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【Windows 10サポート終了】Windows 10はなぜOSとして大成功した?功績を振り返る

2025年10月14日にサポート終了を迎えるWindows 10。10年間にわたり、事実上の標準OSとして広く利用されてきました。

【Windows 10サポート終了】Windows 10はなぜOSとして大成功した?功績を振り返る2
(画像はスマホライフPLUS編集部作成)
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もっともWindows 10が登場する以前、Microsoftは大きな岐路に立たされていました。大々的に発表されたWindows 8および8.1の評価は芳しくなく、ユーザーの信頼が大きく揺らいでいました。そんな逆境の中から生まれたWindows 10は、いかにして逆風を追い風に変え、Windows史上最大のシェアを誇るOSへと駆け上がったのでしょうか。
その功績を振り返っていきましょう。

Windows 8及び8.1の大失敗

Windows 8及び8.1の大失敗1
(画像はスマホライフPLUS編集部作成・ロゴマークはMicrosoft公式サイトより引用)

Windows 10の成功を語るうえで、その前身であるWindows 8および8.1の存在を抜きにしては語れません。2012年に登場したWindows 8は、当時急速に普及し始めたタブレットデバイスとの融合を目指した、野心的なOSでした。

しかし、多くの人はデスクトップPCでのマウスとキーボード操作が基本。ディスプレイがタッチパネルに対応していない人の方が圧倒的で、大多数のユーザーに恩恵がない変化となってしまいました。

さらにWindows 95以来、Windowsの象徴であり続けた「スタートメニュー」の廃止も反発を招きました。デスクトップ画面とスタート画面の頻繁な切り替えは操作性を著しく損ない、「使いにくい」という評価が市場に定着し、翌年にリリースされた8.1でもユーザーの信頼は回復することがありませんでした。

Windows 8を家電量販店の店頭などで触り「使いづらい」と感じ、Windows 7をギリギリまで使い続け、Windows 10の登場時にWindows 8を飛ばしてアップデートした方も多いのではないでしょうか。

タブレット市場は「過大評価」されていた?

Windows 8及び8.1の失敗のもう一つの要因は、デバイスのタッチ操作をあまりにも重視しすぎたことです。MicrosoftがSurfaceシリーズに注力し、タッチ操作に適したUIを前提とした設計でしたが、当時「PCのタッチ操作」にどの程度の需要が本当に存在していたのかは疑問視されています。

たとえばMM総研の調査によると、Windows 8がリリースされた翌2013年の国内タブレット端末出荷台数は748万台。同社の調査によると、同年の国内パソコン出荷台数は1,651.3万台なので、「パソコンの需要がタブレットで満たされた」とは言えない状況です。

なお、タブレットの出荷台数は年々減少しており、同社の調査では、2024年のタブレット出荷台数は635万台となっています。

企業ユーザーにとっては従来のキーボードとマウスによる操作で十分であり、タッチ操作を前提としたUIはかえって邪魔なケースすらありました。同様に個人需要においても、タッチ操作する端末は「スマホで十分」な感もあったのです。仮にWindowsを積極的に搭載したSurfaceシリーズが「爆発的に売れていた」場合には評価は異なったかもしれませんが、実際にはそうはならなかったのです。

Windows 10はなぜ10年間も愛され続けたのか

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(Image:Shutterstock.com)

Windows 8の失敗を教訓に登場したWindows 10は、新機能を取り入れつつも、ユーザーが求めていた使いやすさを重視して設計されました。企業におけるWindows 10の導入は、Windows 8よりもはるかに速いペースで進み、リリースから約6カ月で企業の18%が試用しています。

なお、Windows 8は同期間で9%強に過ぎませんでした。

法人利用に適したOSとしての位置づけ

Windows 10の長期政権を支えたのは、法人市場からの絶大な信頼であったと言えるでしょう。

特に法人市場において、OSのアップグレードは業務アプリケーションの互換性や従業員のトレーニングコストなど、多くの課題を伴う一大プロジェクトです。この点において過去のWindowsアプリケーション等との互換性が著しく低い状態で提供されたWindows 8は、法人用途における評価は最低クラスでした。

その点、Windows 10は、過去のWindowsアプリケーションとの高い互換性を維持することに多大なリソースを割いて開発されました。これにより、企業は既存のIT資産を有効活用しながら、スムーズに新しいOS環境へ移行することができたのです。

加えて法人のシステム管理者にとっては、「Current Branch for Business (CBB)」や「Long Term Servicing Branch (LTSB)」といった、アップデートの適用タイミングを制御できる仕組みが提供されたことも大きな点でした。企業は自社のシステム環境に合わせて計画的にアップデートを適用し、安定した運用を維持することが可能になりました。

Windows as a Service (WaaS)

Microsoftは開発当時、Windows 10を「最後のWindows」と位置づけ「Windows as a Service (WaaS)」という新たな概念を導入しました。

つまり、Windows 10という基盤はそのままに、年に数回の大型機能アップデートを通じて、継続的に新機能の追加やセキュリティ強化、品質改善を行っていくというサービスモデルへの転換です。ユーザーはOSを買い替えることなく、常に最新の機能と最高のセキュリティ状態を享受できるようになり、Microsoftにとっては市場の変化に柔軟に対応した「常に進化し続けるOS」を提供する体制が構築されたのです。

Windows 10は「最後のWindowsにはならなかった」点では、ユーザーの信頼を部分的に損ねたOSでもあるかもしれません。

一方でWindows 10が長きにわたって陳腐化することなく、ユーザー、特に法人利用で支持され続けるための強力な基盤となった裏には「Windows as a Service (WaaS)」があることもまた事実なのです。

無償アップデート戦略

Windows 10の個人・法人両面での普及を語るうえで最大の功労者は、間違いなく「無償アップグレード」戦略でしょう。リリースから1年間、対象となるWindows 7およびWindows 8.1の正規ユーザーに対して、Windows 10へのアップグレードを無償で提供するというこの前代未聞のキャンペーンは、市場に絶大なインパクトを与えたのです。

これまでOSのアップグレードは有償が当たり前であったため、この大胆な施策は、買い控えをしていたユーザーや、アップグレードを躊躇していたユーザーの背中を強く押すことになりました。

その結果は驚異的で、リリース後24時間で1400万台、4週間で7500万台という驚異的なスピードでアップグレードが進行。Microsoftが掲げた「2~3年で10億台のデバイスで稼働させる」という壮大な目標に向け、これ以上ない完璧なスタートダッシュを切ることに成功しました。

こうした無償アップデート戦略はWindows 10からWindows 11へも引き継がれ、OSアップデートのスタンダード戦略へと成長したと言えるでしょう。

Windows 10ユーザーはWindows 11に移行すべき?

Windows 10のサポート終了を前に、多くのユーザーがWindows 11への移行を検討しています。Windows 11への移行には多くのメリットがありますが、Windows 11はWindows 10と比較してシステム要件のハードルが高く設定されているというデメリットも。CPUが64ビットで2コア以上、メモリが4GB以上、ストレージが64GB以上と、より高いスペックが求められます。

一方、Microsoftはそういったユーザーに対して拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)という選択肢を提供しており、これによりWindows 10を安全に使い続けることが可能です。

ESU(Extended Security Updates)とは、サポートが終了したOSに対して有料でセキュリティパッチを提供する仕組みです。Windows 10の場合、2025年10月14日のサポート終了後も、ESUに登録することで「緊急」および「重要」のセキュリティ更新プログラムを継続して受け取ることができます。

ただしESUで提供されるのはセキュリティ更新のみであり、新機能追加や技術サポートは含まれません。

※サムネイル画像は(Image:​「Microsoft」公式サイトより引用)

スマホライフPLUS編集部

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