eSIM専用端末を世に出した楽天モバイル

takaaki(@kemukemu55)さんがXに投稿した「楽天モバイル『何って…5年以上前に自社でeSIM専用端末をつくって、来るべきiPhone eSIM時代を見据えたシステム構築をしていただけだが?』」という言葉が注目を集めている。添えられているのは、かつて楽天モバイルが販売していた「Rakuten Mini」という小型スマートフォンの画像だ。
Rakuten Miniは2019年に登場した3.6インチディスプレイ搭載の超小型端末で、最大の特徴は「eSIM専用スマートフォン」であった。当時、日本国内では物理SIMカードが当たり前で、eSIMを知っている人はごく少数だった。そんな状況でeSIM専用機を投入するというのは、極めて挑戦的な試みであり、楽天モバイルの先見性を物語っている。
takaaki(@kemukemu55)さんの投稿は、その挑戦をユーモラスに振り返りつつ、「当時は誰も注目しなかったが、今になってようやく時代が追いついてきた」という事実を突きつけている。
iPhoneが追いついた「eSIM標準化」

iPhoneシリーズは現在、eSIMを標準搭載している。特にアメリカ市場ではiPhone 14以降が完全にeSIM専用となり、日本でも複数キャリアがeSIM対応を本格化している。もはや物理SIMカードに依存せず、スマートフォンの契約や回線切り替えをすべてオンラインで完結できる時代が到来したのだ。
この流れを考えると、Rakuten Miniの登場は“未来を先取りした端末”だったことが理解できる。当時は「小さすぎる」「性能が物足りない」といった声も多かったが、eSIMを軸にしたシステム構築は、今振り返れば極めて合理的な判断だったと分かる。
takaaki(@kemukemu55)さんが指摘するように、楽天モバイルは単に小型端末をつくったのではなく、裏側で「eSIM前提の通信システム」を整備していた。これは大手キャリアでさえ後追いするしかなかった先進的な取り組みであり、今、再評価されるのも自然な流れだ。
Rakuten Miniのユニークさと課題

Rakuten Miniは、幅54ミリ・重さ約79グラムという圧倒的なコンパクトさを誇り、世界最小クラスの4Gスマートフォンとして登場した。持ち運びやすさやデザイン性は高く評価され、小型端末好きのユーザーからは熱烈に支持された。カラーバリエーションにはブラック・ホワイト・クリムゾンレッドなどが用意され、デザイン面での遊び心も感じられた。
しかし、当然ながら課題もあった。バッテリー容量は1250mAhと小さく、長時間の利用には向かない。CPUやメモリもエントリークラスで、重いアプリを動かすには力不足だった。また、当時のeSIM利用は設定が複雑で、一般ユーザーには扱いづらいものだった。そのため「面白い端末ではあるが、万人向けではない」と評価されることが多かった。
それでもRakuten Miniが残した功績は大きい。楽天モバイルがこの端末を投入したことで、自社の通信システムをeSIM前提に最適化せざるを得なくなり、その経験が今日の柔軟なサービス提供につながっている。つまり、Rakuten Miniは単なる実験機ではなく、未来の通信環境を切り開いた“布石”だったといえる。
eSIMが広げる未来と楽天の立ち位置

eSIMの普及は、ユーザーにとっても大きな利便性をもたらす。物理カードを差し替える必要がなく、旅行先で現地キャリアのプランをすぐに追加できる。デュアルSIMも容易になり、個人用と仕事用の番号を一台で使い分けられる。こうした柔軟性は、まさにRakuten Miniが目指していた世界観である。
一方で、eSIMへの完全移行には課題もある。端末を紛失した場合、従来のようにSIMカードを差し替えてすぐ復旧することが難しくなる。また、複数キャリアのシステム連携やサポート体制も、まだ発展途上だ。それでも確実に、物理SIMの時代は終わりに近づいている。
takaaki(@kemukemu55)さんの投稿が注目されるのは、この流れのなかで「楽天はすでに答えを出していた」という事実を示しているからである。大手キャリアが慎重に動くなか、楽天モバイルは果敢に挑戦し、その経験を蓄積してきた。たとえ当時は理解されなくとも、今振り返れば戦略的な布石であったことは明らかだ。
未来を見据えた挑戦の価値
takaaki(@kemukemu55)さんの投稿は、Rakuten Miniを通じて楽天モバイルの挑戦を再評価するきっかけとなっている。登場から5年が経過し、時代がeSIMを受け入れ始めた今だからこそ、その先進性が光るのだ。
技術革新の歴史を振り返れば、“早すぎる挑戦”はしばしば笑われたり、忘れられたりする。しかし後に時代が追いついたとき、その挑戦は偉業として語り継がれる。Rakuten Miniはまさにその象徴であり、今後eSIMが完全に主流となったとき、楽天モバイルが残した足跡はより鮮明に語られるだろう。
楽天モバイル「何って…5年以上前に自社でeSIM専用端末をつくって,来るべきiPhone eSIM時代を見据えたシステム構築をしていただけだが?」 pic.twitter.com/jyTSyoPczc
— takaaki (@kemukemu55) September 19, 2025
※サムネイル画像(Image:「takaaki(@kemukemu55)」さん提供)