ちょっとした調べものをするときなどAIを活用する機会が増えてきた昨今。しかし企業における導入は浸透しているとはいえない状況だ。BCGは、「職場におけるAI活用に関する意識調査に基づくレポート」を発表。日本を含む世界11の国・地域において経営幹部から従業員までを含む1万600人以上を対象に行われた。世界各国における日常および職場におけるAI利用率を確認してみよう。

日常的にAIを活用する人の割合が最多の国はインド、日本は最下位と低迷

ボストン コンサルティング グループ(BCG)による調査によると、日常的にAIを活用する人の割合は世界平均で72%、国・地域別ではインドが92%と最も高く、次いで中東諸国87%、スペイン78%、ブラジル76%と続き、日本は51%と大きく差がついた。
一方、AIの活用が増えて多くの作業が自動化されることで雇用への影響を懸念する声があり、「今後10年で自分の仕事がなくなる可能性がある」と失職への不安を抱いている人もいるようだ。またこのような懸念を持つ人はAIエージェントの仕組みについて理解している割合が3分の1にとどまることも判明した。
職場でのAI導入率はブラジルがトップ、日本は7%と最下位

調査によると回答者の4分の3以上が「AIエージェントは今後の成功に不可欠だ」と考えているそう。しかし現時点でAIエージェントが業務フローに統合されていると回答した人の割合は世界平均で13%にとどまる。国・地域別に見るとトップがブラジル18%、インド17%、スペイン16%、米国15%と続き、日本は7%とさらに下回る結果となった。
AIエージェントの仕組みについて理解している人ほど恐れを感じる割合は低く、AIエージェントを「競合」ではなく「協働するパートナー」と捉えていることも明らかに。日本でAIの活用が進んでいる企業は経営者の理解とサポート、そして現場レベルでの成功事例の確立という両輪がうまく機能しているという。世界的に見てもAIを日常的に使用するだけでなく、職場におけるAIの活用は必要不可欠になりそうだ。AIの導入によって業務効率化や生産性の向上、コスト削減にとどまらず、顧客への提供価値を変革するような取り組みにつなげられる可能性も示唆される。自社の課題を把握した上で最適な活用方法を見つけることが大切なのかもしれない。
出典:【ボストン コンサルティング グループ】
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