人間関係や職場環境のストレスを理由に、退職代行を利用する人が増えている。株式会社アルバトロスが運営する「退職代行モームリ」の最新調査では、利用者の多くが“即転職”を希望している実態が明らかになった。今回はその背景や退職後の内定率について見ていこう。

6割以上が『1か月以内の転職』を希望!次に重視するのは『人間関係』

株式会社アルバトロスは、退職代行モームリ利用者を対象に「転職活動の実態」に関する調査を実施した。転職活動における勤務開始希望時期を尋ねたところ、「すぐにでも働きたい」が45.8%、「1か月以内に働きたい」が21.8%と続いた。実に6割以上が早期転職を望む結果となった。
転職活動では「雰囲気・人間関係重視」と答える人が最も多く、「ワークライフバランス」「安定性」「給与」と続いた。退職代行を利用する人の多くは、職場での人間関係トラブルや精神的な負担を背景に退職するケースが多いようだ。待遇よりも、まず「安心して働ける環境」を求める人が増えている。
近年では、上司とのコミュニケーションが形式的になり、相談や報告・連絡・相談(いわゆる報連相)が形骸化している職場も少なくない。特にZ世代では、衝突を避ける傾向が強く、意見が通らない職場にストレスを感じやすいとされている。一方で、休日がきちんと取れない、プライベートの時間を確保できないなど、ワークライフバランスの崩壊も退職を後押ししていることが明らかになった。こうしたストレスの蓄積が「もう無理だ」と感じるきっかけとなり、退職代行という選択肢が心理的な逃げ道として確立しつつあるのかもしれない。
7割以上が『同業種は避けたい』と回答

では、退職代行を利用した人たちは、次も同じ業界での再出発を望んでいるのだろうか。調査によると、実に72.9%が「同じ業種では働きたくない」と回答した。単に「会社が合わなかった」というだけでなく、業界全体の風土や慣習そのものに嫌気が差し、職種ごとリセットしたいという心理が働いていると考えられそうだ。また、「もう自分を犠牲にしたくない」「環境に左右されない働き方をしたい」といった意識の変化もうかがえる。過去の職場でのトラウマから、「どの会社に行っても同じなのでは」と無意識に思ってしまう人もおり、キャリアの方向性そのものを見直す動きが強まっているのかもしれない。

一方で、転職活動の成果は決して悲観的ではないようだ。「調査では、退職代行利用者の書類選考通過率が50%以上、内定率が約12%という結果が出た。これは大手転職エージェント(書類通過率30%前後・内定率4~5%)と比較しても高い数字だ(マイナビAGENT調べ|2022年4月28日公開時点)。短期離職や退職代行の利用経験があっても、誠実に理由を伝え、次のステップに進む意欲を見せれば、採用のチャンスは十分にあるということが明らかになった。
退職代行は「逃げ」ではなく、“再スタートのための手段”として確立しつつある。働く場所や人間関係に縛られず、自分らしい働き方を選ぶ動きは、今後さらに広がっていくだろう。
出典:【株式会社アルバトロス】
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