JR東日本は、2026年秋からモバイルSuicaとモバイルPASMOのコード決済サービス「teppay(テッペイ)」を開始すると発表しました。交通系ICカードの上限2万円を超える最大30万円まで利用できるとのことで期待も膨らみますが、いったいどんなサービスなのでしょうか? 実は、PayPayと比較すると期待が高まる一方で、気になる課題も見えてきました。

「teppay」はモバイルSuicaとモバイルPASMOに組み込まれるコード決済機能
2025年11月25日、JR東日本は新たなコード決済サービス「teppay(テッペイ)」を発表しました。これはモバイルSuica・モバイルPASMOのアプリ内に実装される形となり、アプリをアップデートすると自動的に機能が追加され、コード決済が利用できるようになります。
アップデートが完了すると、アプリにteppayのアイコンが追加され、これをタップするとコード決済画面が利用できるとのこと。
ただし、実際にteppayアプリが利用できるのは、モバイルSuicaが2026年秋、モバイルPASMOは2027年春となっています。
●【公式】teppayは→こちら


teppayには「コード決済」「残高の送付」「オンライン決済」「地域限定バリューの提供」といった機能の搭載が想定されており、旅行時に使えるクーポン機能なども実装される予定。
また、SuicaやPASMOなどの交通系ICカードは、これまでチャージ上限が2万円まででしたが、teppayでは上限が30万円に拡大されるため、従来より高額な決済にも対応可能になります。
なお、利用可能な店舗は「teppayマーク」や「Smart Codeマーク」のある全国約160万カ所になる予定ですが、SuicaやPASMO(交通系ICカード)が使えるお店でも、teppayが使えない場合がありますのでご注意ください。

teppayとPayPayは何がどのように違うのか?
モバイルSuicaやモバイルPASMOで利用可能になるteppayですが、teppay残高へは銀行口座やATMほか、ビューカードでの入金が可能。
また、teppay残高からモバイルSuica・モバイルPASMOへのチャージが可能になっています。そして、モバイルSuicaとモバイルPASMO間でteppay残高を送ったり受け取ることも可能なんですね(交通系ICの残高は不可)。

とはいえ、teppayはスマホ決済サービスの最大手「PayPay」などとは「残高管理」の方法が大きく異なります。
まず、PayPayでは残高とポイントが一元化されており、ユーザーは決済画面でPayPay残高やもらったPayPayポイントを一緒にして支払うことができます。
しかし、teppayではモバイルSuica上で動作するにもかかわらず、「teppay残高」と「Suica残高」が個別管理となり、統合することができません(モバイルPASMOも同様)。そのため、ユーザーは2種類の残高を別々に管理することになるんですね。

次に、teppayでは新たに独自の「teppayポイント」制度が導入されます。これは、JR東日本の「JREポイント」とは別もの。すでにJREポイントを活用しているユーザーにとっては、新たにteppayポイントが登場することはあまり歓迎できないでしょう。

さらに、PayPay残高(PayPayマネー、PayPayマネー(給与))は銀行口座への出金が可能ですが、teppayには出金機能がありません。キャッシュレスが普及した現在ではこれが致命的な欠点とは言えませんが、一部ユーザーは不便と感じるでしょう。

teppayの強みとしては、「地域限定バリュー(バリチケ)」とteppay残高を組み合わせた支払いが可能であること。自治体のプレミアム商品券やキャッシュレス還元施策に対応するため、よく地方に旅行する人にとってはメリットを感じる場面があるかもしれませんね。
しかし、PayPayも地方自治体と積極的に連携し、還元キャンペーンや地域商品券に対応しているため、teppayを積極的に使う理由としてはやや弱い印象です。

総合的に見ると、残高やポイントの分離管理などから、現状では積極的にteppayへ移行する動機は少ないと感じます。少なくとも、ポイント制度だけでも統一してほしいところですね。

まとめ
いかがでしょうか? 今回は、JR東日本から発表された新たなコード決済サービス「teppay」について紹介しました。
teppayはモバイルSuica・モバイルPASMOアプリに統合されており、30万円までの決済、残高送付、オンライン決済、地域限定バリューへの対応など、新しいコード決済手段として期待されています。
しかし、アプリ内で残高が別々になっていて統合できなかったり、独自の新ポイント「teppayポイント」の導入もあって、既存のモバイルSuicaユーザーはかなり混乱するのではないでしょうか。
しかも、現時点では利便性の面でPayPayに及ばない部分がありますので、サービス開始までにもっと積極的にteppayを使いたくなるような改善を期待したいところです。



