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MediaTekがボーナス15.7%カット、半導体不足の波がついに「働く人の給料」に到達した

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(Image credit: MediaTek)

「半導体不足」という言葉を最後に聞いたのはいつでしょうか。コロナ禍の2021年ごろから繰り返し報じられてきたこのキーワードですが、実は2025年後半の今もなお、業界に深い影を落としています。そして、その影響がついに「チップを作っている側の社員のボーナス」にまで及びました。

世界最大級のファブレス半導体メーカーであるMediaTek(メディアテック)が、2025年下半期のボーナスを前期比15.7%カットしたと報じられました。対象は約12,000人の社員。スマホを使うすべての人に関係するこのニュースを、わかりやすく深掘りしていきます。

何が起きた? MediaTekボーナスカットの全容

台湾の経済紙「Economic Daily News」の報道によると、MediaTekは2025年下半期の賞与として総額約114億台湾ドル(約363億円)を計上しました。対象者は約12,000人で、一人あたりの平均支給額は約95万台湾ドル(約30,000米ドル=日本円で約450万円相当)です。

数字だけ見ると高額に思えますが、ポイントは2025年上半期と比べた「減少幅」です。前期の水準から15.7%の減額となっており、MediaTekのような高収益企業がこの規模のカットを行うのは、単なるコスト調整ではなく、業界全体の構造的な圧力を反映していると考えられます。

なぜ今? 背景にある「メモリ不足」という深刻な問題

DRAMとNANDの供給制約が生産を直撃

MediaTekはスマホ向けチップの設計・販売で世界をリードする企業ですが、チップ単体ではスマホは動きません。端末メーカーはチップに加え、DRAM(作業用メモリ)やNANDフラッシュ(保存用ストレージ)を組み合わせてスマートフォンを製造します。

2025年後半、このDRAMとNANDの供給がタイトになりました。AI向けサーバーへのHBM(High Bandwidth Memory)の需要が爆発的に拡大したことで、メモリメーカーの生産ラインがAI向けに優先配分され、スマホ用メモリの供給が後回しにされている構図です。

端末メーカーが十分なメモリを確保できなければ、スマホの出荷台数が減ります。出荷が減れば、チップの受注も落ちます。MediaTekの2025年第4四半期の売上のうちスマートフォン向けが59%を占めているため、この影響は直撃です。

サプライチェーン全体への波及効果

メモリ不足の影響は端末メーカーだけにとどまりません。チップセットメーカー、ディスプレイサプライヤー、組み立て工場まで、サプライチェーンの各層でコスト増と出荷減の板挟みが起きています。チップを大量に売って利益を確保したいMediaTekにとって、出荷数が減ればマージン(利幅)は当然圧迫されます。その圧力が、社員への還元=ボーナスに反映されたわけです。

MediaTek vs Qualcomm:ライバル対決の今

スマホチップ市場では、MediaTekとQualcomm(クアルコム)が長年しのぎを削っています。両社の現状を整理してみましょう。

MediaTek vs Qualcommの比較表
(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

MediaTekは次世代チップ「Dimensity 9600」で2nmプロセスへの移行を計画しています。微細化は電力効率と性能向上に寄与しますが、それだけで出荷数や利益が保証されるわけではありません。最先端の製造プロセスは生産コストも跳ね上がるため、Qualcommとの価格競争でどこまで優位性を維持できるかが焦点になります。

私たちのスマホ選びに影響はある?

短期的には「大きな影響なし」

今回のボーナスカットが即座にスマホの価格や性能に影響することはまずありません。すでに市場に出ているDimensity 9400搭載スマホの性能が変わることもないですし、来年のモデルの開発が止まるわけでもないです。

中長期的に注目すべきポイント

ただし、メモリ不足が長期化した場合、スマホの価格上昇につながる可能性はあります。メモリは端末コストの中で大きな割合を占めるため、DRAMやNANDの価格が上がれば、その分が製品価格に転嫁されることは十分あり得ます。特に「大容量メモリ+大容量ストレージ」を求めるハイエンド志向のユーザーは、今後の価格動向を注視しておいたほうが良いでしょう。

これは「半導体不足 第2章」の始まりか

今回のMediaTekのボーナスカットは、単なる一企業の人事施策ではなく、半導体業界全体が直面している構造変化のシグナルだと私たちは捉えています。

2021–2022年の半導体不足は「作りたくても作れない」という供給側の問題でした。しかし今回は、AI需要がメモリ生産のリソースを吸い上げているという新たな構図が加わっています。つまり、AI時代の到来がスマホ業界に間接的なコスト圧力をかけているのです。

MediaTekの売上は今後もスマホチップに大きく依存する見通しです。事業の多角化(IoT、車載チップ、Wi-Fiチップなど)は進めているものの、収益構造が大きく変わるには時間がかかります。メモリ供給の制約が続く限り、同様のコスト削減策が繰り返される可能性は十分にあります。

今、読者がとるべきアクション
スマホの買い替えを検討中の方は、「今すぐ欲しいモデルがあるなら今が買い時」です。メモリ価格の上昇が端末価格に波及する前に動くのが合理的な判断と言えます。逆に「まだ今の端末で十分」という方は、2026年後半に登場するであろう2nm世代のチップ搭載モデルまで待つのもひとつの選択肢です。

半導体不足という言葉は一見、自分とは遠い世界の話に聞こえます。しかし今回のMediaTekのニュースは、その影響が巡り巡って私たちの手元のスマホの価格にまで届き得ることを改めて示してくれました。スマホライフPLUS編集部では、引き続きこのテーマを追いかけていきます。

出典:【Techrader】

※Image credit: MediaTek

スマホライフPLUS編集部

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