人生の最期に向けて行う活動「終活」。家や車などの相続・管理など目に見える財産ばかりが注目されがちだが、近年はインターネット上の情報を整理する「デジタル終活」の必要性も高まっているという。一般社団法人 終活協議会/想いコーポレーショングループが実施した「終活に関するアンケート」の調査結果から、デジタル終活の意識度・実践率を見てみよう。
「デジタル終活」の実践率は低いが、多くの人が重要性を感じている

終活に関するトータルサポートを提供する一般社団法人 終活協議会/想いコーポレーショングループは、2025年2月18日~3月31日の間に、10~90代の男女1,005名を対象に、「デジタル終活」に関するアンケート形式の意識調査を実施した。
「デジタル終活」とは、スマホやSNS、サブスクやネット銀行などのログイン情報やデータを生前に整理すること。アンケートで「デジタル終活」という言葉の認知度を調査すると、「聞いたことある」と「ない」がそれぞれ半数ずつという結果に。終活という言葉自体の認知度は上がったものの、そこから派生したデジタル終活についてはさほど認識されていないようだ。

では、実際にデジタル終活を行っている人はどのくらいいるのだろうか?「スマホやSNS、サブスクやネット銀行などのログイン情報を共有している相手はいますか?」という問いに「いる」と答えた人は22%、「ログイン情報をノートなどに残していますか?」という問いに「残している」と答えた人は31%とどちらも少数派。この結果から、デジタル終活を実践している人はまだまだ少ないということが読み取れる。

「デジタル終活をしないことで生じる一番のリスクは何ですか?」との質問には、約半数が「解約処理ができず、死後もサービスの支払いが発生してしまう」、約3割が「遺された家族や親戚がネット上の金融資産を把握できない」と回答し、デジタル終活を行わないことにリスクを感じている人が一定数いることが判明。どちらの回答も、「遺された家族へ金銭的な事柄での負担をかけたくない」という理由が根源にあることが分かった。
デジタル終活で7割が「家族や親戚が困らずに済む」

デジタル終活をするメリットに関しては、7割が「遺された家族や親戚が困らずに済む」と回答。一方、デメリットに関しては、「個人情報の漏洩」を懸念する声が約6割を占める結果に。身近な人へのログイン情報などの共有、ノートにログイン情報などを書き記しておく行為はデジタル終活として必要だが、第三者にログイン情報が洩れてしまうリスクもはらんでいる。情報の漏洩のリスクをどのように軽減させていくかが、今後デジタル終活に取り組む上で重要な課題となってきそうだ。

「今後デジタル終活に取り組みたいと思いますか?」という質問には約8割、「デジタル終活を身近な人に勧めたいと思いますか?」という質問には約9割が「思う」と回答。

「定期的な内容更新、利用サービスの見直し」29%、「共有相手に保管方法や保管場所を知らせておく」28%、「事故や病気など、もしもの事態は誰にでも起こり得ることを自覚する」26%といったことに重きを置き、多くの人がデジタル終活に取り組みたいと思っていることが明らかになった。
それぞれが抱える事情によりデジタル終活に取り組む上での考え方は変わってきそうだが、さまざまなデジタルツールが増えてきた昨今において、デジタル終活は重要度を増していくのではないだろうか。終活との新たな向き合い方のひとつとして今後も注目をして行きたい。
出典:【一般社団法人 終活協議会/想いコーポレーショングループ】
※サムネイル画像(Image:「photoAC」より)