車載カーナビではなく、Googleマップに代表される「マップアプリ」を、カーナビ代わりに利用しているドライバーの方は多いのでは?とはいえ「Googleマップ」は「カーナビに特化したアプリではない」という弱点があり、カーナビとしては必ずしも完璧なアプリではありません。
そこで今回はカロッツェリアカーナビのアプリ版である「COCCHi」と、Googleマップを比較してみました。定評のあるカーナビのアプリ版と、Googleマップにはカーナビ性能にどの程度の差があるのでしょうか。
カロッツェリアカーナビのアプリ版「COCCHi」と「Googleマップ」の違いは?
まずGoogleマップは言わずと知れた「マップアプリ」。ルート検索や渋滞情報のチェック、マップ上の飲食店の口コミの確認などに強みを持ちますが、後述するように「カーナビ」として見ると必ずしも「100点満点」のアプリではありません。
一方で、カロッツェリアカーナビのアプリ版「COCCHi」は、パイオニアが手掛けるカーナビアプリ。まず「駐車場を探す」「ガソスタを探す」「トイレ施設を探す」など、ドライブ中に典型的に困ることが多いことに関するアシスト機能が充実している点が特徴。
またGoogleマップではしばしば、車幅がギリギリの市街地の細い道を案内されてしまう場合があります。そうした走りにくい道を避けるルート検索性能が、「COCCHi」には備わっています。
なおプランは
・無料プラン
・月額350円プラン
・月額1,400円プラン
から選ぶことができ、基本的な機能は無料で利用可能。有料プランでは推奨ルート以外の複数ルート以外の検索や、オービス(速度違反取り締まり装置)や駐車場満空検索などが可能。
今回は無料プランとGoogleマップを比較してみました。
ルート案内画面の見た目の違い
まずは「ルート案内画面の見た目の違い」です。Googleマップはアップにすると地図上の建物が3D表示されます。一方で「COCCHi」はあくまで二次元の地図のままです。
紙の地図帳を見ている感覚に近いのは「COCCHi」と言えるかもしれません。
なおGoogleマップは「カーナビ」に特化しているわけではないという特徴もあり、マップ上に施設名などの表示が目立ちます。一方で、運転中に気になる「分かりやすい町名や丁目の表示」や「近くのコンビニ」「ガソリンスタンド」などを大きく表示する機能はありません。そうした運転中に気になる要素を「COCCHi」はかなり分かりやすく表示しています。
筆者個人の感想としては、マップそのものが見やすいのは3DのGoogleマップではあるものの「運転に適している」のは「COCCHi」だと感じました。運転への最適化という点で、両者には差があります。
ルート検索及びルート案内
ルート検索性能は、基本的には「COCCHi」の方が優れています。Googleマップでは、車幅がギリギリの市街地の細い道を延々と案内されてしまうケースがしばしば起きるためです。案内されたルートが基本的に信用できる点で、「COCCHi」には一定の優位性があります。
またルート検索し、推奨ルートでドライブを始めたら「音声案内」も可能です。この音声案内は非常に優れており、ナビを見ていなくても音声案内に従うだけで目的地に到着できるレベルです。
ただしあえて厳しく評価すると「COCCHi」のルート検索性能やその案内が、少なくとも無料プランの範疇では完璧とは言えない点も気になります。
まず「COCCHi」のルート検索では、目的地への「到着予定時間」がすぐに分からない点が極めて不便です(※有料版ではVICS情報に基づいた高精度な到着予定時間が分かります)。到着予定時間は、Googleマップで調べるとすぐに表示されます。加えて「COCCHi」の無料プランでは、ルート検索をしたうえでのルート確認は「推奨ルート」のみ。
複数のルート検索ができないため「推奨ルートの先に渋滞がありそうだから、回避したい」「推奨ルートが近いのは分かったけれど、なんとなく今日は別の道をドライブしたいな」という時に不便です(※有料プランでは複数ルート確認が可能です)。
「COCCHi」のルート検索やルート確認、ルート案内の性能が「極めて悪い」ということはありません。繰り返しではありますが、特に音声案内のレベルの高さは特筆すべき点です。
ですが「Yahoo!カーナビ」「au助手席ナビ」など他の優れたカーナビアプリよりも優先して使うべきアプリかと言えば、人を選ぶ部分もあるでしょう。無料版の範囲だと、使いづらいと感じる方も少なくないはずです。
渋滞情報の精度
渋滞情報の精度は「Googleマップ」が大きく勝っています。NEXCO東日本がリアルタイムで発表している渋滞情報と、両アプリを見比べてみました。
Googleマップは渋滞を表わすオレンジ色が道に表示されており、無料のマップアプリながら極めて高い渋滞情報精度があります。一方で「COCCHi」の無料版は色が変わっておらず、渋滞しているということが分かりません。
なおこの問題点は「COCCHi」の有料版では、リアルタイムのVICS情報が反映されるため解消されています。つまり、あくまで「無料プランの渋滞情報には難がある」に過ぎませんが、無料でも高精度な渋滞情報が分かるアプリが他にある点を踏まえると「欠点」とは言えるかもしれません。
カロッツェリアカーナビのアプリ版「COCCHi」にあってGoogleマップにない機能は?
ここまでGoogleマップと「COCCHi」の無料版を比較してきましたが、一言で言えば「一長一短」でしょう。とりわけ「COCCHi」の無料版は渋滞情報の精度に難があり、無料版の範疇で実践的にカーナビとして使い続けるのは辛い側面もあります。
「COCCHi」の真価は無料版ではなく、有料版にあると言えるでしょう。まず有料版では「到着が早い」「コストが安い」「道幅が広い」の3通りからルート検索が可能。筆者が検証した限り、無料版でも「狭い道を案内される」ことはまず起きませんでしたが、有料版ではより細かな検索条件を設定できると言えます。また駐車場の満空情報やオービスの情報も分かります。
加えて1,400円プランの場合、ゼンリンのデータに基づいた「住宅地図」を表示可能です。
住宅の表札情報や番地などを一軒一軒表示できるため、配達やデリバリーのお仕事をされていたり、保険営業など個人宅を巡ることが多いお仕事の方には「欠かせないアプリ」になる可能性があります。
住宅地図の情報精度は、ゼンリンのデータを利用しているだけあって極めて高く、COCCHiの機能として明らかに優れている点の1つです。
カロッツェリアカーナビのアプリ版「COCCHi」がおすすめの人
「COCCHi」は、まず極めて高性能な「音声案内」を重視して運転したい方におすすめです。運転中にスマホのナビアプリを閲覧することに、不安を感じる方もいるでしょう。そうした方にとっては、音声だけで「画面を見なくても到着可能なレベル」である点は利点になり得ます。
また「COCCHi」は、有料版で真価を発揮するアプリです。特に先ほどもご紹介したゼンリンのデータを利用した住宅地図の表示は極めて高性能かつ実用的で、住宅街などより細かい場所を運転する人にはおすすめです。
Googleマップがおすすめの人
Googleマップは「無料のナビアプリ」で、到着予定時間などをひととおり把握したい方におすすめです。COCCHiの無料版はカーナビとして継続的に使うには、人を選ぶ側面も少なからずあります。無料で使えるナビアプリを探しているならば「Googleマップで十分だ」というケースも多いでしょう。
また車だけでなく公共交通機関や徒歩での移動も含めた総合的なナビを求める人にとっては「COCCHi」よりもニーズに適しているでしょう。
※サムネイル画像は(Image:Shutterstock.com)※画像は一部編集部で加工しています