NetflixやAmazonプライム・ビデオといった動画配信サービス(VOD、以下サブスク)が全盛の今、「DVDをレンタルする」という行為はどこか懐かしい響きを持つようになりました。しかし、視聴スタイルによっては、今なおTSUTAYAで旧作DVDをレンタルする方が、月額制のサブスクよりも経済的にお得になるケースが存在します。
特に「見たい作品は月に数本程度」「特定の古い映画やマニアックな作品が見たい」という方にとって、DVDレンタルは今でも魅力的な選択肢です。月額500円以下で映画を楽しむことも可能です。具体的に見ていきましょう。

TSUTAYAのDVDレンタル料金体系
まずはTSUTAYAのレンタル料金体系について、実店舗と宅配レンタルの両方をご紹介します。
店舗でのレンタル料金:地域と店舗で異なる柔軟な価格

TSUTAYAの店舗におけるレンタル料金は、全国一律ではありません。店舗の立地条件や地域環境などに応じて、各店舗が独自に料金を設定しています。そのため、正確な料金は利用したい店舗の公式サイトやTSUTAYAアプリで確認するのが最も確実です。
とはいえ、一般的な価格帯は存在します。特に「旧作」に分類されるDVD(通常、リリースから13カ月以上経過した作品)は、非常に安価にレンタルできることが多く、本比較の重要なポイントとなります。
・旧作DVDの料金目安:1泊2日や当日返却で約100円、7泊8日で100円~300円程度が相場です。
・キャンペーン:店舗によっては「旧作99円(税込)」といったキャンペーンを実施していることもあります。
近所に店舗があり、月に数本だけ旧作を見たいという場合、この店舗レンタルが最も手軽で安価な選択肢になる可能性があります。
宅配レンタル「TSUTAYA DISCAS」

店舗に行く時間がない、または近所に店舗がない場合に便利なのが、宅配レンタルの「TSUTAYA DISCAS」です。このサービスには「定額プラン」と「単品レンタル」の2つの利用方法があります。
まず定額プランは月額料金を支払うことで、月に決められた枚数のDVD/CDをレンタルできるプランです。返却期限がなく、延滞料金の心配がないのが最大のメリットです。
・定額レンタル4:月額1,100円(税込)で、月に最大4枚までレンタル可能。
・定額レンタル8ダブル:月額2,200円(税込)で、月に最大8枚までレンタル可能。
・定額レンタルMAX:月額6,600円(税込)で、レンタル上限枚数なし(発送は4枚1組)。
これらのプランは、新作・準新作も対象ですが、旧作だけを借りるには割高に感じるかもしれません。単品レンタルで十分な場合は、以下の料金でレンタル可能です。
・レンタル料金:旧作DVDは1枚99円(税込)。
・送料:レンタル枚数に応じて変動します。
……1~2枚:300円(税込)
……3~6枚:400円(税込)
……7~12枚:700円(税込)
……13~16枚:950円(税込)
TSUTAYAは動画サブスクより安い?
一方、動画サブスクは月額料金を支払えば、対象作品が視聴し放題になるのが基本です。以下に代表的なサービスの料金プランをまとめました。

【店舗】コストパフォーマンスの分岐点:月何本見るのが境目?

「月に何本の旧作映画を見るか」を基準に、各サービスのコストを比較してみましょう。TSUTAYAの店舗レンタルと宅配レンタル(DISCAS)、そして主要な動画サブスクの料金を視聴本数ごとに見ていきます。
まずは店舗で借りた場合を見ていきましょう。
店舗や地域によって料金は異なりますが、ここでは旧作DVDを1本200円(※7泊8日で旧作を借りた場合の、一般的な料金)と仮定して計算します。
・月1~2本の場合:月額コストは200円~400円。これはAmazonプライム・ビデオ(月額600円)やNetflixの最安プラン(月額890円)よりも明らかに安価です。
・月3本の場合:月額コストは600円。Amazonプライム・ビデオと同額になりますが、サブスクは数万本が視聴し放題であることを考えると、このあたりからサブスクの優位性が見え始めます。
【TSUTAYA DISCAS】コストパフォーマンスの境界線
DISCASには月額プランと都度払いの単品レンタルがあります。旧作を少しだけ見たい場合は単品レンタルが中心になります。
・月1本の場合:料金は「旧作99円+送料300円 = 399円」。サブスクより安いです。
・月3本の場合:料金は「定額レンタル4」の1,100円もしくは「旧作99円×3本+送料400円」の697円。この時点でAmazonプライム・ビデオ(600円)より高くなります。
・月8本の場合:月額2,200円の「定額レンタル8 ダブル」プランが最も合理的です。これはU-NEXT(2,189円)とほぼ同価格帯です。
結局、DVDレンタルは「今でも魅力的な選択肢」なのか?
DVDレンタルは「月に視聴する本数」と「目的」次第で、動画サブスク全盛の今でも魅力的な選択肢のひとつであることは疑いようもありません。
今回主に焦点を当てた「コスト」以外の面にも、最後に目を向けてみましょう。まずDVDレンタルの最大の強みは、物理メディアの網羅性です。TSUTAYAの店頭に並べられている物理メディアのライブラリは極めて膨大かつ希少性が高いものです。サブスクでは配信されていない古い映画、カルト作品、ドキュメンタリー、教育用DVDなど、ニッチな需要に応えることができます。権利関係で配信が難しい作品も、DVDなら見つかる可能性が高いです。
「棚を眺めながら作品を選ぶ楽しみ」や物理的なディスクを所有する満足感もまた、DVDならではの体験です。
あなたが「たまに昔の名作を1、2本見たくなる」程度であれば、無理に月額サブスクを契約せず、その都度TSUTAYAで100円レンタルを利用するのが最も賢い選択と言えるでしょう。同様にサブスクにはない作品や「作品選びそのものの体験」を求めるなら、DVDレンタルがおすすめです。
一方で「棚を眺めながら作品を選ぶこと」や「ニッチな作品を求める喜び」は、それ自体がマニアックな楽しみとも言えるかもしれません。各動画サブスクのおすすめアルゴリズムなども活用し、幅広い作品に常にライトに触れていたいのであれば、コストパフォーマンスに優れた動画サブスクがあなたの生活をより豊かにしてくれるはずです。
※サムネイル画像(Image:Ned Snowman / Shutterstock.com)