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なぜ光磁気ディスク『MOディスク』は消えたのか? CD-R・DVD-Rとの競争に敗れた要因

PC黎明期に外部メディアとして活躍した『フロッピーディスク』。しかしPCの性能向上によって扱うデータの量が増えていった結果、容量が少ないFDは90年代時点ですでに衰退の兆しが見えていました。

そして代わりに注目されたのは光磁気ディスク、いわゆるMO(Magneto-Optical Disk)です。128MBから最大1.3GBまでの容量があり、当時の記録媒体としては極めて大容量でした。加えて高い耐熱性と耐寒性を持ち、過酷な環境下でもデータを保持できることから、長期保管に適した外部媒体という一面もありました。

意外と知らない光磁気ディスク『MOディスク』がCD-R・DVD-Rに敗れた理由1
(画像は「photoAC」より)
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このように耐久性に優れた大容量光磁気ディスクとして『MO』には独自の強みがありました。

しかしディスクを用いた外部メディアとしての覇権は、結果としてみればCD-RやDVD-Rが握ったと言えるのではないでしょうか。フロッピーディスクに代わる媒体としてMOが注目された期間は、そのポテンシャルに対して明らかに短かったのではないでしょうか。

ではMOがCD-R・DVD-Rに敗れた理由は何なのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。

光磁気ディスク(MO)の技術的優位性はそもそも何?

先述した通り、MOディスクは1990年代前半にフロッピーディスクの代替として注目された外部メディアです。その特徴の1つは128MBから1.3GBまで当時としてはかなり大容量のメディアであったこと。加えて「書き換え可能性」があり、データの書き換えができる柔軟性の高さも売りでした。

たとえば業務用デザインデータや医療画像の保存に採用され、法人利用向けに適した長期保存メディアとして定着しました。MOの主要ユーザー層は90年代時点ではグラフィックデザイナーや印刷業、医療機関などが主だったと言えます。

そうした法人利用の枠組みを超えて、00年代初頭には個人ユースとしてのMOディスクの活用に期待が寄せられるようになりました。

光磁気ディスク(MO)の技術的優位性はそもそも何?1
(画像は「オリンパス」公式サイトより引用)

たとえばオリンパスは2000年6月に「TURBO MO」シリーズを発売。独自の超小型高精度光学ヘッド「SFPピックアップ」搭載しており、さまざまなインターフェースに対応していました。

このように90年代には積極的な導入が進み、00年代初頭には技術的優位性も明らかで、個人向けのさらなる拡大に期待が寄せられていた存在なのは間違いありません。

一方でMOはドライブ単体の価格が5-10万円と高価でもあり、ディスクそのものも比較的高価でした。この点が個人ユースにおいては、普及の足かせとなっていきます。

CD-R及びDVD-Rの急成長要因

CD-R及びDVD-RがMOを凌駕した決定的要因には、まず「PCのマルチメディア対応」が90年代後半から00年代初頭にかけて一気に進んだことが挙げられるでしょう。

CD-R及びDVD-Rの急成長要因1
(画像はスマホライフPLUS編集部で作成)

たとえばWindows 95ではすでにドライバのセットアップに、サポートソフトディスク(CD-R)を利用するのが一般的でした。つまり、90年代時点ですでに家庭用のPCにはCD-Rドライブがあるのが当たり前のことだったということでした。

続くWindows 98ではDVD-Rへの標準対応が実現し、Windows MeではWindows Media Playerの標準搭載も実現。2000年当時、MOドライブが1台5万円前後した一方で、Windowsが中心となり、CD-R及びDVD-Rを用いたマルチメディア対応とPCへのドライブ搭載が00年代初頭にかけ、家庭用PCで進みました。

1枚数百円程度~まとめ買いではより安くなるCD-RやDVD-Rは、低廉な媒体価格も普及を後押ししました。そしてドライブそのものが高価なMOは、個人ユースとしての普及のきっかけはつかめませんでした。

法人利用におけるMOディスクの衰退

保存性を重視する業務用需要はMOが優位を保ちましたが、1999年にUSBメモリの原型となるUSBフラッシュドライブが発明され、徐々に商用化が進むとその優位も揺らぎ始めます。

さらに00年代初頭には外付けHDDの大容量化も進み、徐々に製品価格も下がり始めます。MOディスクは大容量で保存性が高い一方で高価格という製品でしたが、USBフラッシュドライブが「フロッピーディスクの代替としてのMO」や「書き換え可能性がある外付けメディア」としての立ち位置を不安定にし、HDDの大容量化が「大容量としてのMO」をさらに不安定にさせたと言えるでしょう。

総じて法人利用においてもMOディスクは存在感を失っていきました。特にUSBメモリとHDDは2000年代後半に価格が一層急落し、MOの最後の牙城であった業務用バックアップ用途も奪われたと言えます。

CD-Rが物理媒体として極めて長寿な理由は何?

MOディスクは1980年代半ばから2000年代初頭まで、一定の普及を見せた記録媒体でした。衰退期を含めても約15年間、市場に出回っていたと言えます。なお、その耐久性の高さから、MOの物理的な寿命は一説には50年とも言われています。

一方、個人向けの記録媒体としてより広く受け入れられたのは、CD-RやDVD-R、そしてその後に登場したUSBメモリでした。

中でも、CD-Rの物理媒体としての歴史の長さは驚異的です。CD-Rが発明されたのは1988年であり、すでに40年近い歴史がありますが、現在もデータ保存用の媒体として一定の需要があり、家電量販店などで販売されています。

その最大の要因は、CD-RがCD規格に準拠しているため、特別な機器を必要とせず、既存のCDプレーヤーで再生できることにあります。ディスク自体が独立して機能するため、専用ドライブの普及を待たずに市場を開拓できたのです。

これに対し、MOディスクは独自規格であったため、汎用性の面で劣り、普及が限定的になったと言えるでしょう。

日本発のプロダクトは「独自規格」が仇となり、普及が進まなかったり、汎用性の高い次世代製品に淘汰されることがしばしばあります。その中で、40年以上にわたり「圧倒的な汎用性」を維持しているCDおよびCD-Rは、日本が世界に誇るべき製品の一つではないでしょうか。

※サムネイル画像は(Image:「photoAC」より引用)

スマホライフPLUS編集部

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