政治状況や対米関税問題などに端を発する為替変動や物価高騰が国民生活を脅かすなか、価格が上昇傾向のスマホ市場は減少するリスクも危惧されていたが、実際はどうだろうか。ICT市場調査コンサルティングのMM総研では、2025年度上期(2025年4月~9月)の国内携帯電話端末の出荷台数を調査し、その結果を発表した。詳しく見ていこう。

2025年度上期の総出荷台数は「1,420万台」
MM総研の調査によると、2025年度上期の総出荷台数は1,420万台(前年同期比7.2%増)。2000年度以降の上期出荷統計として最少だった2023年度上期から回復傾向にあるが、過去3番目に少ない水準にとどまっている。
内訳を見ると、スマホが1385.7万台(同8.3%増)、フィーチャーフォンは34.3万台(同25.3%減)、総出荷台数に占めるスマホ比率は97.6%(1.1ポイント上昇)と判明した。 5Gスマホは1376.8万台(同8.2%増)、スマホ全体に占める5G対応比率は99.4%と1ポイントながら減少した。
スマホ出荷増の背景には、キャリア大手4社の下取りプログラムを活用した買い替え需要の拡大に加え、2026年3月末に控えるNTTドコモの3G停波に向けた買い替えが影響したとみられる。一方、フィーチャーフォンは過去最少を更新した。
2025年度通期の総出荷台数は3,295万台(前年度比6.1%増)、うちスマホは3,205万台(同6.7%増)と予測される。2026年度以降も年間3,100万〜3,200万台規模で安定的に推移する見通しだ。
出荷台数1位は「アップル」14期連続でトップ

メーカー別では、アップルがスマホ出荷シェア43.7%(1.0ポイント減)で14期連続の1位となった。
2025年9月発売のiPhone 17シリーズは「無印」「Pro」「Pro Max」の3モデル体制となり、従来のPlusが廃止され薄型の「iPhone Air」が追加された。容量ラインアップの変更や物理SIMスロットの廃止(eSIM専用化)など、16シリーズからの進化が注目を集め、発売直後から好調な滑り出しを見せた。
また、2025年2月に発売されたiPhone 16eは、ワイモバイルやUQモバイルでも同時発売となり、サブブランド市場でのiPhoneシェア向上に貢献した。SEより高価格帯ながら、結果的に大きな支持を得ている。
2030年度までスマホ市場は年間3,100万〜3,200万台規模で安定推移が見込まれるが、今後は新たなデバイス形状や技術革新により、利用環境がさらに変化していく可能性もある。
出典:【MM総研】
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