「今の子、MD知らないってマジ?」そんな一言から始まったのが、Xユーザーgadgetter(@gadgetter45)さんによるポストだ。

確かに、令和の世代にとって“MD”はもはや過去の遺物かもしれない。しかし、その機能性や使い勝手の良さを知っている世代からすれば、「CDより優れていた」と断言できるほど、完成度の高いメディアだった。
今回は、そんなMDの魅力を改めて振り返りつつ、なぜ今“知らない世代”にとっても再評価に値する存在なのかを探っていく。
カセットでもCDでもない。「ちょうどいい存在」だったMD
1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本ではMD(ミニディスク)が爆発的に普及した。ソニーが開発したこの光ディスク規格は、CDと同様の光学メディアでありながら、録音・編集・消去が何度でも可能という特長を持っていた。
gadgetter(@gadgetter45)さんは、「普通にCDより優れていると思う」と語る。その理由として、以下のような点が挙げられる。
・録音・編集が簡単にできる
・サイズがコンパクト
・耐久性が高く、カバンに放り込んでも壊れにくい
・録音した後も曲の順番を並べ替えられる
今のストリーミング世代には伝わりにくいかもしれないが、当時の「音楽好き」にとっては、これらすべてが“革命的”だった。カセットより音が良く、CDよりも扱いやすく、プレイリスト編集も自由自在。しかも何度も上書きできたのだ。
「MDってなに?」に驚く世代間ギャップ
スマートフォンがあれば、音楽も動画もすべてワンタップで済む時代。しかし、gadgetterさんのように、MDで音楽を「作っていた」世代からすると、「今の子がMDを知らない」という事実は、少なからずショックでもある。
特に印象的なのは、当時のMDには「音楽を贈る」「自分用にミックスを作る」といったパーソナライズの文化があったことだ。
好きな曲を集め、録音し、曲順を練ってタイトルをつけ、ラベルに手書きで「マイベスト」などと書き込む。そこには、ストリーミング再生にはない「自分だけの音楽体験」があった。
また、プレイヤー本体のデザインも魅力的だった。ソニーやシャープ、ビクターなど、各社が個性豊かなモデルを展開し、音質だけでなく「持ち歩く楽しさ」も提供していた。

なぜ“MDは消えた”のか、そして今再注目される理由
では、これほど優れていたMDがなぜ衰退してしまったのか。それは、技術進化のスピードがあまりにも速すぎたからだ。
・パソコンのHDD容量が拡大
・MP3プレイヤーやiPodの登場
・ストリーミング文化の急成長
こうした流れの中で、「物理メディアに音楽を記録して持ち運ぶ」という文化自体が消えていった。MDは、操作性に優れていたが、あくまで“中間技術”として飲み込まれてしまったのだ。
しかし近年、若い世代の間でもレトロブームが巻き起こっている。カセットテープ、VHS、フロッピーなど、消えたはずの技術が“エモい”という文脈で再評価されている。そしてMDもまた、その流れに乗っている。
ヤフオク!やメルカリでは、動作確認済みのMDプレイヤーが高値で取引されており、「もう一度あの操作感を味わいたい」という大人たちがこっそり購入しているという。
MDは単なる古いメディアではない。「音楽を所有する喜び」や「記録する手ざわり」を体現した、時代の象徴である。gadgetter(@gadgetter45)さんの言葉通り、CDよりも優れていた点は確かにあった。今こそその価値を見直し、もう一度“触れてみる”のも悪くないかもしれない。
今の子MD知らないとかマジで?
— koke @産廃candy!! (@gadgetter45) June 3, 2025
普通にCDより優れてると思うんですが pic.twitter.com/9TOcq6oj04
※サムネイル画像(Image:「gadgetter(@gadgetter45)」さん提供)