夏になると、スマートフォンが異様に熱くなり、動作が遅くなったり、急に充電できなくなったりすることがある。これはいわば、スマホが“熱中症”を起こしているような状態である。多くのスマートフォンは「周囲温度が35℃まで」の環境で使うことを前提に設計されており、それ以上の温度になるとさまざまな不具合が発生しやすくなる。

本体が熱を帯びると、アプリが落ちる、カメラが強制終了する、動画がうまく保存できない、充電が一時的に停止されるといった症状が出ることがある。これらはスマホ自身が「このままでは壊れてしまう」と判断して、自動的にセーフティ機能を働かせているためだ。
この夏、スマートフォンを守るために知っておきたいポイントを整理しておく。
35℃が“限界温度”である理由
精密機器であるスマートフォンには、さまざまなセンサーが内蔵されている。その中には内部温度を検知するセンサーもあり、基準を超えた場合は機能の一部を自動で制限する仕組みになっている。

多くの端末で設定されている「安全に使用できる周囲温度」は、5〜35℃。この35℃という温度は、あくまでも周囲の空気温度を示しているが、実際には太陽光やエンジン熱などの影響で、スマホ本体はあっという間に50℃・60℃と上昇してしまうことがある。
たとえば、真夏の車内のダッシュボードにスマホを置いた場合、たった30分で本体の表面温度が70℃を超えたというデータもある。これは端末の内部設計に大きな負担をかけ、最悪の場合はバッテリーの膨張や故障、火災の原因になりかねない。
高温で起こりうるスマホのトラブル
高温によって引き起こされるトラブルは多岐にわたる。代表的なものは以下の通りである。
● バッテリーの劣化・膨張
スマホに使われているリチウムイオン電池は熱に弱く、45℃を超えると化学反応が加速し、寿命が縮まる。特に充電中や高負荷状態では内部がさらに熱を持ち、長期的には電池の膨張や液漏れの原因になる。
● アプリの強制終了・パフォーマンス低下
スマホは高温時、自動的に処理性能を下げたり、重いアプリの使用を制限する。動画撮影中に急に止まったり、ゲームのフレームレートが著しく落ちたりするのは、端末が“自衛モード”に入っているサインである。
● 充電停止・表示異常
バッテリー保護のために、一定温度を超えると充電自体がストップする。また、バッテリー残量が異常表示される、突然再起動するなどの不安定な挙動が出ることもある。
● 保存データの破損
ごくまれに、熱が原因で保存中の写真や動画が壊れるケースも報告されている。これは主に書き込み処理中の高温により、保存メディアにエラーが生じた場合に起こる。
スマホを熱から守る4つの習慣
これらのトラブルを防ぐには、日常のちょっとした配慮が鍵となる。
1.直射日光を避ける
夏場は特に、ポケットやかばんの中にしまい、日差しの下にスマホを置かないこと。ベビーカーや車内に放置するのは厳禁。
2.充電時は風通しのよい場所で
充電中はどうしても熱を持つため、冷房の効いた部屋などで充電するのが望ましい。高温の場所でワイヤレス充電や急速充電を行うのは避けたほうがよい。
3.高負荷アプリはほどほどに
ゲームや動画撮影など、CPUやGPUに負荷がかかる操作は発熱の原因となる。特に夏場は連続使用を控え、適度に休ませる。
4.熱を感じたらすぐに使用をやめる
本体が明らかに熱いと感じたら、即座に電源を切るか使用を中断し、涼しい場所に移動させる。冷蔵庫に入れたり、保冷剤を直接当てるのは避けましょう。結露が発生し内部が水没状態になる恐れがある。
まとめ:スマホにも“休息”が必要
スマホは24時間365日稼働してくれる頼れる相棒だが、精密機器である以上、無理をさせれば当然どこかに不具合が生じます。特に気温が高くなる夏場は、端末の健康を守る上でも「使いすぎない・熱をこもらせない」ことが何より重要となる。
35℃以上の環境は、スマホにとってはすでに“危険地帯”である。無意識のうちに暑さにさらしていないか、一度見直してみてほしい。私たちが水分補給や日陰での休息をとるように、スマホにも涼しい環境とクールダウンの時間を用意してあげること。それが、長く快適なスマホライフを維持するための鍵となるだろう。
引用元:【au】
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