する必要がありますが、BS/CSは閉局やラインナップ縮小が相次いでおり、一部からは「通販番組ばかり」と番組の乏しさを嘆く声もあります。それらのコンテンツを4K/8Kで楽しみたいかは個人差がかなりあるでしょう。
なお地上波の4K対応は国際的に見ても「全く進んでいない」のが現状で、4K対応の地上波放送を実現している数少ない例としては、韓国が挙げられますが、日本の地上波放送が4K対応をするのはいつになるか、不透明感は否めません。
従来のブルーレイはフルHD対応が多いのも事実
物理的なビデオソース(例:Blu-rayディスク)では、従来のディスクは1080pで、4K Ultra HD Blu-rayは新しいフォーマットです。そしてこの記事をお読みの方の中でも、従来のブルーレイと「4K Ultra HD Blu-ray」の見分けが難しいと感じる方は少なくないのでは?
たとえば2025年現在でも映画作品がリリースされる際に「Blu-ray」「DVD」の2パターンが発売されるケースは少なくありませんが、この前者のBlu-rayが「4K Ultra HD」か否かはパッケージ表記を細かく見ないと判別しにくいことがしばしばあります。
さらに、中古市場ではBlu-rayの棚にフルHDと4K Ultra HDが入り乱れているため、この傾向がより強いと言えるでしょう。またブルーレイだけが手元にあっても、4K画質のUltra HD Blu-ray対応モデルのプレイヤーがないと本領は発揮しにくいのが事実。こうしたプレイヤーは古い画質のディスクでもアップコンバートを行った上で再生する機能を備えているケースも多いです。
もっともディスクとプレイヤーを一新し、なおかつテレビも4Kにふさわしい大画面のものへと置き換えるとかなりまとまった出費になります。それだけ視聴環境を一新しても、実際に視聴するのがYouTubeのフルHDのコンテンツという場合、魅力はやはり半減するでしょう。
良くも悪くも「高価な機材で惜しみなく撮影されたテレビ番組や映画を楽しむ時代」から「YouTubeなどに投下された個人の動画を楽しむ時代」に変わったことで、フルHDでも十分な人が非常に増えたと言えます。
※サムネイル画像は(Image:「Amazon」公式サイトより引用)