生成AIの利用が急速に普及するなか、その影響は、購入前提の商品やサービスの比較検討にも及んでいる。しかし、ある調査では「AIの要約だけでは不十分」と答えるユーザーが9割に達していることが分かった。消費者は、AIをどのように使って購入を決定しているのだろうか。

AIへの信頼性の懸念は依然として大きい

株式会社グランネットは2025年10月、全国の20代以上の就業者500人を対象に、「検索行動とAIの活用」に関するアンケート調査を実施した。
「AI Overviews(AIによる概要)」をどの程度確認しているかを調査したところ、「よく確認している」「ときどき確認している」と回答したユーザーは全体の42.1%となり、AIの利用が徐々に浸透してきていることが分かる。

しかし、目的別にGoogle検索を行い、AI Overviewsが表示された際の行動を調査したところ、AIによる要約だけで満足する層は5〜7%程度にとどまり、9割が「AIの要約だけでは不十分」と感じていることが明らかになった。この調査からは、AIによる要約が提示されても、ユーザーはその要約の裏付けや、詳細情報、信頼できる一次情報源を求めてWebサイトへ流入している様子がうかがえる。AIへの信頼性の懸念はかなり大きいようだ。

その裏付けとして、AIを利用する際どのようなことを懸念・不安に感じるかを調査したところ、「情報が古かったり、間違っているかもしれない」(37.0%)、「どの情報をもとに答えているのか分からない」(35.9%)といった情報源の信頼性や精度に関する不安が多数見られた。ユーザーはAIの利便性を享受しつつも、最終的な判断ではより信頼できる情報源を求める傾向が見られる。
AIは「整理・比較」が中心であれば有効に使える可能性も

前段ではAIの信頼性への懸念を示す意見が多く見られたが、購入前提の商品・サービスの比較検討や選定にAIを利用するかを調査したところ、「利用したことがある」層は52.6%に達した。さらに、そのうち61.4%が意思決定に「影響があった」と回答し、自由回答からは、「候補の絞り込み」や「効率化・時短」「判断の自信向上」といったポジティブな影響が確認された。このことから、AIは検索や要約に不安要素はあるものの、整理・比較を中心とした使い方なら有効と考えるユーザーが多いことが分かった。
AIの活用が広がる今こそ、便利さと信頼性をどう両立させるかが問われており、ユーザーが自らの目で確かめる姿勢が求められている。今後のAIの普及は、AIがどのように信頼性を担保し、ユーザーの判断プロセスにより深く関わっていくかが鍵となりそうだ。
※サムネイル画像は(Image:「Google Japan Blog」より引用)





