2025年1月20日に第47代大統領に就任したドナルド・トランプ氏。そして1月18日にローンチされたのが、ミームコイン「$TRUMP」です。
ミームコインとはインターネット上のミームやジョークをモチーフとした仮想通貨のこと。つまり$TRUMPは、ミームとしての「トランプ大統領」を扱う仮想通貨です。このように書くと$TRUMPはジョークに過ぎず、トランプ大統領自身は無縁のように思えますよね。
一方で$TRUMPは、TMTG社(※2021年にトランプ大統領が設立)によって運営されるSNS『Truth Social』で、トランプ大統領自身が拡散しています。つまり「$TRUMP」は「本物の大統領認定コイン」なのかもしれず、発行直後に価格が急騰してもいます。
このトランプ氏のミームコイン。果たして安全な仮想通貨なのでしょうか。
トランプ氏ミームコイン「$TRUMP」は本物?
ドナルド・トランプ大統領をモチーフとしたミームコイン「$TRUMP」は、2025年1月17日に発表され、ソラナブロックチェーン上で展開されています。そもそもこのコインは、トランプ氏の大統領選挙勝利と就任を記念する目的で作られたものです。
冒頭でもご紹介した通り、1月18日の発表後に「$TRUMP」は価格が急騰。時価総額が一時150億ドル(約2兆3400億円)を超えるなど、仮想通貨市場で大きな注目を集めました。
その要因にはトランプ大統領自身がTruth Socialにてコインを拡散していることに加え、同コインの80%をトランプグループ関連会社が保有していることも明らかになったことで、「トランプ大統領公式コイン」という受け止められ方をしたことが挙げられるでしょう。
一方、Truth Socialでは「$TRUMP」について、「いかなる種類の投資機会、投資契約、または有価証券となること、またはその対象となることを意図していない」と説明されています。少なくとも、積立など将来を見据えた堅実な投資には向かないでしょう。
あくまで「$TRUMP」の本来的な目的は、トランプ大統領の就任を祝うという短期的な事項にあると言えます。
ミームコインの発行目的は?
$TRUMPの発行目的は基本的には「大統領選勝利と就任を祝うもの」ですが、それ以外にトランプ・オーガニゼーションの資金調達を目的としている可能性も指摘されています。
たとえば公式ウェブサイトには、「$TRUMP」の80%をトランプグループ関連会社であるCIC Digital LLCとFighter Fight LLCを共同で保有していると明記してあります。
つまり今後、「$TRUMP」の値上がりを踏まえつつ、トランプ・オーガニゼーションが保有するコインを段階的に放出することで資金調達が可能となるでしょう。
こうした背景もあり、「$TRUMP」発行に対してネット上では「利益相反に該当するのではないか」といった指摘も集まっています。
トランプ夫人のミームコインもローンチ
なお、20日には「$TRUMP」発行に続いて、メラニア・トランプ夫人をモチーフとするミームコイン「$MELANIA」も発行されました。この2つのコインはどちらもミームコインの中では有数の時価総額へと拡大しており、2025年1月20日には国内上場企業GFAが「$TRUMP」を購入。あわせて$MELANIAへの投資も開始しています。
もっとも「$TRUMP」は発表後に価格が高騰しましたが、「$MELANIA」の発表後には値下がりしました。ボラティリティの大きさはやはりミームコインの保有者にとってのデメリットとなるでしょう。
トランプ大統領の「$TRUMP」は日本から購入しても安全?
先ほど国内の上場企業が「$TRUMP」への投資を開始していると述べました。すると「$TRUMP」は国内の個人が購入しても問題ない仮想通貨なのでしょうか?
トランプ大統領の「$TRUMP」の購入はあくまで投機的なものであることは事実です。加えて海外の取引所での購入が必要になる可能性が高い点にも、注意が必要です。
海外の仮想通貨取引所を使用することの危険性
仮想通貨データアグリゲーターの「CoinGecko」によると、「$TRUMP」は開始直後からBitget(ビットゲット)、KuCoin(クーコイン)、Kraken(クラーケン)などと取引されており、コインベースやバイナンスなどの大手暗号資産取引所に上場予定です。
そして日本から「$TRUMP」を購入したい場合、これらの取引所が日本での許認可を得た取引所か否かに注意しましょう。海外の仮想通貨取引所は、日本での許認可を得ているとは限らないためです。たとえば金融庁は、平成30年3月に無登録で暗号資産交換業を行う業者としてバイナンスを資料に掲載しました。
日本の法律で認められていない海外の取引所では、トラブルが起きても日本の法に基づくサポートが得られない可能性が高いため注意しましょう。
価格のボラティリティ
先にも述べた通り、特にミームコインは価格のボラティリティ(変動性)が非常に高いことで知られています。「$TRUMP」も「$MELANIA」も例外ではなく、一般的な株や債権などと比べて極めて価格変動が激しい状態が続いています。さらに先ほども触れた通り、「$TRUMP」の大部分を所有しているのはトランプ大統領の関連会社です。将来的にその関連会社が一気に「$TRUMP」を放出する可能性もゼロではありません。
「$TRUMP」をどうしても手に入れたいという場合は、投資目的というよりも記念として、かつ自己責任で手に入れるようにしましょう。
※サムネイル画像は(Image:「Trump Meme」公式サイトより引用)