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2026年問題(AI)とは?インターネット上のデータが2026年に枯渇するって本当?

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(Image:Shutterstock.com)
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2022年11月のChatGPTの登場以降、生成AI(人工知能)は急速に社会へ浸透し、かつてのスマートフォンがそうであったように、新たな産業の主役として、世界経済を牽引し始めています。すでにGPUメーカー(NVIDIAなど)にとっての最大の顧客はスマホメーカーではなく、巨大なAIモデルを開発するGoogleやMicrosoft、Metaといった企業であることはその象徴的な例と言えるでしょう。

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(画像は「OpenAI」公式サイトより引用)

しかしその一方で、AI開発の未来が危ぶまれる「2026年問題」という言葉がささやかれ始めています。これは、「AIが学習するための高品質なデータが2026年頃に枯渇する」という予測です。

この記事では、スマホからAIへの産業構造の大転換と、目前に迫る「データの限界」について、米国と中国の覇権争いやロボット産業の台頭を交えて詳しく解説します。

スマホからAIへの産業シフト

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(ロゴは各社より引用)

2000年代以降、産業の中心には常にスマートフォンがありました。iPhoneの登場以来、半導体の進化、通信インフラの整備、そしてアプリ開発は、すべて「スマートフォンを中心としたデジタル社会の構築」のために行われていたと言っても過言ではないでしょう。

SNSの爆発的な普及、フィンテックによる金融革命、ネット通販やサブスクリプションサービスの常態化など、スマホが生み出した新たな需要は数え切れません。Appleに対して韓国のサムスン電子や中国のファーウェイ、シャオミといった企業が追随し、市場は拡大しましたが、やがて性能の差は縮まり、価格競争が激化する「コモディティー化」の時代を迎えました。

その停滞感を打ち破り、新たな成長エンジンとして登場したのが「ChatGPT」に代表されるAIです。

情報の整理や分析、文章作成といった知的作業をAIが代替するようになり、産業構造の転換が一気に加速したのです。

スマホからAIへの産業シフト2
(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

スマートフォンが20世紀後半からの情報通信技術の普及や第三次産業革命の成果を体現したテクノロジーを象徴する製品であるならば、AIは完全自動化やビッグデータ、ロボティクスが普及する「第四次産業革命」の中心的技術に位置づけられるものでしょう。

この変化は、半導体業界にも地殻変動をもたらしました。AIの計算処理に不可欠なGPU(画像処理半導体)を供給するエヌビディアが、長年業界の盟主であったインテルのCPUに取って代わり、市場の主役に躍り出ました。またAIの性能を左右するメモリ分野でも、広帯域メモリ(HBM)で先行した韓国のSKハイニックスが、長年の王者サムスン電子を脅かす存在となっています。

「脳」を持ったロボットの実用化は近い?

2025年現在、私たちが利用しているAI(ChatGPTなど)は、主に画面の中、つまりデジタル空間でテキストや画像を生成する存在です。そして2026年以降、生成AI技術をロボットの「脳」として搭載することで、状況を見て判断し、臨機応変に動くことができるヒューマノイド(人型ロボット)の開発および実用化が急速に進むという見方が強まっています。

「脳」を持ったロボットの実用化は近い?1
(画像は「テスラ」公式サイトより引用)

たとえば電動自動車のTesla(テスラ)は、かねてより二足歩行ロボット「Optimus」を開発していますが、OptimusはAI駆動が可能な段階まで来ています。これまで「ロボット」といえば遠隔操作が基本でしたが、AI駆動により、たとえば作業員の動きをAIが学習することで、重量物の運搬や人間が動けない場所での作業が可能になるでしょう。

AI開発の壁となる「2026年問題」とは何か

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(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

AI開発が進む一方で、AI開発が進むにつれ、「2026年問題」と呼ばれる学習データ枯渇の懸念も話題となっています。

AI、特に大規模言語モデルは、インターネット上に存在する膨大なテキストや画像データを「学習」することで、その知能を発達させてきました。しかし一部の予測では「AIが高品質な言語データを学習し尽くしてしまう時期」が、早ければ2026年~2030年にも訪れるとされています。

「ネット上のデータなんて無限にあるのでは?」と思われるかもしれません。確かにデータ量そのものは増え続けています。しかし、AIが賢くなるために必要なのは、文法が正しく、論理的で、事実に基づいた「高品質なデータ」です。SNS上の短いつぶやきや、意味をなさない自動生成のテキストなどは、AIの学習にとってノイズになりかねません。

AIの性能を上げるために必要なデータ量は指数関数的に増え続けているのに対し、人類が生み出す高品質なデータの生産スピードがそれに追いつかなくなる。その転換点が2026年前後にあると予測されているのです。

AI研究の権威であるスチュアート・ラッセル教授は、2023年のITU(国際電気通信連合)のAI for Goodグローバルサミットで「大規模言語モデルをさらに大きくしようにも、学習させるテキストが世界中で文字通り底をつき始めている」と警鐘を鳴らしました。ある研究では、現在のペースでAI開発が進むと、高品質なテキストデータは2026年までに、質の低いデータを含めても2030~2050年頃までには使い尽くされると予測されています。画像データも2030~2060年には枯渇する可能性があるとされています。

2026年はAIにとって「さらなる転換期」

データ枯渇の懸念が現実味を帯びるなか、2026年はAIにとって大きな転換期となる可能性があります

データが足りないからといって、AI自身が生成したデータを次のAIに学習させると、世代を重ねるごとに誤情報が増幅され、AIの出力が支離滅裂になってしまうリスクがあります。

つまり「2026年問題」は、これまでのような「とにかく大量のデータを投入することで性能を高める」という従来型の開発手法が、限界を迎えつつあることを示唆しています。

AIがロボットに搭載される未来は目の前に迫っています。2026年という年はAIの社会実装という面では、間違いなく「AIの全盛期」への入り口となるでしょう。

一方で、AIを開発するビッグテック企業や研究者にとっては、2026年は苦難の年になるかもしれません。データの壁に突き当たったAI開発は、これまでのような飛躍的な性能向上を続けることが難しくなる可能性があります。合成データの活用や、より効率的な学習アルゴリズムの開発といった新たなブレークスルーがなければ、AIの進化は一時的に停滞期を迎えることも考えられます。

実用化の加速と開発の限界が同時に訪れる可能性のある2026年は、AI技術が幻滅期へと向かうのか、それとも第四次産業革命の本格到来を告げる年となるのか、まさに産業の分かれ道となるでしょう。

※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)

スマホライフPLUS編集部

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