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ChatGPTはオワコン?OpenAI『コードレッド』宣言の意味と今後の見通し

ChatGPTはオワコン?OpenAI『コードレッド』宣言の意味と今後の見通しの画像1
(Image:Shutterstock.com)
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2025年12月、OpenAIが社内向けに発令したとされる「コードレッド(緊急事態)」宣言。Googleが発表した『Gemini 3 Pro』が市場から圧倒的な高評価を集めた結果、OpenAIの開発計画は変更を余儀なくされたとされています。2022年の衝撃的な登場から数年、AI業界の絶対王者として君臨してきたOpenAIに危機が現実のものとなりつつあります。

これまでOpenAIは、GPT-3、GPT-4、GPT-5とモデルを巨大化させることで魔法のような性能向上を実現してきました。

ChatGPTはオワコン?OpenAI『コードレッド』宣言の意味と今後の見通し1
(画像は「OpenAI」公式サイトより引用)

しかしすでに一部のベンチマークテストで、AIの純粋な知能においてGoogleが王座を勝ち取っており、OpenAIにAIの覇権争いにおいて、本当に技術的優位性があるのかという疑念が水面下で広まっています。

ChatGPTはオワコン?OpenAI『コードレッド』宣言の意味と今後の見通し2
(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

OpenAIが抱える不安点は、図表が示す通り、同社に巨額の投資を行っている日本のソフトバンクグループ(SBG)にも波紋を広げています。他社が恐れをなして手を引くような局面こそ、リスクを取ってアクセルを踏み込むのがこれまでのSBGのスタイルではあります。しかし、市場は「OpenAIへの投資が適正価値なのか」を厳しく問い直す局面を迎えています。

「ChatGPTはオワコン(終わったコンテンツ)」という過激な表現さえ使われ始めている今、OpenAIの現状と、その背後で台頭するGoogleや中国勢の猛追などについて詳しく見ていきましょう。

OpenAIの巨額赤字とGoogleの猛追

2028年、OpenAIの赤字額は740億ドル(約11兆円規模)に達すると予測されています。これは一企業の赤字としては極めて異例の規模です。

最大の要因は、トップランナーであり続けるために払い続けている莫大なコストと、チップおよびインフラを外部に依存せざるを得ない事業構造にあります。

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(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

同社は最新鋭のGPUを無数に稼働させ、なおかつ世界中のデータを学習させ続けるための電力とインフラコストを払い続けています。

チップとインフラの外部依存

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(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

OpenAIはAIモデルのトレーニングと実行に不可欠な高性能チップ(主にNVIDIA製GPU)を外部から調達しています。またOpenAIは自前の巨大なデータセンター網を持たず、主にMicrosoftのAzureなどのクラウドサービスを利用してインフラを賄っています。

自社でチップを開発・製造していないため、Googleのようにハードウェアとソフトウェアを垂直統合してコスト効率を高めることが難しく、同様に自社インフラを用いて計算リソースを安価に利用することも難しいのが現状です。

こうした課題を受け、OpenAI、ソフトバンクグループ、オラクル(Oracle)の3社は、米国で複数のAIデータセンターを開発・運営する「Stargate」プロジェクトを推進し、今後数年間で総額5,000億ドル(74兆円)以上を投じ、合計7ギガワット近い膨大な処理能力を持つAIインフラを構築する計画はすでに発表されています。

ただ「Stargate」プロジェクトについてもスケジュール遅延、資金調達難、規制障壁、市場飽和懸念など複数の課題が同時に進行しており、投資がそもそも実現するか強い疑問が投げかけられています。2025年末時点では、単一施設(オハイオ)への縮小実行に着手する段階にある可能性が高いです。

中国「DeepSeek」の衝撃

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(画像は「DeepSeek」公式サイトより引用)

さらにOpenAIを追い詰めているのが、中国のAI開発企業、特にDeepSeek(ディープシーク)に代表される新興勢力の台頭です。※DeepSeekは低コストかつ高性能なモデルを次々と公開しています。

OpenAIが満を持して『GPT-5 High』を発表し、Googleが『Gemini 3 Pro』をリリースしたとしても、DeepSeekはその数週間後、あるいは数日後に、同等以上の性能を持つモデルを「圧倒的な推論コストの安さ」を伴う形で公開してくるという現象が常態化しています。
DeepSeek等の中国勢は、限られた計算資源で効率よく性能を引き出すアルゴリズムの開発に長けており、圧倒的な「安さ」と「速さ」を武器に市場を侵食しています。

「世界最高性能」という看板をOpenAIが掲げても、ユーザー企業からすれば「性能がほぼ同じで、コストが10分の1の中国製モデル(あるいはそのオープンソース版)」があれば、そちらを選ばない理由がありません。

やはり「OpenAIの優位性とは何か?」という問いに対する明確な答えが出しにくくなっているのが現状です。

『知能の時代』の到来とOpenAIの将来性

ここまでOpenAIの苦境を見てきましたが、だからといってAIの未来そのものが暗いわけではありません。むしろ、OpenAIが描くビジョンそのものは、極めて正しく、そして魅力的です。

『知能の時代』の到来とOpenAIの将来性1
(画像は「OpenAI」公式サイトより引用)

2025年10月22日、OpenAIは「日本のAI:OpenAIの経済ブループリント」を公表しました。この中で彼らは日本がAIを全面的に活用することで、GDPを最大16%押し上げ、100兆円超の経済価値を創出できると提言しています。

注目すべきは、彼らがこの変化を『明治期の近代化』『戦後復興』に続く、日本の第3の発展段階『知能の時代』と定義づけたことです。

21世紀中盤に向けたこれからの数十年は、20世紀におけるメディアや家電、家、クルマ、工場での生産などが「AI」及び「AIロボット」に置き換わる時代であると言えるのかもしれません。

物理的な身体性を持ったAIロボットが人間と協調して働く社会が到来し、かつての「家電」や「インターネット」がそうであったように、AIが空気のように当たり前のインフラとなるでしょう。

この「知能の時代」がもたらす恩恵は計りしれません。しかしその輝かしい『知能の時代』が実現した時、その中心に立っているのは、本当にOpenAIなのでしょうか。

かつてインターネットの黎明期、ウェブブラウザの市場を切り開いたのはNetscapeでした。しかし、インターネットが社会インフラとして定着した時、そこにNetscapeの姿はありませんでした。

OpenAIが提示した「第3の発展段階」というビジョンは、確かに到来するでしょう。しかし、あまりにも巨額な赤字や、Googleという巨人の猛追、さらにDeepSeekらによるコモディティ化の波を踏まえると、OpenAIが最後まで「王座」を守り抜けるかどうかは予断を許しません。

その未来の中心で存在感を放っているのは、インフラを握るGoogleかもしれません。あるいは、圧倒的なコスト競争力を武器とする中国勢である可能性もあります。

※サムネイル画像(Image:Shutterstock.com)

スマホライフPLUS編集部

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