もはや誰もが日常的に利用するキャッシュレス決済。2024年のキャッシュレス決済比率は42.8%に達し、政府が掲げた「2025年6月までに4割」という目標を前倒しでクリアした。決済サービスも多様化し、消費者は自分に合った決済手段を柔軟に選べる時代となっているが、果たしてどの決済サービスが一番利用されているのだろうか。また、年齢層によって利用されるサービスは異なるのだろうか。

若年層の利用が多いのはコード決済!デビットも復活の兆し?

インフキュリオンが全国の16~69歳男女2万人を対象に実施した「決済動向2025年調査」によると、コード決済アプリの利用率は過去最高となった72%。特に10代では83%と突出しており、若年層がキャッシュレス普及をけん引していると言えるだろう。また、ブランドデビットの利用率も29%と前回調査から11ポイント増加し、10代・20代では約4割が利用している。個別サービスで見ると、PayPayの利用率が58%と前回調査より7ポイント増加しており、楽天ペイやPayPayカードも堅調に伸びている。消費者は複数のサービスを使い分け、状況に応じて最適な決済手段を選んでいるようだ。

一方で、決済手段の利用動向には明確な二極化が見られる。対面購入では、コード決済アプリの利用率が57%、クレジットカードが55%とほぼ拮抗。消費者はそれぞれの利便性やポイント還元などを考慮してサービスを柔軟に選択しているが、オンラインなど非対面購入ではクレジットカードの利用率が68%と圧倒的に高く、コード決済アプリは大きく引き離されている。オンラインでの高額な決済や、各種サービスとの連携では、クレカの信頼性と利便性が根強く支持されているようだ。また、クレジットカードの利用方法では、タッチ決済(カードやスマホの非接触決済)が端末への差し込み決済を上回り、今後もこの傾向が強まる見通しだ。調査では今後最も利用したい決済方法としてタッチ決済が65%を占めており、タッチ決済可能な端末の普及が急がれている。
病院や美容系、薬局は現金決済が多め、キャッシュレス導入の遅れが原因?

業種別ではどうだろうか。キャッシュレス決済比率が高いのは家電量販店、コンビニ、ガソリンスタンドであり、現金比率が高いのは病院、美容サービス、処方薬局だった。しかし、どの業種でもコード決済の利用が増加し、現金決済は減少傾向にある。ファストフードや百貨店など、これまでクレカが主流だった業種でも、コード決済アプリが代替手段として台頭している。消費者は「使える環境であればどこでも使う」という意識が強まっているようだ。
公共交通機関の決済も多様化している。鉄道やバスではカード型のICカード(交通系)が根強いが、スマホアプリの利用も緩やかに増加している。一方、タクシーでは現金払いが52%と過半数を占めており、カードのタッチ決済は20%にとどまる。しかし、地域によってはタッチ決済が交通系ICカードを上回るケースもあり、今後、キャッシュレス化はさらに進むと見られる。現金を持ち歩かない社会の実現も、そう遠くはないだろう。
出典:【株式会社インフキュリオン】
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