インターネットの普及に伴い、詐欺や情報漏洩といった被害が年々深刻化している現代。そうした脅威への対策として、より手軽で安全性の高い認証方法が求められるようになってきている。その方法として指紋認証や顔認証などの生体認証が挙げられるだろう。NordVPNが日本を含む4カ国で実施した生体認証の利用に関する調査によると、日本のZ世代(18~27歳)の約19%が「虹彩認証」を月1回以上利用していることが明らかになった。だが、生体認証の利便性が注目される一方で、なりすましなどのリスクも存在する。今回は、調査結果とともにセキュリティ対策について解説していこう。
日本人の約4割が生体認証を利用!Z世代は約6割の利用率

NordVPNは2024年11月18日~11月28日の11日間、日本、ドイツ、イタリア、ブラジルの4カ国4,000名以上の18~74歳の成人を対象に、生体認証の利用に関する調査を実施。月に1回以上生体認証を利用するか聞いたところ、日本人全世代の約44%が「はい」と回答した。さらに、年代別で見るとZ世代(18~27歳)は約59%、ベビーブーマー世代(60~78歳)が約37%という結果になった。利便性に優れた生体認証はZ世代が多く利用していることが分かった。若い世代は特にスマホなどのデジタルデバイスに慣れ親しんでおり、新しい技術への適応が早い世代であることが背景にありそうだ。

続いて、項目別の生体認証の使用率に関する調査では、日本人全体で「指紋認証」の利用者が最も多い一方で、Z世代(18~27歳)においては「顔認証」の利用が最も多いことが明らかになった。指紋認証や顔認証はスマホやパソコンなど、幅広いデバイスに導入されており、一般的なセキュリティ対策として定着しているといえる。さらに、Z世代の約19%が「虹彩認証」を利用していることも判明した。「顔認証」はマスクを外す必要があるという不便さがある。一方で、「虹彩認証」は目の虹彩模様を読み取るため、マスクやゴーグルを着用した状態でも認証が可能であり、その利便性の高さが注目されている。
便利さの裏に潜むリスクと回避術とは

スピーディーで利便性の高い生体認証だが、その一方で注意すべき点もある。それは、生体データを悪用して認証を突破する「なりすまし」のリスクだ。例えば、「偽造指紋によるロック解除」「高精細な顔写真や3Dマスクによる顔認証の突破」「虹彩画像を使った偽装アクセス」などがあげられる。パスワードとは異なり、生体データは個人の身体的特徴そのものであり、一度登録すると簡単に変更することができない。万が一流出した場合、取り返しがつかない事態を招く可能性があるため、悪用リスクに対しては一層慎重な対策が求められる。
そこで、NordVPN最高技術責任者マリユス・ブリエディスが提案する「生体認証使用時にプライバシーを守るための8つの対策」を紹介しよう。「SNS投稿時に生体情報が写らないよう注意する」「画像や動画の画質を調整し、個人情報が特定されやすい部分を隠す」「第三者に取得されにくい生体認証手段を選ぶ」「自分の画像がどう使われているかを定期的に確認する」「生体情報は多要素認証で使用するのが安心」「ハードウェア認証デバイスでセキュリティを強化」「生体情報の補助的に強力なパスワードを使う選択も」「新しいサービスには慎重に生体情報を提供する」。以上の8つだ。
利便性を上手に取り入れながらも、自分自身の情報を守るための「選択」と「注意」を怠らない姿勢が、これからの時代には欠かせないだろう。
出典:【Nordvpn S.A.】
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