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今さら聞けない「おサイフケータイ非対応機種」のスマホがじわじわ増加する理由

街中で買い物をするときに「PayPayなどのQRコード決済を使う機会が、以前より大きく増加した」という方は少なくないでしょう。

QRコード決済隆盛の裏で存在感が薄れつつあるのが、おサイフケータイです。家電量販店の店頭をのぞいてみても、おサイフケータイ対応を大々的にアピールしている端末は、昔に比べて減っていることは否めません。

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(Image:「photoAC」より)
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むしろおサイフケータイ非対応機種のスマホが徐々に増加しているのが、国内スマホ市場の現状と言えるでしょう。今回は「おサイフケータイ非対応機種が増加している現状」について詳しく見ていきましょう。

おサイフケータイの歴史と普及の背景

おサイフケータイの歴史と普及の背景1
(画像はスマホライフPLUS編集部作成)

おサイフケータイは、2004年に日本で始まったサービスで、スマホに内蔵されたFeliCaを使って、非接触で決済や交通乗車ができる仕組みです。スマホをリーダーにかざすだけで支払いが完了するので、財布を出さずに済む手軽さが魅力でした。特に日本では、コンビニや自動販売機、電車などで広く使われており、生活に欠かせないツールとして定着していました。

初期の頃は、ガラケー時代から普及し始め、2010年代にはスマートフォンの標準機能として多くの機種に搭載されるようになりました。しかし、2025年現在、一部の機種では「FeliCa離れ」が進みつつあります。FeliCa非対応の機種が増加するに伴い、おサイフケータイのサポートが終了する動きもあり、変化の兆しが見え始めています。

FeliCaの功罪:メリットとデメリット

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(Image:yu_photo / Shutterstock.com)

そもそもFeliCaはソニーが開発した技術で、NFC(Near Field Communication)のType Fという規格に分類されます。このチップが携帯電話に搭載されることで、電子マネーのデータを安全に保存・読み取りできるようになります。セキュリティ面でも優れており、暗証番号ロックや遠隔停止機能が備わっています。

一方、FeliCaは良くも悪くも「グローバル規格とは必ずしも言い難い側面」があることも事実です。FeliCaを活用したサービスの代表例は、SuicaやPASMOなどの交通系ICカード、楽天Edyやnanacoのような電子マネーです。

つまり、特に海外メーカーにとって、FeliCa搭載は「日本向けに対してのみ行う、追加の投資」に相当します。メーカー側で追加のテストやライセンスが必要になり、それが端末開発のコスト増大につながるため、大きな障害となっています。

この点は、後述する非対応増加の要因の一つとなっています。

おサイフケータイ非対応機種が増加している現状

おサイフケータイ非対応機種が増加している現状1
(画像は「Xiaomi」公式サイトより引用)

近年、おサイフケータイ非対応のスマホが増えているのは事実です。 特に、2025年にはXiaomi 15 Ultraのような新モデルが、おサイフケータイ非対応で発表されています。

このほかGoogleのPixelシリーズの一部や、Xiaomi、OPPO、Nothing Phoneなどの海外ブランドの端末では、FeliCaチップが搭載されていないモデルが目立ちます。2024年の市場調査によると、スマートフォン所有者のうちFeliCa対応機種の所有率は84.0%で、前年比微増ですが、格安SIMフリー端末では非対応が主流を占めています。

格安SIMフリー端末が「おサイフケータイ」非対応が多い理由

格安スマホが「おサイフケータイ」非対応な理由は、繰り返しではありますが「規格」です。

おサイフケータイの基盤であるFeliCaは、日本独自の技術で、NFCのType Fという規格です。メーカー側からすると、FeliCaを追加で搭載するには、チップの適合テストやライセンス料がかかり、コストが増大します。日本市場は世界のスマホ販売シェアで約2.3%程度と小さいため、日本向けにカスタマイズするメリットが薄れているのです。

世界標準の非接触決済はType AやType Bが主流で、Apple PayやGoogle Payの多くがこれらを採用しています。海外製のスマホは、グローバル市場向けに設計されているため、Type A/BのNFCを搭載していても、FeliCaには対応していないことが多いのです。

結果として、グローバル規格優先の端末が増え、FeliCa非対応が標準化しつつあります。

グローバル端末普及の裏にある「SIMフリー化の影響」

グローバル端末普及の裏にある「SIMフリー化の影響」1
(画像はスマホライフPLUS編集部撮影)

以前は日本国内のキャリアが販売する端末が主流で、おサイフケータイ対応が標準でした。しかし、SIMロック解除の義務化や格安SIMの普及により、海外製の安価なスマホが日本に入りやすくなりました。XiaomiやOPPO、GoogleのPixelなど、国際ブランドの端末は、基本的にグローバルモデルをベースにしています。これらのメーカーは、世界中のユーザーを対象に製品を開発するため、日本独自のFeliCaを標準搭載しない選択をすることが多いのです。

加えてメーカーによる「キャリア離れ」も顕著になりつつあります。メーカーにとって国内大手キャリアが定める条件に合致した端末を納入することは、安定的な売り上げやキャリアショップを通じた販路確保の点で意味があります。
一方で国内大手キャリアが定める「納入条件となる仕様」は、周波数や、FeliCa搭載などさまざまな点で「国内向け」です。つまりグローバルなメーカーにとっては、開発コスト上昇の要因です。

このため、メーカーはキャリアへの依存を減らし、SIMフリースマホの直販に舵を切る動きが強まっています。こうした動きも、おサイフケータイ非対応機種増加の一因となっています。

QRコード決済の台頭

QRコード決済の台頭1
(画像は「PayPay」公式サイトより引用)

QRコード決済の急速な普及も大きな要因です。PayPayや楽天ペイ、d払いなどのサービスが登場して以来、決済の主流が移り変わってきたのです。これらのQRコード決済は、スマートフォンのカメラでコードを読み取るだけで利用できるため、特別なチップを必要としません。つまり、おサイフケータイ非対応のスマホでも問題なく使えます。店舗側にとっても、QRコード決済の導入コストは低く、専用のリーダーを設置する必要がない点がメリットです。2019年の消費税増税時に政府が推進したキャッシュレス還元事業も、QRコード決済の広がりを後押ししました。

結果として、ユーザーは「おサイフケータイがなくても、QRコードで十分」と感じるようになり、メーカーもFeliCa搭載を必須とは考えなくなりました。

おサイフケータイはオワコン?

もし最近おサイフケータイを使っていなければ、それは時代のグローバル化の波に乗っている証拠と言えるかもしれません。

決してFeliCaの価値がなくなったわけではありませんが、ユーザーのニーズや市場の変化に合わせて、選択肢が広がっているのは事実です。 たとえば日常の買い物ではQRコードを使い、それに合わせ、端末もFeliCa非搭載端末を選ぶ。たまに交通系カードが必要なら物理カードを持ち歩く、というスタイルは「スマホの選び方」として定着しつつあります。

一方で、おサイフケータイの利便性を求める人は、対応機種を選べば問題ありません。家電量販店で端末を選ぶ際は、スペック表の「おサイフケータイ対応」の欄をチェックする習慣を付けると良いでしょう。

※サムネイル画像は(Image:「photoAC」より)

スマホライフPLUS編集部

スマホライフPLUS編集部

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