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次世代ブラウザ『Arc』はオワコン?開発元がAIブラウザに全面移行【Arcを使い続けるには?】

次世代ブラウザ『Arc』はオワコン?開発元がAIブラウザに全面移行【Arcを使い続けるには?】1
(画像は「Arc」公式サイトより引用)
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革新的なユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)で、一部の先進的なユーザーから熱狂的な支持を集めてきたArcブラウザ。タブ管理や作業空間の整理など未来的な操作感は、従来のブラウザ体験に一石を投じるものでした。しかし2025年5月、開発元であるThe Browser Company (TBC) がArcの積極的な新規開発を停止し、AIを中心とした新型ブラウザ「Dia」の開発にリソースを集中するという方針転換を発表。このニュースはArcユーザーコミュニティに大きな衝撃と戸惑いをもたらしました。

「現行のArcはもう使えなくなるの?」「これまでのデータはどうなる?」「Diaとは一体どんなブラウザなのか?」といった疑問や不安の声が広がっています。

本記事ではArcブラウザの現在の公式な位置づけ、開発元の決定背景、そして「現Arcユーザーは今後どう対応すべきか」について、解説します。

Arcブラウザの「開発終了」について

Arcブラウザの「開発終了」について1
(画像は「The Browser Company」公式サイトより引用)

The Browser Companyは、2025年5月下旬、同社の主力製品であったArcブラウザの積極的な新機能開発を停止し、経営資源をAI(人工知能)を中心とした新しいブラウザ「Dia」の開発に集中させるという戦略転換を発表しました。

The Browser CompanyのCEOであるJosh Miller氏は、Arcの利用者(メンバー)に向けた公式レター (2025年5月27日付)で、この方針転換について詳細に説明しました。主要なポイントは以下の通りです。

・Arcブラウザの新規機能開発は終了し、実質的なメンテナンスモードへ移行する。
・セキュリティアップデートや重大なバグ修正は当面継続されるが、これが永続的ではない可能性も示唆。
・開発チームの主軸は、AI技術をブラウジング体験の根幹に据えた新ブラウザ「Dia」の開発へと移行する。

2024年4月にようやくWindows版が登場したばかりだった『Arc』。世界的に「次世代ブラウザ」として注目されていたArcの開発終了は、ユーザーにとって間違いなく衝撃的なものだったと言えるでしょう。

そもそも次世代ブラウザとして『Arc』が注目されていた理由は?

Arcが登場した当初、従来のブラウザとは一線を画す革新的なデザインと操作性が大きな話題になりました。

そもそも次世代ブラウザとして『Arc』が注目されていた理由は?1
(画像はスマホライフPLUS編集部撮影)

たとえば、従来のブラウザが上部に配置していたタブをサイドバーに移動し、より直感的にタブやスペース(ワークスペース単位のタブ管理)を操作できる点や、よく使うサイトをサイドバーにピン留めできる機能など、日々多くのウェブサイトを行き来するユーザーにとっては理想的な使い勝手が魅力的でした。

Arcブラウザの「新規性税」

CEOのJosh Miller氏は公式レターの中で、Arcが直面していた課題と、AI時代への展望を率直に語っています。

Arcブラウザの「新規性税」1
(出典:Arcメンバーへの手紙)

ArcのユニークなUI/UXは、一部のユーザーには高く評価されたものの、一般のユーザーにとっては学習コストが高かったと言えるのでしょう。熱心なファン層は獲得できたものの、マスマーケット製品としての成長や定着率には課題があり、『Dia』ではAIを主軸にしたうえでのシンプルなブラウザ体験を目指していると考えられます。

『Arc』開発元が手掛ける新ブラウザ『Dia』とは?

『Arc』開発元が手掛ける新ブラウザ『Dia』とは?1
(画像は「Dia」公式サイトより引用)

『Dia』は「DiaはArc 2.0ではない。全く新しい製品だ」としつつも、Arcからの学びが生きている新ブラウザです。『Dia』はまだプレビュー段階の製品ですが、公式サイトやThe Browser CompanyのCEOによるレターをまとめると以下のような特徴があるブラウザだと言えるでしょう。

・AIファースト設計
・シンプルさとスピードの追求
・高度なパーソナライズ

特に「AIファースト」は明確に打ち出されており、ブラウジング体験のあらゆる局面にAIが深く統合されます。Diaのプレビュー動画では、「ユーザーがドキュメントを説明すると、そのドキュメントを見つけて誰かに送るようにブラウザに指示できる」といった例や、Amazonでユーザーの要望に基づいて商品を自動で選定しカートに入れるといったデモが示唆されています。

もっともこうした機能を「従来のArcユーザー」が100人中、100人が求めているとも言えないでしょう。『Dia』の今後に加え、Arcユーザーが気になるのは「Arcの今後」でもあるでしょう。

現行のArcブラウザを使い続けるには?注意点は?

The Browser Companyの戦略転換を受け、Arcユーザーは今後のブラウジング環境についていくつかの選択を迫られます。もっともシンプルな選択肢は、現在利用しているArcブラウザをそのまま使い続けることです。

しかし公式のサポート体制は縮小・終了に向かう可能性が高いです。そのため、セキュリティアップデートも段階的に終了すると考えられ、たとえば証券口座へのログインなど重要な操作を行うには不十分なブラウザと化してしまうと考えられます。

そのためArcを使う際には、機密性の高い情報には使わず、一般的な用途に限定するのがよいでしょう。

また現在快適に動作しているArcブラウザのバージョンのインストーラーファイルをダウンロードし、PC以外の安全な場所(USBメモリやクラウドストレージなど)に別途保存しておくことを推奨します。これにより、何らかの理由で再インストールが必要になった際に、最後に安定していたバージョンに戻せる可能性があります。

Diaへの移行は可能?

DiaはArcと同じThe Browser Companyが開発するため、Arcユーザーのスムーズな移行は何らかの形でサポートされると期待されます。しかし、具体的な移行ツールや手順については、現時点(2025年5月29日)では発表されていません。

どこまでのデータ(Arcのスペース設定、ブースト、イーゼルなど独自機能のデータ)がDiaに引き継げるかは未知数です。DiaがArcと全く異なるアーキテクチャや機能セットを持つ場合、完全な互換性は期待できないかもしれません。

オープンソース化の可能性はある?

Josh Miller CEOはレターの中で、ArcのコードベースがDiaの基盤技術でもあるADKと密接に関連しているため、現時点でのArc単独のオープンソース化は困難であるとの見解を示しています。ただし、「将来的にチームや株主にリスクをもたらさなくなる日が来れば、構築したものを世界と共有できることに興奮するだろう」とも述べており、可能性が完全に閉ざされたわけではありません。

DiaとArcの互換性が不十分なものとなった場合、Arcを使い続けるための現実的な道筋は「オープンソース化」でしょう。すぐにコミュニティ主導のオープンソースとしての『Arc』が誕生することは期待しにくいですが、近い将来のオープンソース化には期待したいですね。

※サムネイル画像は(Image:​「Arc」公式サイトより引用)

スマホライフPLUS編集部

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