高速のネット接続と言えば光回線を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。今や1ギガでは物足りず、10ギガプランを契約しているという人も多いかもしれないが、果たして実態はどうだろうか。ICT市場調査コンサルティングのMM総研がブロードバンド回線事業者の加入件数調査を実施したところ、コロナ禍による在宅勤務の推進で急速に普及した光回線市場の現状や、FTTH、ADSL、CATV、ワイヤレスなどの固定ブロードバンド市場全体の契約数の推移について紹介していこう。

NTTドコモがコラボ光のシェア首位を獲得


MM総研の調査によると、2025年3月末までの光回線サービス事業者の契約件数は4104.8万件となり、前年度比16.5%減で年間68.8万件の減少ということが明らかになった。光回線サービス市場は2019年以降、コロナ禍の影響で在宅勤務が推進され、2020年度から2年は急速に普及したものの、コロナ明け以降は純増が鈍化。しかし、2024年度は純増数の鈍化が落ち着いている。これは、CATVアクセスの光回線化や集合住宅向けの需要安定化に加え、NTT東西を中心に10ギガサービスの提供エリアの全国的な広がりが起因。2025年度の契約件数は前年度比14%減の59.2%水準に落ち着くと予測されている。
一方で、10ギガサービスは2025年3月末に111.7万件となり、初めて100万件を突破した。比率は2.7%とまだまだ少数だが、成長予測は2028年3月末時点で400万件超となっている。つまり今後3年間で約1割を占めるまでに成長することが見込まれており、さらに拡大していくだろう。
固定ブロードバンド市場でもNTTドコモがシェア1位を獲得

光回線、ADSL、CATV、ワイヤレスといった固定ブロードバンド市場全体のシェアを見ると、NTTドコモが16.9%で首位を維持。2022年度下期から純減が続いていたものの、2024年8月下旬スタートの「10ギガ基本料金最大6カ月間ワンコインキャンペーン」や「home 5G」(ワイヤレス)などの効果が起因。光の純減に3年ぶりのストップをかける形となった。2位はソフトバンクで、モバイルと「ソフトバンク光」のセット販売や「10ギガ500円ではじめよう」キャンペーン、新機種の「SoftBank Air」などで光回線の純増に貢献。3位にJCOMが続く結果となった。
MM総研の調査結果では固定ブロードバンド市場全体は今後もジワジワと成長が続くと予測。CATVは光回線化が進むため契約数は減少する見込みで、ADSLは2026年1月末にNTT西日本がサービス提供を終了するため、大幅な減少は確実。光回線とワイヤレスの市場は引き続きシェア拡大と予測されている。
働く場所を選ばない時代になりつつある今、光回線の需要はさらに伸びるはず。これからの固定ブロードバンド市場の動向には、注目していきたいところだ。
出典:【MM総研】
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