OpenAI社の動画生成AI「Sora2」における著作権をめぐって議論が高まっていることをご存じだろうか。Sora2で生成された、日本のアニメやキャラクターに酷似する動画がSNS上で多数投稿されたためだ。これを受け、OpenAI社は著作権保護方針を変更した。MM総研では、AIの利活用が活発な日本の大学生がどのような評価をしているのか調査を実施した。

反対が37%、冷静な反応を示す日本の大学生

ICT市場調査コンサルティングのMM総研は、2025年11月、日本の大学に通う大学生や大学院生2,463人を対象に「大学生のAI活用状況と利活用意識に関する調査」を実施。
変更された「Sora2」のコンテンツ著作権保護方針は、著作物も、権利者がオプトアウトを申請しない限り生成・公開され得る仕組みだ。それに対して日本の大学生たちはどのように思うのかを尋ねると、「賛成」27%、「反対」37%、「どちらともいえない」36%となった。反対が賛成を10ポイント上回ったことから、生成AIは便利なツールだが技術発展だけを優先し、既存の秩序や考え方を後回しにしないほうが良いと考える大学生が多いことが読み取れる。

大学生の生成AIの利活用状況を見ると、パソコン利用はBYOD(Bring Your Own Device)を中心に進み、生成AIの利用率は78%、便利と感じる割合は93%に達するなど、大学生が日常的に生成AIを活用している実態が浮き彫りになった。一方で、大学のルール整備は59%、学内AIの整備は11%にとどまり、現時点では学生個人が外部AIを持ち込む「BYOAI」の状態にとどまっている。無料版を主体とする個人向け生成AIの利用は進むようだが、大学側のルールやAI整備は遅れていることが明らかとなった。
大学で生成AI活用ルールが設けられているほうが利活用比率は高い

続いて、大学が生成AIに関する活用ルールを定めている場合と定めていない場合、大学生による生成AIの利活用にどれくらい差があるのか見ていくと、ルールがない大学に比べてルールを設けている大学に通う学生のほうが、課題作成や論文作成、学習や論文執筆の支援など調査したすべての項目で活用比率が高いことが明らかになった。

「授業や課題提出で生成AIを積極的に活用したい」「就職活動で生成AIを活用することは重要」「大学生のうちに生成AIのスキルアップをしておきたい」など、将来的な活用意向でも、AI活用ルールを設けている大学の学生のほうが積極的な傾向が見られた。
大学生たちは生成AIを新しい技術として受け入れ、活用する姿勢が見られる。大学側には、安心・安全に生成AIを活用できる環境整備が急務といえる。
出典:【MM総研】
※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)



