スマートフォンが主流となった現在、ガラケーや4Gガラケーは過去の遺物と見なされることが多いでしょう。ガラホに関しても同様で、スマホに比べるとやはり需要が限定的と言えます。
しかし、その中でも『G’zOne』シリーズは根強い人気を誇り、特定のユーザー層に支持され続けています。本記事では『G’zOne』シリーズがなぜ現在も愛されているのか、その理由を深掘りしていきます。

卓越したタフネス性能

『G’zOne』シリーズの最大の特徴は、その卓越したタフネス性能です。タフネスケータイと称されるように極めて優れた耐衝撃性、防水性、防塵性を備え、過酷な環境下でも使用可能な耐久性を誇ります。

G’zOneシリーズは2000年に初代が登場して以来、紆余曲折を経ながらも20年以上の歴史を歩みました。2025年時点での最新作となる『G’zOne TYPE-XX』は米国国防総省規格基準テストMIL-STD-810Hの19項目に準拠しています。
たとえば、高温や塩水噴霧といった条件下でも問題なく動作するため、建設業や農業、アウトドア愛好家など、持ち物に通常以上の耐久性を求めるユーザーにとって魅力的な選択肢となっていると言えるでしょう。
物理ボタンによる操作性
耐衝撃性に優れ、さらに物理ボタンによる操作ができることは『G’zOne』シリーズの大きな魅力です。濡れた手や手袋を着用した状態でも確実に操作できるため、通常のスマートフォンでは対応しきれない状況でも安心して使用できます。よってやはり建設業や農業の方にとってG’zOneシリーズは魅力的な存在です。総じてこうしたタフネスケータイは、特定のニーズを持つユーザー層にとって欠かせない存在となっています。
ニッチ市場への最適化
スマートフォンへの移行が進む中で、『G’zOne』シリーズはタフネス性能を活かしてニッチ市場に良い意味で特化している貴重な例だと言えるでしょう。
あくまで一例ですが、建築業や農業に従事する方にとっては、手が汚れた状態でタッチパネル操作を行うのは使いづらく感じるものです。こうしたユーザー層に向けた端末として『G’zOne』はやはり人気。支持を受けて、2021年には4G対応の「TYPE-XX」モデルが復活しました。3Gサービス終了後もガラケーを継続利用したいという根強いファン層のニーズに応えたと言えるでしょう。
デザインと機能性の融合
『G’zOne』シリーズのデザインは、初代モデル以降、良い意味で「武骨な外観」が一貫した特徴です。
たとえば開発に4年かかった『G’zOne TYPE-R』(2005年発売)はシリーズ初の二つ折りモデルで、シリーズの中でも屈指の人気モデルです。デザインはシリーズの特色を強く受け継いでいます。
さらに、円形のサブディスプレイには時刻だけでなく、気圧、方位、温度計などのアウトドアに役立つ機能が表示されるため、実用性も兼ね備えています。

こうしたデザイン性は2021年に同シリーズが復活した際のデザインにも強く反映されています。「G’zOneらしさ」が忠実に再現されており、熱心なファン層を惹きつけていると言えるでしょう。シリーズの独自性を保ちながら進化を続けている点は、やはり「単なる古臭いガラケー」とは言えない評価に値するものと言えます。
今後の展望と代替機種
G’zOneシリーズはもともと、カシオ計算機(カシオ日立モバイルコミュニケーションズ)が開発を手掛けていましたが、2021年に復刻した『G’zOne TYPE-XX』の開発、製造を手掛けていたのはカシオの協力を得た京セラでした。
そもそも、auは2018年に3G回線停波を発表し、これに伴ってユーザーのガラケーからのフィーチャーフォン乗り換えを推し進めていましたが、マーケティングを行った結果、G’zOneに根強い人気があることが明らかに。カシオはすでに携帯電話端末事業から撤退していたものの、京セラがかつて開発していたTORQUEシリーズがG’zOneの後継ともいえる耐久性を持っていたことから京セラに白羽の矢が立ち、カシオとタッグを組む形で開発が実現したという経緯があります。
一方、その京セラも2025年3月末をもって、コンシューマー向けスマートフォン・携帯電話事業から撤退。つまり、2021年に復活した『G’zOne』シリーズの後継となるコンシューマー向けのスマートフォンは、現時点ではすぐに登場する見込みはないと言えるでしょう。
しかし、法人向け市場では高耐久スマートフォンに対する需要が根強く、京セラは今後も「TORQUE」シリーズを中心に法人向け端末の販売は行う意向とのこと。事実、京セラは例外的に「TORQUE」シリーズの継続方針を明示しています。
「TORQUE」シリーズは、『G’zOne』の精神を受け継ぐタフネスモデルとして一定の需要を満たしています。『G’zOne』シリーズの精神は「TORQUE」シリーズに受け継がれ、特定のニーズに応えるタフネス携帯電話として、今後も一定の支持を集めることが予想されます。これからも、ガラケーの枠を超えた独自の価値を提供し続けることが期待されます。
※サムネイル画像は(Image:「au」公式サイトより引用)