キャッシュレス決済の普及に伴って、ポイ活が当たり前になっている近頃では、日々の買い物やサービス利用で貯まるポイントが、単なる「お得」から「資産運用」の手段へと進化している。MMD研究所の「2025年度-春-通信サービス動向調査」から、ポイント経済圏やキャッシュレス決済の最前線を解説する。
ポイントで手軽に資産運用? 投資体験が拡大傾向に
近年、ポイントの貯め方や使い方にとどまらず、「ポイントを運用する」という新たな選択肢が急速に広がっている。特に注目されるのがPayPay証券の成長だ。2024年4月16日時点で「ポイント運用」の運用者が1,600万人を突破しており、口座開設者の約9割がPayPayポイントの運用を体験しているなど、後発ながらも圧倒的な勢いを持っている。さらにビットコイン運用も始まり、資産運用の領域にポイントが本格的に参入しつつある。
また、Vポイントも「Vポイント運用」という投資体験サービスを開始し、Vポイント経済圏のユーザーが気軽に投資を始められる環境が整いつつある。楽天証券やPontaポイントも存在感を増しており、今後は金融サービスとポイントの連携が進化していくことが予想されている。

一方で、現時点では「ポイント投資も運用もしていない」というユーザーも多く、市場の成長余地は大きい。調査結果を見るとどのポイント経済圏も「ポイント投資もポイント運用もしていない」という人の割合が最も高く、今後各社がどれだけポイント運用や投資を活発化させられるかが、ポイント経済圏の勢力争いの要点となりそうだ。
キャッシュレス決済はクレカが依然として強い

ポイ活の基本ともいえるキャッシュレス決済の勢力争いはどのようになっているだろうか。「ここ一カ月の支払い方法」の調査結果を見ると、現金が77.0%、クレカが57.0%、QRコード決済が46.7%と、クレカが依然として強いが、QR・バーコード決済も昨年比138%の成長を見せている。

QR・バーコード決済の中ではPayPayが47.2%と圧倒的なシェアを持ち、楽天ペイやd払いなど通信キャリア系サービスが市場の93.0%を占める状況だ。
クレカでは楽天カードがメイン利用率で圧倒的な強さを見せ、dカードやau PAYカードが追随している。特にdカード GOLDや若年層向けの「dカード GOLD U」など、若年層の囲い込みを狙った新戦略が今後の市場拡大のカギを握っているかもしれない。
電子マネー・非接触決済ではVisaのタッチ決済やモバイルSuicaが人気を集めているが、スマホを使った非接触決済の伸びはまだ限定的だ。今後、ポイント経済圏とキャッシュレス決済はますます密接に連動していくだろう。各社の新戦略やサービスの進化から目が離せない。
出典:【MMD研究所】
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